【医師の視点】診察の録音は禁止されていないが、あまりしない方が良い




医療現場では医者をイライラさせている診察の録音。

いろいろと厄介な問題を引き起こしているのです。

診察を録音する患者は多い

初診の患者さんで、診察内容を録音をしている患者さんは決して少なくないと思います。

感覚的には5-10人に1人位の患者さんは、診察内容を録音している疑いあり、といったところでしょうか。

ほとんどの患者さんは、「自ら録音します」とは言わず、診察の前に携帯電話をカチカチと操作したり、または本人ではなく家族の人が携帯電話を操作したりしています。

医者は患者さんが歩いて診察室に入ってきてから、話す表情なども含めて一挙手一投足を見ていますから、そのような動きには非常に敏感で、だいたいわかります。

患者が録音する理由

患者が録音するのは、いろんな理由があるようです。

一緒に来院できない家族に診察内容を聞かせるとか、自分1人だけだと説明を忘れてしまうので、あとで聞き返したいので録音したい、といったような場合です。

患者さんの中には、最初から医療者側に敵対心を持っていて、病院側とトラブルになった場合に備えて録音している方もいるかもしれません。

診察を録音することは違法ではない

さて、話は変わりまして、まずは診察を録音することが違法であるか、ということです。日本医事新報社には下記のような記載があります。

外来診療中の会話録音を規制する法的根拠は? 【録音すること自体を規制する法律はないが……】

一般的に,会話当事者が会話の内容自体を録音することを禁止ないし規制する法律は制定されていません。

録音自体の機能は,要するに会話当事者の記憶装置にすぎないものであり,仮に,相手の会話当事者に無断で録音したとしても,直ちには法律上の問題は発生しません。

つまり、病院側としては録音をやめるように勧告することはできたとしても、録音を拒否することは難しいでしょう。

これまで働いてきたいくつかの病院では、患者が録音している場合には、こちらも録音をするように、ということが医療者に通達されていました。

おそらくは、悪意のある患者が音声をつなぎ合わせて、病院側に不利な録音データを捏造することなど防ぐ処置なのだと思います。

録音されることをよく思っている医者は少ない

録音することは違法でないにしろ、医者側としては録音されるのはあまり気分はよくありません。

アナウンサーが原稿読むのとは違って、患者さんに説明する過程においては、1回や2回位は間違ったことを言ってしまうかもしれません。

実際に診察が終わってから、あーこういう時はこういうふう言えば良かったなぁと思うこともあります。患者さんの質問に答えるような場合には、すべてのことを完全に正しく答えるのは無理なことです。

それに録音している行為自体が、あらかじめ病院側に不信感を抱いている行為に由来しているとすれば、やはり気分はよくありません。

全ての内容や副作用を説明するのは不可能

そもそも、ある検査や治療で起こり得る副作用を全て完璧に説明するのは不可能ですから、正当な手順を踏んでいる限りにおいては、細かい説明の有無が問題になることはないでしょう。

極端なこと言うと、採血1つをとってみても後遺症が残るリスクはたくさん存在しています。もし仮に腕の神経損傷などをきたしてしまうと、病院側は裁判で負けてしまいます。

しかしながら、採血一つについてわざわざ患者に説明をし、すべてのリスクについて詳細な説明を加えているとするならば、もはや病院業務は説明ばかりで、一向に治療は進まないでしょう。

録音をしたからといって、説明されていないからといって医療者側が全て悪い、とはなりません。どんな簡単な検査や治療だって、患者さんの生命に危機が及ぶ可能性はゼロではありません。

録音することの意味はあるのか?

したがって、説明内容を来院していない家族に聞いてもらうとか、もしくは担当医の説明や態度が明らかにおかしいなどでなければ、診察を録音することの意義はあまりないように思います。

私が患者さんに説明する場合には、患者さんが録音しているかどうかで説明する内容が変わる事は無いですし、むしろ録音している患者さんがいると、こちらの言葉遣いもすごく気を使いますから、はっきりって面倒だと思っています。

医療を受ける患者の立場としては、録音することによって医者の対応が親切になるとか、より良い医療を受けられる事はなく、逆に医者側からの不信感を増大させてしまう可能性があります

ただし問題なのは、スマートフォン全盛期の現在にあっては、医者にバレずに診察を録音するのは実に簡単です。

今は誰だってスマートフォンを持っていますから、自分の名前が呼ばれて診察室に入る前に、スマートフォンのボイスレコーダーの機能をオンにするだけです。

診察室に入ってから携帯電話を操作する仕草がなければ、医者は全く気づきませんから、現場は患者さんの側に有利な状況があるかと思います。

もう勝手にしろよ、って割り切るしかないのでしょう。

医者に気持ちよく診察してもらうため心がけるべきこと。難しい側面もありますが…

2018.01.18

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