患者さんの背景にあるそれぞれの事情

医療は流れ作業の方が良い?

私たちが患者さんの治療を行うときは、どうしても何十人、何百人いる患者さんの1人として治療してしまいがちです。

実際に医療行為を行うということだけに焦点を絞れば、少々語弊があるかもしれませんが、流れ作業のように淡々と熟練したシステムで行う方が、必ず結果は良いものになると思います。

例えば手術1つをとったとしても、一つ一つの手順に立ち止まりながら、迷いながら手術を進めていく外科医よりは、必要なところでは立ち止まりつつも、流れ作業のように、もちろん慎重に、ある程度決まった形で手術を行う医師が、熟練し外科医と言えるでしょう。

外科手術に限らず、内科の診断や治療も、さらには病棟の管理などもしかりです。

多くの患者さんをみている病院では、診断や治療の質は高いですし、患者さんの入院している病棟で、実際に患者に接している看護師の対応もしかりです。

患者さんの背景にも目を向けることの大切さ

一方で患者さん個人の家族や仕事、身の回りのことと言うふうに考えてみると、流れ作業ではいかない部分が多々あります。

患者さんにとっては自分自身のたったひとつの大切な命ですし、家族の人にとっても、その患者さんはかけがえのない存在だということにふと気づかされることがあります。

30代の女性の末期がんの患者さんを診察した際に、失礼なことを言ったわけでは無いですが、後で考えると非常にデリケートな、不用意なことを言ってしまって、患者さんの顔を曇らせてしまったことがあります。

その時のことを振り返ってみると、その時の私は、患者さんの背景に対して深い考えもせずに、淡々と診察していたのかもしれないと思う時があります。

当直病院でのお看取りで感じたこと

大学病院に勤めていたときには、アルバイトとして療養型の病院に当直に行くことがありました。その病院では患者さんが亡くなった際に、死亡確認するのが当直医の仕事となっていました。

患者さんが亡くなると、看護師さんからPHSに電話があって、さて、という感じで病棟に向かいます。聴診器で胸の音を聞いたり、眼の反射を見たりして死亡確認を行うことになります。

いつものように死亡確認を淡々とこなしていた後に、「何時何分、死亡確認といたします」と言ったあとに、周りにいた家族が突然泣き崩れることがあります。

その時、自分は特に思いを馳せることなく死亡確認している一方で、目の前の亡くなったばかりの患者さんには、厚みのある人生があり、その周りの家族にとってはかけがえのない存在であったのだなぁと実感させられます。

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先生まだ医局辞めてないんですか?

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