東大病院で男児死亡

東大病院は31日、看護師が入院中の患者に薬剤を誤投与する医療事故が2015年にあったと発表した。患者側の谷直樹弁護士によると、当時、東京都内の男児で、翌日に死亡した。病院は、薬剤の誤投与が「死亡に何らかの影響を与えた可能性がある」としている。

病院によると、多臓器の障害があり重篤となっていた男児に対し、胃に内服薬を注入する処置をした際に発生。看護師は内服薬を準備後、電話対応などのため作業をいったん中断、再開する際、近くにあった別の患者の内服薬と取り違えた。

(東京新聞web / http://www.tokyo-np.co.jp/

東大病院で男児死亡

天下の東大病院、東京大学医学部附属病院で薬のことを様により男児が死亡したようです。医療関係者の1人として謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

さて記事の内容を見てみると、短い文章から全てを断定することができません。ただし可能性について少し考えてみたいと思います。

胃管栄養・胃瘻とは

健康な人間であれば、口から栄養取ることができますが、様々な理由で口から栄養をとることができなくなった場合には、まずは胃管と呼ばれる細いチューブを鼻から胃まで通すことになります。

そのような患者さんに対しては、胃管を通じて普段我々が摂取している水分や栄養分、そして内服薬などを注入しています。胃管と言うのは確かに便利で、チューブ自体は鼻から胃まで入れるのに大抵の場合は数分で終わりますし、手技自体も看護師で可能です。

この胃管が間違って肺に入っていたりして、それを知らずに栄養剤を注入して患者が肺炎を発症、死亡に至ったケースもありますので、本当にチューブの先端が胃に入っているかどうかは入念な確認が必要です。

たいていの場合は胃管に空気を入れてみて、ちゃんと胃のあたりから音が聞こえるかどうかとか、胃液が引けてくるかどうかとか、レントゲンを撮ったりしてうまくチューブの先端が胃にあることなどを確認して、使い始めるようにしています。

一方でいかんの欠点としては、長く使い続けていると感染症の原因になったり、中が詰まったりします。さらに意識のある患者さんでは、当然鼻にチューブが入っているわけですからあまり気持ちのいいものではありません。

したがって月単位くらいで食事をとることができない場合には、胃瘻と呼ばれるお腹から胃に直接つながる経路を確保することになります。そして最終的には無理やり胃に栄養を送り込むことによって生命機構の維持させます。

なぜ医療ミスは起こったか

記事に戻ってみると、男児は多臓器不全で胃管栄養されていたと言うことですから、おそらくは何らかのイベントがあって、あまり時間が経っていないものだと推測されます。もちろん胃管栄養をされているわけですから、全身状態は決して良くは無いものと思われます。

さて問題の薬の誤投与ですが、これは病院にはつきもののトラブルです。有名なところでは都立広尾病院でも同様のイベントが起こり、患者さんが死亡した経緯があります。今回の事件も当直帯に起こったと言う事ですから、人手が少ない時間帯で確認作業も日中ほどには厳格にはできなかったかもしれません。

医療ミスが起こった時

投与する薬の内容をよく確認しなかった看護師さんを責める事は簡単ですが、責任の追及に終始していては、また同じような事故が起こってしまいます。

このような事故が起こらないために東大附属病院だけではなく、業界全体としてどのようなシステムを構築していけばよいのか、ということに関して対策が求められます。

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先生まだ医局辞めてないんですか?

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