病院はキング・オブ・ブラック企業である。医者は長時間労働で休めない

日本での長時間労働に嫌気がさして、家族との大切な時間を長く持つためにスウェーデンに移住した。

こんな夫婦の記事がYahoo!ニュースに載っていました。なんとも羨ましいものです。

この記事は医師に関するものではありませんが、移住できるならしたいと思っている日本人医師はたくさんいるでしょうね。

私たち医者の生活を考えてみると、なんと残念なことばかり思い浮かんでしまいます。

また来てね、と子供に言われる外科医

研修時代の先輩にはすごく一生懸命病院で働いているA先生がいました。働くということを苦にしないタイプで、土日祝日も日中は常に病院にいるというような働き方でした。

A先生には2−3歳くらいのお子さんがいらっしゃったのですが、当然その子供と一緒に食事をしたり、一緒に遊んだりということも少ないわけです。

A先生がおっしゃるには、毎日病院にでかけていくとき、自宅にも関わらずお子さんに「また帰って来てね」と言われてしまうとのことでした。

子供の中ではたまに遊んでくれるおじさん程度の認識であって、父親とは考えられていなかったのかもしれませんね。

正月や大型連休など、暦通りに休むことができない

医者として働いていて番残念に思うことのひとつに、年末年始やゴールデンウィークなどを暦通り休めないことです。

例えばゴールデンウィークが9連休であったとして、そのまま9日間休み続けることができる医者は、一般病院で働いていない医師か開業医位のものでしょう。

一般病院で勤務しているほとんどの医師は、ゴールデンウィーク中、年末年始もどこかのタイミングで病院に出て来なければなりません。

年末年始に当直や当番が割り当てられているとすれば、自らの実家に戻ってゆっくりとお正月を過ごすことができません。

ちょっと大げさですが日本人として文化的な生活が送れない、これが医師の生活なわけです。

医者は年末年始も暦通りには休むことができない。これはつらい

2016.12.07

祝日、休日出勤に対する振り替え休日がない

土日祝日にに病院に出てきて仕事をしたとしても、休日出勤に対する振り替え休日は当然ありません。これも医者としてつらいことです。

学会出張などで、土日に休めなかった場合も同様です。

若手医師であるうちは、専門医の取得に向けてとか、上司からの指示で年に何度かは土日に行われる学会に出席することが必要になってきます。

当然これは病院側から旅費が支給される出張扱いなわけですが、振替休日はありません。

同様にベテランの先生が学会の司会やセミナーの講師をする場合も同様で、休日出勤をしたとしても、休日はありません。

つらいです。

事務との対応から学んだ医師の勤務体制の非常識

私は以前勤務していた病院で、「休日出勤の際に病院の駐車場使っても良いか」と言うことを、病院の事務に聞いたことがあります。

その病院では基本的に病院の職員は病院駐車場を利用してはならないことになっており、例外として緊急的な呼び出しの際には病院の駐車場が使えることになっていました。

つまり土日の当番の際に、これらが呼び出しに該当し駐車場が使用できるかということを事務に聞いてみたわけですね。事務から帰ってきた答えは、土日の当番というのがよくわからないと言うものでした。

「土日に決められた勤務があるとするならば、当然平日は休みになるはずであるから、それは呼び出しではなく通常勤務にあたるのではないか、と言うような事でした。」

病院の事務の論理は至極真っ当なものですね。

病院に勤務する看護師、警備員、技師などはシフト制でオン・オフが厳格に定められており、休みのは休みです。それが土日であれば振替休日があるはずです。

一方で医師の場合にはそんな勤務体制は通用しません。休日であっても病院に来なければならないですし、だからと言って翌日休めるわけでもありません。

医師が非常識的な世界に生きていることを知らされました。

病院の当直が辛い、翌日も休めない

これも非常に辛い慣習です。当直業務では平日の通常勤務が終了した時間から、翌朝まで病院に残って患者の対応しなければなりません。

病院によって忙しさは様々ですが、ほとんど働かなくても良い病院であっても、電話がいつなるかもしれないと言う緊張の下に過ごさなければならないのは、大きなストレスです。

それ以上に問題なのは、ほとんどの病院では当直の翌日も通常勤務を続けなければならないことですね

一般企業であれば、当直の勤務と日中の勤務が分けられているのはもちろん、当直の後に働き続けるなんて事はありえないはずです。

同じく命を預かる公共交通機関の運転手や乗務員は、その労働時間が厳しく定められていると聞きます。客室乗務員やパイロットであれば、遅延の影響で勤務時間が長くなれば、運行打ち切りなんてことがあるそうです。

このシステムは極々当たり前のことであって、労働時間を制限するのは労働者の権利を守るため以上に、乗客の安全を担保する目的があるのではないでしょうか。

翻って医者の場合には、なぜだが医者の健康も、患者の安全も危険に晒すような当直明けの通常勤務が常態化しているのです。

私の医者人生の中で、当直明けの午前中の帰宅が許されている診療科は初期研修医時代の精神科だけでした。それ以外のすべての病院のすべての診療科では、当直明けの通常勤務が当たり前になっているのです。

医者の場合、そんなことはありえないですね。なぜ同じく患者の命を最前線で預かる医師は、そのような労働時間の規制というのが適用されないのでしょうか。

いつでも電話がかかってくる。呼び出しがある

勤務医として働いている場合には、病院からの呼び出しは避けることができません。

入院している患者さんの体調が悪くなった場合には、真夜中であっての電話がかかってきます。また当直の先生からは、自分の診療科にかかりつけの患者について、対応の相談がある場合もあります。

これらのうち病院にいくことが必要だと判断される場合には、病院に向かわなければならないのです。

病院ではその日の当番が決められていて、電話がかかってこないこともあるのですが、ほとんどの病院ではそんなにたくさんの医者がいるわけではありません。

ですから特に医者が2人とか3人しかいないような病院・診療科では、電話・呼び出しの待機を2-3日に1回のペースで行う必要も出てくるわけです。

病院にずっといなくても良いものの、いつ電話がかかってくるかわからない点では結構なストレスです。

まとめ

一般企業の社員や医師の過重労働がクローズアップされる現在にあっても、医師の労働環境は変化する気配がありません。

もちろん背景には医療職であるということや、人材が限られているという制約もあるでしょう。いつの日か、毎日楽しく働けるように改革を期待したいものです。



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