【勤務医の視点】研修医の時にローテーションするべき診療科。どの診療科が良いのか

どこの診療科で研修すべきか。

研修医にとっては永遠の課題ですね。

研修医として勤務するにあたっては、2年間の初期研修医時代にローテーションする診療科を選んでいくことになります。

内科や精神科などは、制度上必須の診療科となっていることが多いですが、内科の中でもどこをローテーションするか、またどれくらいの期間そこで研修するかなど、ある程度の選択肢が用意されています。

ここでは一般病院に勤務する勤務医の視点から、研修医にとってどの診療科をローテーションするのが、最も充実した研修になるのかということを考えていきたいと思います。

ローテーションする診療科を決める時期

初期研修の2年間でどの診療科をローテーションするか。

まず1年目に関しては、学生時代に決めることが多いかと思います。

マッチングが決定し研修する病院が決まった時点で、病院側からどの診療科をローテーションするのか、質問されるのが一般的かと思います。

つまり個々の診療科の細かい部分や実際の臨床を知ることなく、ローテーションする診療科を決めなければなりません。

なんとも医学部学生、研修にとっては難しい話ですね。

とはいっても、実際に勤務し始めてローテする診療科を変更することはそんなに難しくありませんから、おおよそえいやっと決めてしまっても、良いかと思います。

ローテーションするべき診療科を決定する判断基準

さて、ローテーションするべき診療科の選択ですが、将来的に役に立つかどうか、が一番の判断基準でしょうか。

充実した初期研修にするためにはローテーションすべき診療科を慎重に決めていく必要があるでしょう。

ただし将来の自分にとって良い経験となるのかそうでないかは、なかなか予測が難しいものです。

地味であまり忙しくない診療科をローテーションしたとしても、将来にわたって大切な経験が残るかもしれないのです。

ローテーションするべき診療科

内科は必修にもなっていますが、ローテーションするべき診療科ですね。

基本的な全身管理とか、入院患者への対応といったものは、どこの診療科に行っても要求されるものです。

皮膚科や眼科、精神科などでは、全身管理のできる医師は一目置かれること間違いないしです。

また将来的に入院患者を持たない診療科に進む予定であっても、当直等で患者さんと接することがあるでしょう。

そのような意味では、いずれにしても内科系の診療科というのはぜひローテーションしておくべきです。

循環器内科、消化器内科

どこの内科をまわるべきかは悩ましい問題ですが、迷ったらとりあえずは忙しい内科をローテしておけば良いかと思います。具体的には循環器内科、消化器内科などをローテーションすべきだと思います。

消化器内科や循環器内科の患者は病状が安定していないことも多く、内科的な管理が複雑で大変です。

輸液、内服薬の管理など、基本的な病棟業務を研修医時代に主体的に行うことによってより多くの知識と経験を得ることができます。

一方で神経内科や糖尿病内科の場合には、よくも悪くも患者さんの病状は安定していることが多く、全身管理といった点では業務量はあまり多くないかもしれません。

こればかりは病院ごとの診療科のカラーにもよるところで、一概には何とも言えないのですが、忙しくない内科よりは忙しい内科で学んだ方が得るものは多そうですね。

一般外科

外科も必修になっている病院が多いかと思います。

むしろ内科系の診療科に進む場合には、ぜひ外科のローテーションをすべきだと思います。

簡単な縫合や持針器の扱い方、糸結びなどは外科ローテーション中でないとなかなか習得できない技術です。

内科医として勤務していると、当直帯などで簡単な縫合を行うこともあります。そのような時には、外科時代に研修していた技術が生きてくるわけですね。

ただし外科はかなり激務ですから、地震の精神的な面も考慮しながら選択するのが良いかと思います。

初期研修の外科ローテーション中に怒られたこと。外科は空気を読むことが難しい

2018年1月8日

麻酔科、救急科

麻酔科や救急科などもぜひローテーションしておくべきでしょうね。

どのような診療科に進んだとしても、医者である限りは、薬を投与するための静脈路の確保、気管内挿管、心臓マッサージなどは、基本的な手技として要求されるところです。

もちろん麻酔科をローテしたからといって、責任ある場面で挿管ができるようになるわけではないですが、やったことがある・ないは大きな違いです。

ローテーションして雰囲気を知っておくのは大切です。

放射線診断科

現代医学においては、病気の診断や治療効果の判定においてCTやMRIなどの画像検査が必須になっています。

また当直の場面などにおいては、最低限の画像が読めなければ、重要な病態を見逃してしまい訴訟案件になることも考えられます。

CTやMRIと聞くと敷居は高く感じてしまうのですが、実際はそうではありません。

画像の読み方の基礎さえ覚えてしまえば、専門範囲に関しては独学で学んでいくことができます。

短期間の研修において、画像診断の医学的な知識を身につけるのは難しいかもしれません。

基本的な画像の読み方や、画像読影に慣れ親しむということにおいては、将来どこの診療科にすすんだとしても不可欠なものです。

ローテーションする診療科をみれば、やる気の有無がわかる

わたし自身も研修医時代にはあまりやる気のなかった人間なので、大きな事は言えませんが、ローテーション表を見ていると、やる気のある研修医なのか、そうでないのかが分かります。

病院に勤務していると、新しい年度からの研修医ローテーション表一覧が配られていくわけです。

そうすると研修医たちの志望する診療科や、やる気なんかが垣間見えてくるわけですね。

どこの病院でも、忙しい診療科とは外科系の診療科、患者の病態の変化がダイナミックな消化器内科、循環器内科等と相場が決まっています。

一方でQOLの良い診療科と言えば、眼科・皮膚科・放射線科あたりになるでしょうか。

QOLの良い診療科ばかりを選んでいる研修医

研修医の中には2年目で自由選択できる研修期間に、眼科と皮膚科、精神科を2ヶ月ごとにローテーションする研修医もいます。

本当にこれらの診療科を将来の専門分野として考えている可能性もあるでしょうが、傍目には

あーこの研修医はあまりやる気がないんだなぁ

と思うこともあります。

もちろん今の医者の働き方は異常ですから、まともな労働をしようとするならば、マイナー診療科を選ばざるを得ない背景もあることでしょう。

ですからある意味、正しい選択とも言えるわけです。

一方で後々のことを考えた場合、将来的に眼科や皮膚科に進むつもりがないにもかかわらず、眼科や皮膚科をローテーションする事はあまり得策とは言えないでしょう。

実際の臨床現場になってくると、眼科的疾患や皮膚疾患はあまりにも専門的すぎて、専門外の人間があれこれと診察するのは難しいでしょう。

したがって何かしら問題があるようならば、大抵すぐにそれぞれの診療科に紹介するわけで、研修医時代に学ぶことはあまり多くないかもしれません。

まとめ

いろんな診療科をローテーションしすぎて、忙しくなりすぎるのは考えものです。

しかし一生に一度しか経験できない研修医時代にはいろんな経験を積んでおきたいものですね。

研修医になった時にすべきことを4つ挙げてみる。これはだけは必要

2018年1月1日

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