【医師の視点】入院中にタバコやお酒を飲んでも良いか。絶対にダメである

人間にとってアルコールとタバコは悩ましい問題です。

これら二つの嗜好品は多くの病気の原因になっている一方で、自らの意志ではそう簡単に辞める事もできません。

したがって、入院中に酒を飲んだり、タバコを吸ったりする患者さんが後を絶ちません。

入院中のアルコール

まずはお酒について考えてみましょう

基本的には禁止されている

当たり前の話ですが、入院患者さんはアルコールを飲むことを許されていません。

病院の自動販売機には、もちろんアルコールは売られていません。

最近では病院の中にコンビニエンスストアが入っていることもありますが、実は病院のコンビニエンスストアには、アルコールやタバコなどが売られていないんです

もちろん病院の中では酒を飲んではいけないと言う道徳的な理由もあるのでしょうけど、置いたところでは売れないという現実的な側面もあるでしょうね。

強制退院もありうる

では入院中にお酒を飲んでしまったらどうなのでしょうか。

最悪の場合には、強制退院になることもあるでしょう。

実際に病院内でお酒を飲んで、強制退院させられている患者さんを数多くみてきました。

ただし退院とは言っても、さすがに状態の悪い患者さんを無理矢理退院させることはできませんから、実際のところは状況に応じてということになるでしょうか。

基本的には医療は患者さん側と医療者側の信頼関係の上に成り立っていますから、信頼関係をぶち壊すような行動は、それなりのペナルティーが与えられることになります。

もし仮に入院中に飲酒が発覚した場合には、最低限の治療しか受けられないことを覚悟した方が良いでしょう。

医者とお酒の付き合い方。学生時代には尋常ないくらいの酒を飲むけれど…

2018年8月17日

しかし、酒を持ち込んでもわからないことも多い

ただし入院中の患者においてアルコール禁止が徹底されているかと言うと、そこは不透明な部分でもあります。

上にも書いた通り、家族がアルコールを持ってくるとか、外泊した際にアルコールを持って帰ったりすれば、病院の中でこっそり飲んでいたとしてもわかりません。

それに外出中や外泊中にこっそりアルコールを飲んでいたとすれば、医療者側が発見するのは容易ではないでしょう。

本気になれば、水のペットボトルの中に焼酎や日本酒を入れておいて、病院の中でちびちび楽しむなんてことも可能です。

実際にアルコール中毒の患者では、このようにして酒を持ち込むことも少なくないようです。

ただ最低1日1回は看護師さんと話すことになりますから、何かあれば酒臭いのを察知してすぐバレてしまうわけですが…

いずれにしろ入院中に酒を飲むかどうかは、最終的に患者さんの自由意志にかかっていると言えそうです。

入院中の喫煙

今度はタバコです。

実質的には黙認されている。

タバコの場合はもう少し複雑で、表向きには完全に禁止されています。

原則病院では敷地内禁煙となっており、病院の敷地内で喫煙することは固く禁じられているはずです。

しかしほとんどの病院では、病院の敷地内に非公式の喫煙室が設けられていて、そこでタバコを楽しむことができるようになっていることが多いかと思います。

これは職員向けの喫煙所であることが多いのですが、中には患者さんと職員の喫煙所が共用なんてこともあります。

それに喫煙所がないにしても、冬でも夏でも病院の敷地の中の汚らしいところでタバコ吸っている患者さんを見かけます。

タバコとは厄介なもので、精神的にも肉体的にも依存を引き起こしますから、入院したからといってすぐに辞めることができるわけではないのです。

病院内で吸った場合には即退院だが・・

敷地内ではとりあえず黙認されているタバコですが、一旦病院の建物中で吸ってしまうとこれは非常に重いペナルティーを受けることになります。

何人かの患者さんが入院中に自室でタバコを吸った事例を見聞きしてきましたが、体調に問題なければ即刻退院になっていました。

もちろん手術した2日後でベッドの上から動けないとか、高熱が出ていてとても退院させられる状況でなければ、強制退院という処置は無いのでしょう。

タバコの危険性

タバコはアルコールと異なり、いろんな危険性があります。

例えば火の不始末があった場合には、火事になる危険性があります。病院が燃えれば大問題です。

また酸素ボンベを使用している場合などは、爆発の危険性もあります。

加えて呼吸器疾患で入院している場合には、喫煙によって一時的に呼吸状態が悪くなり、緊急的な対処をしなければならない場合があります。

私もそのような患者さんの対応をしている呼吸器の先生を見たことがありますが、それはそれは大変そうでした。

したがって病院内でタバコを吸うのは、健康を害するのはもちろん、火災や爆発など身近な危険があるのです。

アルコールとタバコ、どっちがダメ?

どっちも容認されるものではありませんが、タバコの方が一段罪は重いでしょうか。

タバコはあらゆる疾患に対してマイナスの効果を持つ上で、上にも述べたように火災などの危険性があります。

したがって民間病院など一部の強権的なところでは、一発退場、ブラックリスト入りになっても文句は言えないでしょう。

いずれにしても酒とタバコについては、退院させられることを覚悟で楽しむくらいの意気込みが必要でしょう。

【医師の視点】医者の喫煙率はやっぱり低い。しかし喫煙者は確実に存在している

2018年5月2日

Sponsored Link

関連する記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です