地方病院なんかで病院を受診すると、「本日の診察は出張医です」という看板が出ていたりしますね。
出張医とは、医者が少ない病院に他の病院から派遣された医者のことを指します。現代風に言うところの、派遣社員ならぬ派遣医師といったかたちになるでしょうか。
出張医の概要
地方病院や都市部の小〜中規模病院でみられる出張医とは、多くの場合は大学病院の医局から、地方の病院に出張に行っている医師のことを指します。
地方病院や都市部の小〜中規模病院では、常勤で医者を雇うほどの患者がいない一方で、週に1日とか2日位は診察してほしい診療科というのがあります。
例えば内科や外科であれば、患者さんの需要は多いですから、常勤の医師がいても問題ありません。
一方で皮膚科や眼科の場合は、週に5日は診察しなくても良いのだけれど、週に2日くらいは診察してほしい、といった場合が想定されます。
普段内科でかかっている患者であっても、糖尿病などは足の循環不全や視力の低下などの合併症を引き起こしますから、皮膚科や眼科との連携も必要になってくる、というわけです。
医者を雇うのはコストがかかる
また現実問題として地方病院に常勤医師を1人雇うのには、多大なお金と労力が必要になります。
大学病院に人を派遣してもらうように頼みに行ったとしても、大学病院自体がもはや人材不足ですから、そう簡単に人を派遣してくれるわけではありません。
今や大学病院はお金にクリーンですから、地方病院の院長がちょっとくらいお金を積んだところで、受けとってはくれないでしょうし、土下座しても難しいでしょう。
また医師求人会社に医師の紹介をお願いしても、病院の立地が良くなければ簡単に医師は集まらないですし、仮に医師を採用できたとしても数百万円単位の紹介料が必要になってきます。
都市部の病院や大学病院でさえ医師の確保に難渋している昨今の医療事情では、地方の病院に常勤医師を招聘するのは、すごく難しいことになってしまうのです。
出張医体制のメリット
一方で出張医体制の場合には、大学病院の医師にとっては、低すぎる大学病院の給与補うことができます。
私も大学病院に勤務しているときには、普段の大学病院勤務から環境がかわり金銭的にも良いという点で、この地方病院の出張と言うのが密かな楽しみでした。
また地方病院にとっては、常勤医師でないにしろ医者の派遣を受けることができるという点で、win-winの関係になるのでしょうか。
皮膚科や眼科を受診させたいときに、わざわざ他の病院を紹介するのは医療者にとっては面倒ですし、病院にとっては収入の減少に繋がりますし、患者にとっても煩雑です。
病院内で他科受診を完結できるのであれば、まさにトリプル-winといった感じになるのです。
出張医の仕事とは
基本的に出張医は半日とか1日単位で勤務していくことになるので、業務内容も限定されてきます。
普段は誰も常勤医師がいないような病院に赴く場合には、外来診療がメインになります。検査があるといってもせいぜい消化器内科医の内視鏡カメラとか、それくらいなものです。
週に一度しか出張しないような場合には、患者さんが待合室にたくさん待っていることもあり、仕事は結構忙しくなったりします。
業務量が自分でコントロールできないのが、なかなか辛いところではあるのですが…。
出張医として病院に行った場合の給料はかなり良い
出張に行った場合の給与・報酬というのは基本的には日給で支給されます。1日働いたからこの金額ね、といった感じです。
病院からもらえる報酬は高額であり、診療科にもよりますが1日働けばおおよそ80000円以上になります。
仕事が少ない日などであれば、実働2時間くらいで10万円近くを受け取ったこともありました。時給にするとなんと5万円にもなります。
一方で病院までの移動に往復5時間、病院での勤務が8時間なのに給料が10万円の場合もあり、時給に直すと10倍以上の差がでることもしばしばあります。
知り合いの内科医は、地方の病院に1週間ずっと出張ということがありましたが、夜間の待機や当直も含めて、1週間で100万円以上の給料があったと聞きます。
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