医学部に入学して1年から2年くらいの間は、教養授業を受けることになります。
教養と言われても日常会話でなかなか使う単語ではないので、なかなかイメージし辛いですよね。
googleによると
学問・知識を(一定の文化理想のもとに)しっかり身につけることによって養われる、心の豊かさ。
とういことですから、医者にとって必要な心の豊かさを身につけるために学ぶ、ということなのでしょうか。
英語、数学、化学なんかも医学とは直接関係ないけれども、後々必要になるかもしれない分野ということなのでしょう。
教養授業の実際
実際に学ぶ授業としては、英語、第二外国語、統計学、化学などなどが挙げられるかと思います。
どこの大学でもそうですが、医学部に入学した学生にとっては、受験勉強疲れというのものがあります。
オリンピックで全力を出し切ったアスリートに、オリンピックが終わってからも練習しろ、というのはちょっと酷ですよね。
それにこれらの教養授業というのは、将来的な医学に直結しないですから、だらだらしたレクチャーになってしまいます。
教養の授業に関しては大学の教員もそこまでやる気がないようで、過去問の使い回しとか、単位認定の甘さなど、その成績判定にはいろんな問題を含んでいます。
単位をもらうことに関しても、レポートの提出だけでOKな分野があったり、試験といってもカタチだけだったりするでしょうか。
何もしなくてもほとんどすべての学生は、1年目を突破することができるでしょう
教養授業が行われる時期は、大抵の学生はアルバイトや部活動に精を出したり、家でぐったりしていて、最低限の回数しか授業に来ないことも多いかと思います。
医学部における教養期間は、人生の春である
このような状況ですから、医学部の最初の1-2年というのは、医学生にとってのモラトリアムなわけですね。
授業は必ず出席しなければならないわけではない、授業が特段難しいわけではない、となれば遊びまわる医学生がいるのも仕方ありません。
それに総合大学の医学部の場合には、理学部や工学部などの他の学生と一緒に授業を受けることができて、同性異性に限らず、友人がたくさんです。
まさに華やかな大学生活の一端を楽しむことができます。
中には講義で隣り合った他学部の可愛い女性とお付き合いを始める男子学生もいたりして、なんとうらやましいものでした。
医学部の教養授業は改善の余地あり
医者になって思うことですが、この教養時代に学んだことは限りなくゼロに近いな、と思うわけです。
医療倫理について深く学ぶこともなかったですし、医学に限らず学んだ学術的な知識はほとんどゼロなわけです。
ただし医者になってみると、そこには改善されるべき問題がたくさんあります。
医師として到底容認できないような倫理的失敗を犯す医師もいますし、患者さんとのコミュニケーションがぎこちない医師もいます。
病院で働き始めたものの、長時間労働に対して疑問を感じることなく、働きすぎて誰にも助けを求めることなく、命を絶ってしまう医師もいます。
もしこの医学部の最初の1−2年で、医療倫理についてもっと教え込むとか、コミュニケーション論とか、または働くということに関するもっとも根本的、労働者にも権利があるよ、なんて教えることができれば、と思うのです。
そうすれば、働き始めてから不幸になる患者も医師も少なくできる可能性があるでしょう。
未来の展望。今後は厳しい時代が待っている
現在は、医学部での教育を国際標準レベルまで引き上げようといろいろな試みがなされています。
実習主体の専門教育がどんどん行われていますし、病院実習に出る前に試験を行うCBTという到達試験も21世紀になってから始まりました。
このような大きな流れを考えるに、医学部生における教養教育というのは、学生にとって厳しくなることはあったとしても、楽になることはないでしょうね。
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