【医師の視点】医学部生・研修医が診療科を選択するときに考えるべき4つの指標

研修医の2年間が終了してはじめて、それぞれの専門性のある診療科を選択することになります。

研修医の先生が、将来に専門とする診療科を選択する際には、どうしても迷いが生じてしまうものです。

ここでは診療科を選ぶ際に、心得ておくべきことをご紹介したいと思います。

自らの興味や適正を考えて診療科を選択すべきである

多くの研修医は、自らの興味や適性について考えたうえで、診療科を選択していくことになります。

手術が好きであれば外科、そうでなければ内科といったような具合でしょうか。

手技は好きだけれども、やるのはちょっと、、、という場合は、比較的内科の中でも手技が多い消化器内科や循環器内科などが候補に上がるかと思います。

逆に手技はやりたくない。といことであれば、内科の中でも手を動かすことが少ない神経内科などになりますでしょうか。

精神科、病理診断科などであれば、患者さんに直接何か処置を行う機会というのはほとんどないでしょうから、手技をしたくない研修医にとっては魅力的な専門分野かもしれません。

これらは病棟実習や、研修でローテーションした診療科の雰囲気をみて、決めていくことが大切です。

将来の診療科を決定するにあたって大切な指標

それでは趣味や適正の他に、研修医の先生が診療科を選択するにあたって大切な要素について考えます。

興味・適正

まず一番は、上にも述べた通り興味や適正ですね。

1日中椅子に座って考えているのがあっているのか、それとも手術しているのが楽しいのか、大きく分かれるところではないでしょうか。

診療科によっては派手な勧誘合戦をしているところもありますから、自分の心に正直に診療科を選択することが大切です。

QOL – 大切な指標になり得る

どのくらい休日があるかも非常に大事になってきます。

つまりは仕事の大変さですね。

働き始めてみると、医師の労働環境が非常に過酷であることを思い知らされます。

働くことが全く苦しくなければ、QOLなどという言葉を無視して、診療科を選択すれば良いと思います。

一方で自分の時間を持ちたいとか、趣味も楽しみたいとか、家族と過ごす時間を大切にしたい、という考えがあるのであれば、迷わずQOLを考慮すべきです。

そうでなければ医者を10年くらいやった後に

家族の時間を大切にしたいので、職場をやめます

という事態になりかねません。

実は医者を10-20年ほど続けて、家族の時間を持ちたいが故に一線から退いてしまう医師は少なくありません。

現状の医師の労働環境では、妊娠、出産、子育て等正当な理由をのぞいて、長時間労働から抜け出すには、医局・病院をやめるしかありません。

疲れたので時短勤務で、とはなかかなりにくいのです。

【医師の視点】4月から研修医になる医学生に贈る言葉。頑張らなくて良いよ

2018年3月23日

女性医師の場合

特に女性の場合は結婚・妊娠・出産と言うイベントを経験する女医さんが多いと思います。

あまりにも激務で、休みも中々とれなかったり、毎日夜遅くまで必要がある診療科であれば、家庭と仕事の両立が後々難しくなってきます。

また現実的に一旦手術となれば10時間くらい平気で手術時間がかかる腹部外科、脳神経外科、心臓血管外科に関しては、女性の場合は体力的にもたない面もあると思います。

私は女性でも外科や救急科などを選択するのは自由だとは思います。

ただ長期的に見て男性医師と同じ土俵で競争しなければならないのですから、現実的な選択肢をした方が良いでしょうね。

手術時間が短い診療科となると、皮膚科、眼科、耳鼻科(一部)、形成外科、乳腺外科、整形外科なんかでしょうか。つまりは体内臓器に直接的にアプローチしない診療科に限定されるかと思います。

上記のような背景からか、女医さんは眼科や皮膚科、麻酔科等、体力勝負ではない診療科で、比較的オンオフが明確に区分されている診療科を選択することが多いようですね。

女性医師における妊娠と出産の難しい問題。出産後も働きやすい病院・診療科のポイント

2017年8月24日

開業しやすいか、医局をやめても大丈夫か

もし興味やQOLを十分考慮した上で、さらに考える余裕があるのであれば、医局と喧嘩をしてしまった場合のことも考えておいた方が良いですね。

フリーの医師の求人は、内科系であれば引く手数多なわけですが、一部のマイナー科になると働く場所も限られてきます。

「自分は巨大な医局という組織をやめてしまうかもしれない」と考えている研修医諸君は、とりあえずメジャー内科に入局しておけば良いと思います。

何かしらの内科を経験さえしていれば、療養型の病院で働くことはできるでしょうから、食いっぱぐれることはありません。

多くの研修医はどこかの大学の医局に所属する

医局に人が集まらない時代ではありますが、それでも3年目からの進路として大学医局を選ぶ研修医は非常に多いですね。

中には早まって研修医1年目にして、既に入局宣言を済ませてしまう研修医もいます。

研修医たちに入局を決めた理由を聞いてみると

特に深くは考えていない

だそうで、やはり医局に所属することがいまでも標準であることを伺い知ることができます。

あまり明確なキャリアプランがないうちはとりあえず入局だけしておいて、専門医や学位を取得して、出世の見込みながなくなったら距離を置く、というのが正しい身の処し方なのかもしれません。

自分の親のクリニックや医院を継ぐか否か

そのほか自分の親がクリニックや医院を開業している場合には、それらを継承するのかどうか、という問題も出てきます。

医学部の同級生を思い起こしてみると、親が開業医をしている場合には、将来はクリニックを継承する進路も十分選択肢ですから、内科医系に進む医師が多かったように思います。

親のクリニックを継承するのは、医者キャリアの中ではかなりイージーモードです。なんとも恵まれています。

ですから継承するかどうかは別として、継承できるように同じ専門分野に進んだ方が賢明ですね。

まとめ

研修医の先生が、将来の専門を選ぶという行為は、医師人生の中でもベスト3に入るくらい重要な決断になると思います。

専門分野というのは日本どこにいてもついてきてまわりますから、研修病院を決定するとか、働く場所を決めるという以上に重要なことかもしれません。

いろんな診療科の情報を吟味して、後悔のない診療科の選択をしたいものですね。

【医師の視点】人口知能・AIから考える将来性のある診療科・ない診療科。どこが狙い目?

2018年2月10日
Visited 62 times, 1 visit(s) today

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です