保湿剤のヒルドイドが、美容目的に目的外に使われているらしいです。
厚労省が待ったをかけそうになった、というニュースです。
美肌クリームとしての使用に公的医療保険を使う不適切な例が指摘されている「ヒルドイド」などの医療用保湿剤について、厚生労働省は24日、処方の上限などの制限は見送る方針を決めた。
厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)が4月の診療報酬改定に向けて議論してきたが、診療報酬の審査支払機関に審査の強化を求める対応にとどめた。
産経ニュース 2018.1.24
ヒルドイドとは、保湿剤のことである
(qlifeより)
ヒルドイドとは、医療機関で用いられる保湿剤、という認識で良いかと思います。
実際に使用したことがありますが、少し油成分の入った軟膏であって、乾燥肌などには良さそうです。
具体的に病院で処方される用途というのは、皮膚科領域の疾患、抗がん剤の使用に伴う皮膚の変化、放射線治療に伴う皮膚の乾燥、等でしょうか。
ちなみにこのヒルドイドは、ローションタイプと、軟膏タイプの2種類があります。
入院患者さんで乾燥肌の人は多い
また病院の中はホテルのように乾燥しやすい環境にあります。
長い間入院している患者さんだと、乾燥肌に由来するかゆみとか、かさかさを訴える患者さんが多くいます。
特に高齢者だと、皮膚の水分というのはもともと少ないですから、冬などは特に乾燥しますね。
このような患者さんに、ヒルドイドを処方するわけです。
美容目的での使用が増加しているらしい
2017年末くらいからは、このヒルドイド軟膏・ローションを、美容目的で使い始める人が増加してきたようです。
本来は医療上必要な患者さんにだけ処方されるべきヒルドイドが、美容目的に使う女性にも乱発して処方されるのは、これは問題です。
年齢や収入の状況によっても異なりますが、基本的には処方薬も3割負担ですから、残りの7割は医療費、税金ということになります。
国民の税金・医療費を使って、主に女性のために、美容のために軟膏代を負担するというのは、なんだか腑に落ちません。
ですから、このような美容目的のヒルドイドの処方を制限するという観点から、医師の処方に上限を設けようという動きなのです。
本当に肌に良いのか?
問題となるのは、本当にヒルドイドが皮膚に、美肌に良いのかということでしょうか。
実際に臨床の現場でヒルドイドを処方している身分としては、残念ながらヒルドイド軟膏は決して美肌にはよくないでしょうね。
多少の成分の違いはあるかもしれませんが、基本的には乾燥肌に使われる保湿剤です。
病院でヒルドイドを処方している医者も、美肌のために処方しているわけではありません。
乾燥肌には効果があるかもしれませんが、長期的に使用することによって肌に張りがでるとかしわやたるみが少なくなるなんてことはないでしょうね。
正しい知識を身につけておくことは、やはり必要ですね。
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