女性医師が早くに子供を産むべき理由を考える。出産のタイミングは難しい

女性医師がいつ子供を産むべきか、これは難しい問題です。

キャリアか家庭か、人手の少ない病院で産休が取れるのか、問題は山積みです。

ただ一歩引いて考えてみると、出産のタイミングを伺うよりは、早く出産した方がお得なのでは?と思うのです。

ここでは女性医師が働き始めてから、なるべく早めに子供を持つべき理由について考えてみたいと思います。

年齢の問題を考えると出産は早い方が良い

出産には年齢のタイムリミットがあります。

20代よりは30代女性の方が妊娠しにくいことは広く知られていますし、40歳前後になれば自然妊娠をするのはかなり難しくなります。

日本生殖医学会のホームページを参照すると、40代前までは年齢の増加に伴う妊孕性の低下は緩やかですが、40歳を超えてくると妊孕性はガクッと下がります。

妊孕率は、女性1,000人あたりの出生数(17~20世紀のアメリカ、ヨーロッパ、イランなど10ヶ所のデータ:Henry, L. (1961). Some data on natural fertility. Eugenics Quarterly, 8(2), 81-91.)を元に、20~24歳を100%として計算した。年齢の増加に伴い(特に35歳以降)妊孕率の低下が認められる

どんなキャリアウーマンでも、年齢には勝てません。

自然妊娠ということを考えるのであれば、20代に妊娠・出産を考えるのが最も確率が高いといえます。

結局肩身の狭い思いをすることが多い

女性医師のうちでも小さな子供がいる医師の方が、労働環境では配慮されることが多いかと思います。

例えば小さい子供がいるときは、土日の当番や当直業務を免除されることが多いでしょう。

それに日中の外来、検査に関しても負担が軽減され、夕方ぐらいには仕事が終了するように調整されます。

雇用形態に大きな違いがなければ、給料はほとんど変わらないですし、仮に非常勤の勤務であってもお給料は大差ありせん。

したがって時給の点では常勤医よりも上回っていることが多いかと思います。

負担が軽減された分の仕事は、残りの常勤医が負担することになるのであり、独身の女性医師や男性医師にとってはなんとも不満のでやすい現状なのです。

私だって男性ですから、このような子持ちの女医さんの分まで働きを要求される立場です。

女性側の視点に立つ

もちろん女性医師だって、そのような特別な立場を求めていないかもしれません。

一緒に働いている子持ちの女医さんも、時間的な制限があるゆえか、なんとも肩身が狭そうです。

問題の本質は、労働時間の差があるにもかかわらず、それを給与に反映させない病院側の姿勢にあると言えます。

時間外の業務や休日労働などを、極めて安い賃金で強制的に行わせている労働環境・給与体系に問題があるのです。

このような制度の不備、環境はいつ子供を産もうともおそらく変わらないでしょう。

職場に迷惑をかけたくない」から出産を遅らすのは、あまり懸命な選択ではないでしょう。

早くに出産することは臨床能力の不利にはならない

医者になってすぐの間に結婚・妊娠・出産を経験することで、医者としての経験を十分に詰めないのではないか、という懸念もあるかもしれません。

しかしながら長い目で見た時、一般病院で勤務医として働く分には妊娠出産する時期はあまり関係ないとは思われます。

医者としての経験年数が1年か5年かでは、その臨床能力には大きな差があるでしょうが、20年と24年では、その差はほとんどないと言って良いでしょうね。

つまり40歳や50歳のお子さんがいる女性医師ということを考えると、子供をいつ出産したかにかかわらずこの先生は仕事ができる、できないは、ほとんど意識されないわけです。

ベテラン医師の妄言

ベテラン医師の中には「患者さんの全責任を負った経験のある医師しか信用できない!」などと宣って、キャリア初期での出産を一段下にみる発言もあります。

この発言をまともに考察すると、患者を持たない放射線科医や緊急手術以外で呼び出しのない麻酔科医などは全員ダメ医者、ってことになってしまいます。

病理医なんてもはや医者でない、そんな存在になってしまうのです。

まあそもそも患者の容態が急変したからといって、主治医が365日24時間呼び出される体制もどうかと思いますが…

長い医師人生の中では、女性医師にとっていつ子供を産むべきかというのは、たいして大きな問題ではないというのが率直な感想です

業績を積んでの出世は難しいかも知れない

一方でキャリアを積んで、アカデミックセンターでの出世を目指すのであれば、子供をいつ産むか以前に、子供を持つべきかどうかを考える必要があるでしょう。

大学病院や医学部の研究室で業績を積んで、教授などへの出世を目指すのであれば、家のことは構わずに研究に専念できる体制が必要です。

医療業界は依然として旧態依然の男社会であり、妊娠・出産でブランクができてしまう女性医師にとっては、教授職への出世はかなり難しいのが現状と言えるでしょう。

まとめ

女性医師にとっていつ子供を産むべきか、というのは永遠に難しいテーマです。

私の周囲の医師たちの行動を見ていると、結局ベストな出産のタイミングなんでそうそうないですから、結婚したら即出産が、最適なのではないかと思います。

迷ったら後先考えずに子供を産むというのが、良いかなと思っています。

女性医師における妊娠と出産の難しい問題。出産後も働きやすい病院・診療科のポイント

2017年8月24日
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