救急診療科をローテーションした場合の研修医の1日。私の場合

私が研修を行っていた病院は、地域でも有数の救命センターを擁する基幹病院でした。

全国的には救急医の不足が叫ばれて久しいですが、そこの救急部では10人以上の医師を有しており、アクティブに活動していました。

ですからそこでの研修は非常に厳しいものだったわけです。その時の状況などについて、救急部での研修を忘備録的に書いておきたいと思います。

救急研修での1日の流れ

病院の業務が始まる前に前日、夜間の搬入やICU患者の状態のについてカンファレンス・申し送りが行われます。

ちなみにここでの搬入とは、患者が救急車で病院に運ばれてくることを指しています。

今になっても思うことですが、ひとまず情報共有は非常に大切ですね。治療方針などの重要な決定についても、朝のカンファレンスで決定されることになります。

ICU担当患者の対応

カンファレンスが終わると自分の担当患者の指示を出すことになります。

研修医の身分なので指導医と相談しての形にはなりますが、今日の検査、前日の尿量や全身状態を見ながら輸液の量を決めたりします。

必要があれば他の診療科へのコンサルトや、状態が落ち着いてICUを出る場合、他の病院に転院する場合などには、それらの調整も必要になってきます。

これらのカンファレンスやICU患者への対応というのは、大抵午前中で終わります。

午後はカルテの記載や、人手が足りないところへの応援、患者さんの検査があればそれに立ち会ったりなど、比較的穏やかな時間が続きます。

午後16時ごろには再度夕方のカンファレンスがあります。当直帯の医師に向けて、日中の申し送りを行います。

実際にはこれらの業務だけではなく、救急患者の受け入れの初期対応にも、多くの時間を費やす必要があるわけです。

救急患者への対応

ICU患者の管理の他に重要な仕事として、救急患者を受け入れると言うものがあります。

いつ何時来るか分からない救急要請に対して受け入れを表明し、搬入されてくる患者さんに初期対応しなければなりません。

心臓が止まった患者さんには心臓マッサージをしなければなりませんし、呼吸が止まった患者さんに対しては気管挿管を行うことが求められます。

さらに運ばれてくる疾患の原因が心筋梗塞や大動脈解離の場合などは、循環器内科や循環器外科の先生にコンサルトすることが必要になってきます。

まさに一分一秒を争う現場なので、上級医たちの緊張度もすごく高まっていますね。

研修医の身分ですから、流石に先頭に立って指示を出すことはできないわけですが、採血をしたり、CVを挿入したりなど、できる部分はどんどんやっていくのが研修医の仕事となるわけです。

救急で研修する労働時間は長い

私が研修を行っていた当時、その病院は全国から救急での研修を目的に先生がこられていました。

したがってたくさんの患者さんを受け入れていましたが、その分たくさんの先生が働いていました。

日中の当番と夜間の当番は明確に区分されており、いわゆるシフト制であったように記憶しています。

従って自分の受け持ち患者が危険な状態にあるとき以外は、夜間の対応は当番の先生にお任せして、夜の6時とか7時位には家に帰ることができていました。

医者の生活としては時間的なオン・オフと言うのはある程度はっきりしていたと思います。

月の休みは少ない、毎日の緊張感がつらい

ただしそうはいっても1ヵ月の休みは3日とか4日ぐらいしかありませんでした。

慢性的な医師不足であることは変わらず、完全なるシフト制で対応しようとする医者の休みはどうしても少なくなってしまいます。

またいつ電話が鳴るのかの緊張感の中で仕事をしなければならなかったので、性神的にも非常に消耗するものでした。電話がなるだけでもピクッと反応してしまうのです。

総合的には救急での勤務体制は辛かった、のが本音でしょうか。

救急での指導は非常に厳しかった

研修医の場合は2-3ヶ月で救急部終了ですが、常勤の先生はそうとは限りません。

毎日の緊張感の中で仕事をしている救急の先生ですから、指導は非常に厳しかったのを覚えています。

少しばかりの失敗でも厳しく叱責されましたし、医師としてふさわしくない態度をとっていたりすれば、大目玉を食うこともありました。

朝のカンファレンスでは、救急の先生同士の間でも喧嘩しているんじゃないかと思うようなディスカッションが行われることがありました。

また私たちより年次が上の後期研修医の先生が怒られている姿を何度も目にすることがありました。

救急現場自体が1分1秒を争うシビアな現場なので、張り詰めた空気と言うのは致し方ないのかもしれません。

こんな厳しい救急の研修が数ヶ月続くのですから、当然途中でドロップアウトする研修医も出てきます。

研修医の先輩の中には、救急の研修が辛くて途中で研修をやめてしまった人もいたと聞きました。それだけ辛い研修なのです。

救急医療の現場で学んだこと

それでも救急で学んだことはたくさんあります。

まず救急の現場は非常にハードだということ。治療と体力、そして精神力が要求されます。

そして、初期対応においてはいろんな手技を学ばせてもらいましたし、心臓マッサージも初めて本気でやったような気がします。

普段病棟で働いているとほとんど経験しないようなことを経験する救急での研修は、非常に有意義であったわけです。

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