自宅や離れた場所にいながら医師の診察を受けることができる遠隔医療。
数年前から「いよいよ実現」とか言われているんですが、一向に広まる気配がありません。
どうしてなんでしょうね。
2018年春の医療・介護のダブル改定は、薬価引下げが隔年から毎年実施に移行する他は、大きな変化はないとの見方が多い。そのなかで新たな取り組みとして期待されているのが「遠隔医療」の本格導入である。
遠隔医療はテレビ電話やネットなどの通信インフラを介して医師が診断を行うというもの。政府は遠隔診療の新たな報酬体系導入などをテコに本格的な普及を目指している。現在でも遠隔診療は一部では導入されている。ただし、報酬の低さや利用範囲が限定的であることなどから、現時点では本格導入に至っていない。
これまで行政側は「診療は医師の直接対面が基本」としてきた。医師法でも診察を行わない診療は原則禁止されている。しかし、社会の高齢化や過疎地での急速な人口減のなかで医療現場は対応に苦慮している。無医村地区などの急速な増加に加えて、医師が都市部に集中することで十分な医療が受けられない“医療難民”も増加の一途だ。
会社四季報オンライン 2018.1.24
現在のところ、遠隔医療が本格的に導入されている医療機関は、本当に数少ないと思います。
遠隔医療とは対面が不要な診療スタイルである
病院に行くというとm医者や看護師と顔を合わせてお話しするということをイメージしますね。ただ、全ての患者さんが、医者による直接の診察を必要としているわけではありません。
高血圧や糖尿病で通院しているような場合には、血圧のデータとか、最近の血糖値の推移さえあれば、ある程度の診療は可能なわけです。
心臓の音や肺の音についても、患者さんがみずから聴診器を当てるとか、訪問した看護師が聴診器を使うことによって、遠く離れた場所にいる医師に伝えることも可能でしょうね。
家が近ければ毎月とか、3ヶ月ごとに病院に通うのは全く苦痛でないのでしょうければ、患者さんの中には車やバスで1時間以上かけて通院してくる患者さんもいます。
そういう患者さんでも定期的に検査しているのであればぜひ来てもらう必要があるのですが、体調を聞くだけだったり、簡単な薬を出すだけの患者さんもいますから、ぜひ遠隔医療の導入をお願いしたいところではあります。
また、高齢者の場合は、付き添いの家族がいなければ病院受診が難しいという場合もあります。病院に来ることが家族にとって負担となる場合もあるのですね。
ですから、このような対面が不要な診療に関しては、インターネットを介した遠隔診療で患者さんの状態を聞き、薬を処方する、という行為に置き換わって行くかもしれません。
医師にとっても、患者さんを病院の待合室でわざわざ待たせる必要がないですから、気が楽ですね。
対面が必要な診療も必ず存在している
といっても、実際に患者さんに触れて、診察してという行為はなくならいでしょう。
たとえば患者さんの首になにかできものができた場合、その大きさがどれくらいか、硬いのか、熱感があるのか、動きがあるのか、などなど、実際に触れて見て初めてわかる感触というのもあります。
また、実際に処置を行うような外科の診療科では、対面しての医療行為が必要になってきますから、これも遠隔診療に置き換えるのは難しいかもしれませんね。
医療者側としては遠隔診療は歓迎すべき
医療者、病院側としてはこれらの遠隔診療は歓迎されるでしょうね。
まずは患者さんが病院に来て待つ必要はないですから、事務、看護師の負担は軽減されます。
また、医者にとっても、病院内で患者さんを待たせるということがなくなりますので、余裕を持って診療に当たることができます。
遠隔医療が究極的に進めば、診察室というのは無くなって、コールセンターのようなパソコンと電話があるようなブースで、医者が患者を診療する時代がやってくるかもしれません。
まさに近未来の話のように思えてくるのですが、実際にはすぐそこまでやってきている、実現可能なはなしなのでしょう。
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