民間病院の特徴を5つ列挙する。働きにくい一面もあり

病院には大きく分けて、二種類あるといってよいでしょう。

公立病院と民間病院ですね。

民間病院とは、医療法人や公益法人、その他医師個人が運営している病院のことを指します。

街でみかける医院やクリニックも、個人によって運営されていることが圧倒的に多いですね。

厳密には病院ではないですが、形態としては民間医院、クリニックということになるでしょうか。

いくつかの民間病院で働いたことがありますので、その特徴的なことを書いていきたいと思います。

民間病院の特徴

まずは民間病院の特徴から書き出していきますか。

とにかく利益を出すことを求められる

民間病院は、個人や医療法人によって行われていますので、利益を出さなければ簡単に潰れてしまいます。

これは病院の存続を考えれば当然なのですが、最後は自治体や国が尻拭いをしてくれる公的病院とは大きく異なる点です。

私が以前働いていた民間病院でも、外来の患者数をもっと増やせとか、病棟の利用率をもっと効率よく行え、などの指示が毎週のように飛び交っていました。

公立病院よりも明瞭に数値化され、そして目標を具体的に達成できていない部署や個人に明確に指示が届くのです。

このようにノルマの達成を診療科ごとに求められ、民間病院は病院でありながら利益のために企業のような行動倫理を取ることになります。

その過程では病院や医療法人の買収や合併なんかもよくあります。

地方にあったそれなりの規模の病院が、気付いた時には大手の医療法人に買収されていた、なんてことも珍しくありません。

そうはいっても現在は大学病院や公立病院でも経営については厳しく問われていますから、いまや必ずしも民間病院だけがすごく経営について厳しいという訳でもないようです。

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診療科の偏りがある

利益を確保しなければならない民間病院には、診療科に偏りが見られます。

例えば小児科や救急専門の大病院はほとんどありませんが脳神経外科や整形外科、眼科の大病院はたくさんあります。

これは脳神経外科や整形外科、眼科の方が手術点数が高く、経営するには好都合である、つまりは儲けやすいからだと思われます。

一方で小児科や産婦人科は、激務の割には儲からない診療科ですから、病院の中に設置することはあまりメリットがないわけです。

いわゆる儲かりやすい診療科だけに力を 入れているのは民間病院の特徴と言えるでしょう。

給料が良い

市役所と一般企業の関係性のように、給与に関しては、公的な病院よりも若干良い傾向にあります。

民間病院によってその傾斜の付け方は様々ですが、入職1年目の医師の給料は低く抑え、何年も継続して勤務している医師の給与はupする、というような傾向もあるかと思います。

また、著名な医師が在籍してる病院では、そのような医師を頼って病院にやってくる患者もいるでしょう。

ですからたくさんの給与で著名な医師を雇う傾向も民間病院には意義があることになりますね。つまりは宣伝効果のようなものです。

これは民間病院が利益重視の倫理で動いているからですが、その分だけ医師に対する仕事量のノルマというのが問われます。

医局派遣の傾向は薄れる

民間病院の場合には、医局派遣の傾向が薄れる側面もあるかと思います。

◯◯病院というように巨大な親会社がバックについている民間病院の場合には、医局派遣の傾向はあるといえるでしょう。

しかし△△整形外科病院のように個人名を冠する病院の場合には、そこで働いている医師は医局派遣でないことは多いかと思います。

医局の関連病院というのは、ある程度規模が大きく患者の数も多い病院というのが一般的です。

病院側としても安定的に医師の供給が必要であり、医局側としても若手医師の教育の場となるような病院であることが多いかと思います。

一方で小規模の民間病院の場合は、医師の数も患者の数も多くなく、人の異動はあまりありません。ゆえに民間病院の場合には、長年勤務している医師だけで固められていることが多いですね。

もちろんこれは例外もあって、地域でも有数の規模になってくると、たとえ整形外科病院とか脳神経外科病院であっても、医局から人が派遣されてくることになります。

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院長の発言権が強い

民間病院は収益に重点が置かれていることを説明しました。ですから民間病院の設立者や院長は、医師というよりは、病院経営者としての側面が大きくなるかと思います。

したがって、その給料は非常に高額になるのはもちろん、病院の経営方針、診療方針、人事等については非常に強い権限を持っています。

公立病院では院長であったとしても結局のところは役職の高い公務員という扱いですから、病院の経営や人事権に対して全面的に権限があるわけではありません。

また、公職ですから任期はせいぜい長くても5年くらいであって、改革を推し進めるよりは当たり障りなく職務を全うするのが常ですね。

一方で民間病院の経営者ともなると、20年とか30年くらい院長職に就いていることもめずらしくありません。

もちろん定年なんてのはありませんから、80歳の医師が院長として現役で診療を行っている、なんて事例もあるのです。

トラブルにもなりやすい

しかし、この院長の強い権限はしばしばトラブルの元になることもあるのです。

あまりにもワンマン経営すぎると側近の医師や看護師が逃げ出してしまいます。

また倫理よりは利益重視になりますから、セクハラやパワハラ、病院内の医療事故等がもみ消される可能性もあるでしょう。

やはり権力が集中しすぎるのは組織にとってよいことではない、のでしょうか。

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まとめ

民間病院の特徴について書いてきました。

上記のポイントは病院や医療界に限った話ではなく、公務員 vs 中小企業でも同じような構図になるかと思います。

民間病院は良くも悪くも独特な病院が多く、自分と合う病院をみつけたいものです。

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