「病気かな?」と思ったらまずは近くのクリニックへ。かかりつけ医を持つことが大切

誰だって人間ですから、体の不調は出てくるわけです。もちろん心の面も含めてのことです。

ちょっとした症状があり病院にかかる場合、まずはどこの医療機関を受診すれば良いのでしょうか?

とにかく大病院!ではなくて、理想的には自分のこれまでの病気のことを知ってくれていて、なんでも相談できるようなかかりつけ医を持つことなのです。

よくある症状の場合

下痢が続いたり、喉が痛くなったり、39℃以下までの発熱くらいであれば、近くの個人医院(○○クリニック、●●内科など)を受診するのが最も適切な行動だといえます。

もちろん下痢を最初の症状とする大腸癌や、喉の痛みを最初の症状とする白血病など、些細な症状の裏に重大な病気が潜んでいる事はよくあります。

しかし全体として考えてみると、下痢の場合は胃腸炎、喉の痛みはただの風邪であることがほとんどで、たいていの場合は何もしなくても自然に良くなります。

もちろ、リスクのありそうな、重篤な疾患を有していそうな患者だけに追加検査を行うのが最も正しい方法ではあります。

ただし、それはスーパーマンのような極めて優秀な医師にしかできない技であって、現実的ではありまん。

患者の顔をみただけで、つまりは雰囲気だけで重篤な病気が隠れているかどうかは、スーパーマン的な医者にしかわからないものです。

加えて検査を行うことは全く体に侵襲がないわけではありません。思わぬ副作用をうむこともあります。

したがって、ありふれた症状を患者さんがいる場合には、対症療法療法で様子を見るのが、一番よくみられる対応になってしまいます

症状がよくならない場合は、追加の検査が必要

とはいうものの、症状がよくならない場合は追加で検査が必要です。

下痢や喉の痛みなど些細な症状であっても、1週間経っても良くならないときには、胃腸炎や風邪などのありふれた病気以外を疑って、より精密な検査をする必要がありますね。

実際に「どうせ大したことないだろう」と思って薬を処方した患者さんが、2週間後に同じ症状で受診してきた場合には、これは十分注意する必要があります。

私の場合だと、このような患者さんでは必ず注意深く話を聴き、多くの場合は次のステップの検査をするようにしています。

この段階になって初めて地域の総合病院を受診することも考えなければなりません。

ただし、医師の中には重篤な病気であるにも関わらず、3-4ヶ月もの間だらだらと経過観察を続けた挙句、総合病院に紹介されてきた際には病気が進行していた、ということもよく経験されます。

この「自分のクリニックでは手が負えないので、総合病院に紹介するタイミング」というのは、医師としての経験、的確な判断力が求められるところですね。

【勤務医の視点】信頼できる医院・クリニックの選び方。注目すべきポイント4つ

2018年3月29日

紹介状なしに総合病院を受診すると別途医療費が必要

ちなみに入院ベッドが200床以上ある病院に紹介状を持たずに受診すると、別途負担金(5000円程度)を支払わなければなりません。

これはまず症状があれば近くの個人医院、それでも改善がなければ紹介状を持参して総合病院を受診する、という受診行動の流れが医学的に妥当であることを裏付ける制度であると言えます。

医者が送る紹介状・診療情報提供書は通行手形のようなものである

2017年12月9日

最初から総合病院を受診することの是非

ここまで書いてきましたが、「もしかしたら重篤な病気かもしれないから、最初から設備の整った総合病院に行こう」という考えも最もかと思います。

このように医者にかかる患者の間には潜在的な大病院志向があり、地域の総合病院は常に混み合っています。

したがって、上記のような紹介状なしには総合病院には受診できない、または別途初診料を支払わなければならない、といった受診抑制策が計画されてきました。

ジレンマなのは、CTやMRIまでの検査のハードルは当然総合病院の方が低いですし、専門診療科を受診するような場合には、専門性という点ではどうしてもクリニックよりも総合病院の方が高いでしょう。

この辺りの受診すべき医療機関のコントロールというのは、なかなか解決するのが難しい課題なのです。

【勤務医の視点】総合病院で外来が遅れる5つの理由。どうして待たされるの?

2017年12月9日

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2 件のコメント

    • 誤解を招くような記述がありましたので、修正いたしました。コメントありがとうございます。

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