MRIの磁力が引き起こした惨劇です。
MRI室に入るときには、医療従事者でも十分に注意する必要があるのです。
【1月29日 AFP】インド経済の中心都市ムンバイで、親族の見舞いで病院を訪れた男性が、磁気共鳴画像装置(MRI)の強力な磁力に引き寄せられて死亡する事故が起きた。警察が29日、発表した
事故は27日夜、ムンバイにあるナイル(Nair)病院で発生。市警察が出した声明によると、男性は酸素ボンベを抱えて室内に入った際、磁力により装置へ引き寄せられたという。
警察報道官はAFPに対し、「インド刑法第304条にのっとり、医師1人と職員1人を過失致死容疑で逮捕した」と明かした。
AFPBB 2018.1.29
MRIの概要・原理
MRIとは、英語ではMagnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像のことです。
簡単に説明すると、部屋の中で発生した磁石の力(磁場)用いて、その力によって変化する水素分子の動きを捉えた画像になります。
MRIが画像検査としてよく使われるのは、おもに脳、肝臓、胆嚢、頭頚部といった領域になります。
逆に肺や大腸なんかだと、登場する機会はあまり多くはありません。
さてこのMRIなのですが、磁場が発生していると書きました。この磁場が、今回の不幸な事故の原因になったようです。
MRIの磁場の強さはすごく強い
MRIの磁場と聞くと、「ふーん」で終わってしまうのですが、この磁場が結構強力なのです。
例えばボールペン1本であっても、MRI室の中に放り投げれば、容易にMRIの機械に吸い寄せられていくでしょうね。
ボールペン1本くらいなら大して被害はないのですが、これが車椅子や酸素ボンベとなれば大変です。
実際にこれらを持って部屋に入ったことはありませんが、おそらく一瞬でMRIの機械に吸い寄せられていくと思います。
イメージとしては、MRIの機械が巨大なダイソンと思っていただければ良いでしょうか。
検査をしていない時も磁場が発生している
MRIの検査中でないからといって、磁場が0になるわけではありません。
基本的にはMRIが部屋の中にある間はずっと、強力な磁場が発生していることになります。
医師や看護師、患者がMRI室の中に入る際には、口すっぱく金属製のものは取外すように言われるのです。
また、クレジットカードなども磁場の影響で情報が消えてしまうので、持ち込まないように指導されます。
ですから、MRIの中に入る際には、必ず自分のポケットや時計などをちゃんと外しているかどうか、を確認する必要があるわけですね。
もしMRIの機械にくっついてしまったら
仮に酸素ボンベや車椅子がMRIの機械に吸い寄せられてしまった場合は、その磁力の強さから人の手で取り外すことはできません。
私も詳細はわからないのですが、業者を呼んで、MRIのスイッチを切って、メンテナンスしてもらって、という作業が必要になるようです。
ちなみにこの作業には1000万円前後かかるらしいので、一人の不注意で、医療従事者の年収二人分くらいが消費されるという恐ろしい事態になってしまうわけです。
今回の事件で男性が死亡した原因
さて、冒頭の話に戻ってみると、今回死亡した男性は、酸素ボンベとMRIの間にはさまってしまったのでしょうか。
もしくは、高速で移動する酸素ボンベが、彼に直撃してしまったのでしょうか。
正確な原因は記事からだけではうかがい知ることができませんが、相当に強力な衝撃が、死亡した男性に加わったものと推測されます。
MRI室に入るときには、十分注意するということが必要になってくるわけですね。
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