【勤務医の視点】医学界において出身大学・医学部による差別はあるのか?




医者の世界で時折話題になるのが、医学部の学閥です。

そして学閥に関連して、医局内での医師の出身大学による区別・差別というのはよく話題にのぼります。

公に語られることが少ない話題なのですが、言葉の端々にいまだに出身大学が重要性を持っているかもしれない、と思う時があります。

一般社会でも出身大学による学閥・差別はある

さて医学界における学閥と考えると、ちっせぇ世界だなぁ、と思ってしまうのですが、学閥自体はどこの分野にもあることです。

例えば官僚の世界。

官界で東京大学法学部出身者が官僚の合格者数で実績がある。

官界では東京大学の学閥だけ特別に力があるので東大出身者が有利となり、官僚の出世を左右している。公務員や司法試験の合格者数の統計が良い大学も評価される。

wikipedia: 学閥

官僚の世界では東大法学部が圧倒的な力を持っているようです。

そして、東京大学出身であるその事実が、出世にも影響してくるようですね。

このように出身大学によって、大学を卒業してからの進路や出世に影響が及ぶのは、医学部に限った話ではありません。

出身大学による差別の例

では医学の世界において、出身大学による差別はあるんでしょうか?

しばしば挙げられる差別の例は、下記のようなものかと思います。

地方のB国立大学を卒業した医師が、地元の大都市にある旧帝国A大学医学部の医局に入局します。

しかしながらA大学の卒業生でないために、大学からは遠く離れた病院での勤務を命じられ、なかなか大学病院に勤務させてもらえません。

もちろん最先端の研究にも従事させてもらえず、将棋の歩のように地方病院を転々とせられます。

一方でA大学の医局に入ったA大学の卒業生は、重要な関連病院での勤務を経てA大学病院に戻り、大学院生として研究を行いながら、着実に業績を伸ばしていきます。

そして、A大学内部において重要なポストが与えられます。

このように同じ大学医局に入ったとしても、出身大学・医学部によってその後の人生が変わってくるというのは、珍しいことではありません。

医師における出世や業績は重要な関連病院に勤務させてもらえるか、大学病院で重要な研究をさせてもられるか、そして海外留学させてもらえるか、などといったものに反映されます。

したがって、卒業した大学によってこれらに関して処遇が変わってくる場合があります。

つまり出身大学によって、出世ルートに乗れるかどうかが決定される場合があるのです。

医局に所属している医師は人事によっていろいろな病院で勤務する必要がある

2017.01.13

出身大学による差別が本当に存在するのか?

このような出身大学による区別、差別があるかどうかは、正直なところ不明確です。

差別があるかもしれないエピソード

ある関連病院で働いている先生には、「自分の医局の教授は自大学の出身者が好きだから、違う大学を卒業した自分は冷遇された」とおっしゃる方もいます。

またある知り合いの先生から聞いた話では、医局の人事を考えるにあたって、自分の大学の出身者か否かで勤務する病院がかわる、ということもあるらしいのです。

そのほか、某有名旧帝国大学では自大学の出身者以外はもはや眼中にもない、つまり入局した時点から相手にされていないというような話も聞きます。

これらの話を総合するに、おそらく出身大学による差別が全くない、とはいえなさそうです。

差別はないと思う理由

一方で私が医師として働いてきた中で感じるのは、出身大学による差別・区別はあまりなさそうです。

私の先輩・後輩でも、現在所属している医局のある大学出身でないにも関わらず、重要な研究を任されている医師は数多くいます。

同級生の中にも、出身大学とは異なる大学の医局に所属し、ステップアップして素晴らしい業績を残し、海外留学までしている医師もいます。

教授の母校が異なる場合

またA大学出身の医師がB大学の教授になる場合も、その医局については出身大学による差別はなさそうです。

B大学で勤務しているA大学出身の教授にとっては、B大学を卒業した医師であるかどうかはほとんど関心がないでしょう。

むしろ出身大学で医師をみることは、自分自身にも跳ね返ってくることです。

現実にはほとんどの大学では差別している余裕なんてないと思われる

むかしむかしは、出身大学によってキャリアルートが異なるはなしもあったそうです。

しかし今やほとんどの大学では医局の力も相対的に低下傾向にあり、人を集めるので精一杯です。人を選んでいる余裕なんてありません。

大都市圏のごく一部の大学病院を除いては、研修医に来て欲しいからと色々な手でリクルートを進めています。

したがって研修医が潤沢に集まるゴクゴク一部の大学医局をのぞいては、出身大学による差別をしている余裕なんてありません。

ほとんどのすべての大学では、出身大学に関係なく人材を集め、関連病院に勤務させたり、研究させたりするので精一杯ではないでしょうか。

医局の弱体化と関連病院の自立。医局の力は確実に弱まりつつある

2018.01.26

医学部における学閥支配の概要。今でも学閥は存在している

2018.04.14

Sponsored Link







関連する記事



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。