【医者の視点】論文から考える磁気ネックレスの効果。痛みや肩こりに効果がなさそう

スポーツ選手や若い男性などでは、磁気ネックレスを愛用している方が多いかと思います。

最近では若い男女においても、肩こりの解消という観点から、磁気ネックレスを着用している方も多いようですね。

それにしても、磁気ネックレスは本当に健康に効果があるんでしょうか？

ここでは実際の論文などを参照しながら、その効果について考察してみたいと思います。

論文紹介

一般的な認識としては、磁気ネックレスによって血行が促進され、肩こり解消、疲労改善などの効果があるだろう、ということでしょうか。

文献1

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19942103

Complement Ther Med. 2009 Oct-Dec;17(5-6):249-56. doi: 10.1016/j.ctim.2009.07.002. Epub 2009 Aug 28.

Therapeutic effects of magnetic and copper bracelets in osteoarthritis: a randomised placebo-controlled crossover trial.

Richmond SJ¹, Brown SR, Campion PD, Porter AJ, Moffett JA, Jackson DA, Featherstone VA, Taylor AJ.

文献2

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24066023

PLoS One. 2013 Sep 16;8(9):e71529. doi: 10.1371/journal.pone.0071529. eCollection 2013.

Copper bracelets and magnetic wrist straps for rheumatoid arthritis–analgesic and anti-inflammatory effects: a randomised double-blind placebo controlled crossover trial.

Richmond SJ¹, Gunadasa S, Bland M, Macpherson H.

こちらもイギリスからの論文です。

２つ目の論文では、関節リウマチの患者を集めてきて、銅性のアクセサリーや、金属製のネックレスなどを身につけてもらっています。

関節リウマチというと、特に指の関節に炎症が起きて、関節のこわばりや変形をきたします。

もともと関節が痛むような病気なわけですから、磁気のアクセサリー本当に効果があるとすれば、これらが改善するのでは、というようなシナリオのようです。

こちらの結果はというと

Wearing a magnetic wrist strap or a copper bracelet did not appear to have any meaningful therapeutic effect

磁気性のストラップやブレスレットを身に付けるのは、意味のある効果はない、と書いてありますね。

ということで論文２つともに、磁気ネックレスは肩こりや血流の改善に効果なし、となってしまいました。

結論：磁気ネックレスは効果がないようである

結論としては、いずれの文献も磁気のアクセサリーを使うことによって効果はありませんでした。

これをもう少し具体的に考えていきましょう。

アメリカの厚生労働省の下部組織に当たるNIHが発表しているサイトには、以下のような記述があります。

Research studies don’t support the use of static magnets for any form of pain.

「研究者たちは、どんな痛みであっても静的磁石、永久磁石を使うことを推奨していない」

ということのようです。

このサイトの中では、電気を使った電磁石については効果があるかもしれない、としています。

しかしただの磁気製品を身につけただけでは、ちっとも痛みなんてよくならないよ、ということを書いています。

スポーツショップでは磁気ネックレスが首回りの血行を促進し、首の痛みや肩こりにさも効果がありそうな宣伝がなされていますが、本当のところは効果はないようですね。

私もこの事実を知ってから、磁気ネックレスは身につけなくなりました。

磁気ネックレスはあくまでファッションということですかね。

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