【勤務医の視点】尊敬できる指導医は少ない。ローモデルを見つけるのは難しい

最近、病院の世界でもメンターをみつけよう!なんて話がされます。

ただし、理想の指導医、ローモデルを見つけるのは容易ではありません。

ここではその実情についてご紹介したいと思います。

メンターとは?

ちなみにビジネス世界でのメンターとは、下記のように説明されています

メンターとは、仕事上(または人生)の指導者、助言者の意味。

メンター制度とは、企業において、新入社員などの精神的なサポートをするために、専任者をもうける制度のことで、日本におけるOJT制度が元になっている。

メンターは、キャリア形成をはじめ生活上のさまざまな悩み相談を受けながら、育成にあたる。

コトバンク:メンター

医者にとってのメンターとは、理想の先輩医師、指導医といったところで、キャリアを形成するにあたってお手本となるような医師、といった解釈が正しいでしょうか。

特に女性医師にとっては、妊娠・出産・子育てを経ても第一線でバリバリ働く医師の存在は、たいそう心強い存在となりうるかもしれません。

しかし、医師がメンターとなり得る医師を見つけるのは簡単ではない、というのが感想です。

こういう育成システムを考えると、医師よりは看護師のほうが育成制度はしっかりしているかもしれないですね。

尊敬できない医師の方が多い。メンターみつけるのは難しい

医者になってはじめの頃は、研修医として色々な先生方にお世話になることになります。

研修医のローテーション中には、各診療科の先輩医師の後ろで医療行為の基本を学びますし、専門の診療科に進んでも、直属の上司に手取り足取り物事を学んでいくことになります。

ただしそのような先輩医師の中で尊敬できる先輩は、決して多くありません。

というかほとんどいません、ってのが私の感想です。

仕事ができる先生であっても、言葉遣いが粗暴、または行動が自分中心であることは少なくありません。

また性格が穏やかであっても、どこか放任主義でなかなか仲良くなれない先生など、どの先生も一長一短という感じなです。

先生についていきます!

という先生を見つけるのは簡単なことではありません。

評判が良い=良い先生、ではない難しさ

たとえ患者さんの診察、治療に熱心な先生であったとしても、周囲の医師から見て必ずしも良い先生、とは言えないのが難しいところです。

忙しくしている医師

患者さんからの評判は良い一方で、良いがゆえに医療行為に熱心で病院に遅くまで残っていて、労働時間に関してあまり関心がない先生もいます。

ある指導医の先生は患者さんの対応に人一倍熱心なわけですが、そのためか毎日病院を後にするのが遅い現実がありました。

医者の世界も一般企業と同じで、上司よりは先に帰りにくいものです。

そのせいか後輩医師たちも帰りにくい、という現実がありました。

早く帰ろうとしたら、軽蔑の目でみられたりとか、仕事に遅くまで付き合えといった感じを醸し出されることもあるようでした。

このような患者対応に熱心な先生は、患者さんにとっては良い先生であることは間違いないのですが、なかなか尊敬を得るのは難しいこともあります。

業績はあるが患者は診ない先生

また論文や学会発表などで業績面では評価の高い医師でも、患者対応となるとサッパリであることも珍しくはありません。

面倒な雑用は下に押し付けたり、患者の診察は後輩に任せて自分は研究に没頭するなど、後輩からの評判は芳しくない医師は少なくありません。

症例を渡さない医師

また先輩医師の一つの重要な義務として、若手医師の教育は挙げられるかと思います。

手術や検査について監督・指導を行う立場です。

そのような立場にあるにも関わらず「手術は全部俺がやる」といって、若手医師の育成に無頓着な医師もいます。

このように症例を独占してしまう先輩医師は後輩からの評判がすこぶる悪く、あまり尊敬はされないのではないでしょうか。

唯一尊敬できる医師もいたけれど

そんな先輩医師に対して厳しい私なのですが、これまでの医者人生の中で唯一尊敬できる、と言っても良い医師はちゃんといます。

その先生は外科医のであり、ちょうど外科の診療科をローテーションした時に出会った5-8年目くらいの先生です。

その先生は患者さん、コメディカルなど誰に対しても優しく、もちろん私たち後輩にも親切でありました。

一方では医療技術を常に磨いているところもあり、自分が患者だったらこのような先生に見てもらいたいなぁと思えるような先生でありました。

私の中では、今でもこの先生のすべてかほとんどパーフェクトであるように思えてきて、専門分野は違うわけですが尊敬しているわけです。

偶然再会する機会があった

その先生とは研修医を終えてからはほとんど会う機会がなく、お世話になりましたという言葉をかける機会もありませんでした。

しかしつい最近になって地域の勉強会でバッタリお会いする機会がありました。

せめて一言くらい、研修医時代のお礼を、とおもってふと立ち上がったのですが、さすがその先生。申し訳ないことに、私からではなく、その先生から声をかけてくださったのです。

研修医として2ヶ月とか3ヶ月ぐらいしかローテーションしていないにも関わらず、私のことをしっかりと覚えてくれていて、しかもフランクに話しかけてくれるなんて、大した先生です。

自分も誰かのメンターになりたい!

てなわけで、せっかく医師として働くならば誰かのメンターになりたいものですよねぇ。

もちろん「今日から俺はお前のメンターだ!」なんて強制することは不可能ですから、自然とそうなってもらえるように普段から良い医者であるしかないのですが…

患者さんからも、同僚からも尊敬される医師になるのはなるほど簡単ではないようですねぇ。

【医師の視点】医者はマスターベーションをしてはいけない、というある先生の言葉

2012年11月11日

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