ブルーベリーのサプリメントは巷で幅広く販売されていますね。
このようなサプリメントを特集した記事をみてみると、どうやら目に良いとされているらしいですね。
学生時代の教科書には、視力の悪くなった人に「ブルーベリーを処方する」なんて書いていなかったと思いますが、さて、効果のはいかほどなのでしょうか。
医学論文に基づいて検証してみたいとおもいます。
コンテンツ
論文紹介
論文1:ブルーベリーは高齢者の認知機能を改善する
Eur J Nutr. 2017 Mar 10.
Dietary blueberry improves cognition among older adults in a randomized, double-blind, placebo-controlled trial.
PMID: 28283823
ボストンからの2017年の論文です。目・・・とかではなくて、調べている対象は老人の認知機能となっていますね。
METHODS:
In this study, 13 men and 24 women, between the ages of 60 and 75 years, were recruited into a randomized, double-blind, placebo-controlled trial in which they consumed either freeze-dried blueberry (24 g/day, equivalent to 1 cup of fresh blueberries) or a blueberry placebo for 90 days.
この論文の良いところは、ちゃんとした研究デザインがされているところでしょうか。
男性13人、女性24人を対象として、ブルーベリーか、ブルーベリーもどきでまったく違うもの、のどちらかを摂取させています。
そしてブルーベリーを与える側・もらう側のどちらも、これが本当にブルーベリーなのか?分からないようにして摂取したり、させたりしているのです。
These findings show that the addition of easily achievable quantities of blueberry to the diets of older adults can improve some aspects of cognition.
結論のところでは、ブルーベリーが高齢者の認知機能を向上させると、書いてあります。
視力をあげると思いきや、ブルーベリーは高齢者において認知機能の向上に寄与しているらしいですね。
論文2:ブルーベリーは高齢者の記憶力を改善する
Agric Food Chem. 2010 Apr 14;58(7):3996-4000.
Blueberry supplementation improves memory in older adults.
PMID: 20047325
こちらも目に関係することではなく、記憶力の話が書いていますね。
The findings of this preliminary study suggest that moderate-term blueberry supplementation can confer neurocognitive benefit and establish a basis for more comprehensive human trials to study preventive potential and neuronal mechanisms.
要約の最後の方にも、ブルーベリーを摂取することで神経系の機能の衰えを予防する、というようなことが書いてあります。
確かにブルーベリーには抗酸化作用と抗炎症作用をもつアントシアニンが多く含まれているようですが、このアントシアニンは視力だけでなく、神経系のシグナル伝達などに幅広く作用するようです。
これは、確かに上に書いてあった、ボケにくくする、という作用と一致していますね。
論文3:ブルーベリーは網膜の障害を抑制する
Visible Light-Induced Lipid Peroxidation of Unsaturated Fatty Acids in the Retina and the Inhibitory Effects of Blueberry Polyphenols.
Liu Y1, Zhang D2, Hu J3, Liu G1, Chen J1, Sun L1, Jiang Z1, Zhang X1, Chen Q1, Ji B3. College of Food and Biological Engineering, Jimei University , Xiamen, Fujian, People’s Republic of China.
Then the retinal protective activity of blueberry polyphenols against light-induced retinal injury was confirmed in vivo.
On the basis of the above results, inhibiting lipid peroxidation of UFAs in the retina is proposed to be another important function mechanism for antioxidants to nourish eyes.
中国からの論文ですが、この論文では、ブルーベリーに含まれるポリフェノールの作用によって、眼にある網膜の障害が抑えられた、と書いてあります。
まさにブルーベリーの眼に対する良い作用ですね。
網膜とは目を開けていると入ってくる光を認識する組織で、眼の中でも重要な部分です。
ブルーベリーの網膜に対する作用は分子生物学的にも解明されているようです。
ただしエビデンスは十分というわけではない
こちらはアメリカの保健省が開設しているサイトです。
ブルーベリーの親戚であるBilberryについておもに書かれています。
What Have We Learned?
There’s not enough scientific evidence to support the use of bilberry for any health conditions
Researchers are interested in bilberry in large part because its berries have a high concentration of antioxidants called anthocyanins, which some studies suggest may have health benefits.
これらを日本語に翻訳すると
ブルーベリーが健康に良いとする十分あエビデンスはない。
しかしながら、アントシアニンと呼ばれる抗酸化成分を多く含んでおり、研究者たちは興味を持っている。
いくつかの研究では、これらに健康上の利益があることが示唆されている、
と書いてありますね。
政府機関が開設しているサイトとしては、はっきりとブルーベリーが健康に良いかどうかわからないけれども、ブルーベリーが体に良いとする研究はあるよね、といったところでしょうか。
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