21世紀のネット社会。
インターネット上には情報があふれ、正しい情報にたどり着くためには取捨選択する能力が必要とされています。
特に専門性の高い医療情報については、情報を提供する側のモラルが問われる一方で、その真偽を見分けるのはほとんど困難な状況です。
信頼ある医療情報を得るのはすごく難しく、数年では解決できない問題なのでしょう。
コンテンツ
DeNAのキュレーションサイトWELQ事件
2017年にDeNA株式会社が運営する医療情報サイト・WELQが問題になったことは記憶に新しいかと思います。
DeNAのヘルスケア情報キュレーションサイト「WELQ」(ウェルク)において、不正確な内容や著作権侵害・医師による監修がない医療記事が大量に存在するという問題に端を発し、DeNAの他のキュレーションサイトも同様の問題が次々明らかになった。
一連の騒動は、DeNAだけの問題にとどまらず、提供するのはあくまで「場」・プラットフォームであるとして、事業者自身は利益を得ながらも責任を負わないという無責任な運営姿勢、コンテンツ制作を安易に外部委託するリスクという、現在のインターネット業界の問題を浮き彫りにした。
これはDeNAが運営するサイトにおいて、アクセス数を稼ぐことを第一目標とした結果、トンデモナイ医療情報が掲載されることになりました。
医療情報はヒトの健康に影響を及ぼしますから、「健康食品でがんが治る」といった適当な記事は十分注意しなければなりません。
間違った情報が導き出す間違った治療
医療情報はヒトの健康や生命に直結するだけに、その正確性は非常に重要です。
明らかに誤った「そんなバカな」と思うような情報も、読む人によっては信じてしまうかもしれません。
もう少し話をひろげてみると、がん患者さんの中には高いお金を支払って民間治療を受けている患者さんがたくさんいます。
ガンに効果のある◯◯治療など、耳への聞こえ方は良いのですが、お金だけがかかって効果のない治療であったりします。
ヒトの体になにか注射するとか、投与するのであれば、完全に効果がないと言い切ることも難しいかもしれませんが、金の延べ棒で体をさする治療方法などはもはや宗教儀式でしかないですね。
これは体に全く効果はないと断言して良いでしょう。
これらの治療法を提供している側はあたかも効果があるような宣伝をするので、患者さんが本当に効果のある治療かどうかを見分けるのは難しくなっているのが現状です。
信頼できる情報源は医学書・Pubmedなどである
では信頼ある情報はどこにあるのか。それは医学書や、その記載のもととなった論文まで遡る必要がありそうです。
インターネット上の信頼ある情報源のひとつが、pubmed(パブメド)と呼ばれるサイトです。
医療に関わる人間であれば、必ず聞いたことのあるインターネット上のサイトです。
pubmedとはいわゆる医療情報のgoogleであって、これまで公に発表されてきた論文が検索できるようになっています。
大学などのアカデミックセンターに勤務している場合には、ほとんどすべての論文が読めるようになっています。
これらの論文が知識の蓄積であり、今日の医学書に書いてある内容はすべて論文から引用されている、と行っても過言でしょう。
常に論文を読むのは不可能
医学書とか論文とか簡単に書く訳ですが、疑問に感じたことをすべて正当な情報源から得るのは難しいでしょう。
論文を読むにしても、医学書を参照するにしても、医学的な背景知識が必要です。
医者だってちょっとした疑問はGoogleでサクッと検索する方が圧倒的に楽だと感じるのです。
論文だからといって正しい訳では無い
また論文に書いてあるからといって、その情報も必ずしも正確ではありません。
製薬会社から研究費の提供を受けているが故に、論文の結果が左右されてしまうこともおきています
ディオバン事件(ディオバンじけん)とは、高血圧の治療薬であるディオバン(一般名:バルサルタン)の医師主導臨床研究にノバルティス日本法人のノバルティスファーマ社の社員が統計解析者として関与した利益相反問題(COI: Confilict of Interest)、および、臨床研究の結果を発表した論文のデータに問題があったとして一連の論文が撤回された事件を指す。
つまり、正しいとされる研究であっても、そのスポンサーや環境要因によって、容易に影響を受けてしまうわけです。
正しい信頼情報を得る一番の近道
それでは、どのようにすれば正しい医療情報を得ることができるのでしょうか。
一つ可能性があるとすれば、大学病院や公的病院のホームページを参照することでしょう。
大学病院は営利目的で運営されていることはありませんから、ぶっ飛んだがん治療を無理に推奨していることはありません。
また公的病院に関しても、怪しい治療をしていることはほとんどありませんから、こちらに書いてある情報も信頼できるといって良いでしょう。
注意しなければならないのは、クリニックや小規模病院のホームページです。
これらの病院では大部分はちゃんとした情報が掲載されいてるのですが、営利目的にあまり効果のないがん治療を前面に押し出している可能性もあり、ごく一部にトンデモな記事を書いているところもあります。
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