先日旅行に行った際に、アレルギー対応の難しさについて考えさせられる出来事がありました。
私はカニに対して食物アレルギーがあり、それを食べないようにしています。
カニを食べると、アナフィラキシーショックが出るわけでは無いのですが、蕁麻疹のような症状が出て、全身がかゆくなってしまいます。
この症状がはっきり出るとわかったのは12歳ごろのはなしであり、以来カニという食物は私にとっては地雷のような存在で、特に冬の季節は避けるようにして生きてきました。
生死に関わると言う事は無いのですが、食べてしまたっら最後、3時間ほどかゆいのを我慢しなければならないと言う状況が起こり得るわけです。
ですから飲み会なので料理を食べる際には、カニやすり身などは極力食べないように気をつかっています。
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旅館に行った際に危機一髪
先日旅行に行った際に、夕食をホテルで食べる機会がありました。
もちろん事前にホテル側には、カニにアレルギーがあるので、カニを使った料理は出さないでください、と言うふうにお伝えしていました。
チェックインの時にも、ちゃんとアレルギーの件についてはスタッフが把握していたようです。
ところが夕食の段階になって、いざ配膳されてきた料理を見てみると、なんと私のほうのさらに、カニが載っているわけです。
まさにえええーって感じです。アレルギーがある人間に対して、その原因物質を出してしまうなんて、なんということなのでしょうね。
幸い配膳されているのは明らかにカニらしいカニだったので気づくことができました。静かに妻に渡して、食べてもらうようにしました。
このようなアレルギーに対する対応と言うのは、非常に難しいことが多いです。
ホテルや旅館でのアレルギー対応の難しさ
アレルギーに非常に敏感な病院が、万全の体制で頑張って対応していても、完全には防ぎきれないのが、このアレルギー問題なのだと思います。
食事の内容やサービスの質など、アレルギー対応よりも重要なことがたくさんあるホテルや旅館においては、アレルギーの対応を万全にするのは難しいことでしょう。
ホテルや旅館の料理というのは、限られた食材で、アレルギーに関する専門のスタッフもいない中でアレルギーの対応しなければなりません。これは想像するだけでも、非常に面倒で難しいことです。
宿泊施設の料理人は、食材や調理法、味に関してはプロかもしれませんが、アレルギーに関しては普段意識していないでしょう。
そのような実情を知っている身分としては、とてもホテル側に対しては、今回の件は指摘はできても苦情を言うことができませんでした。
病院の中でのアレルギー対応の実情
アレルギー反応が生死に直結することのある病院内では、患者さんのアレルギーに対する配慮は厳格になっています。
食物アレルギー
病院の中では、食事に関しては、専門の栄養士が患者さんごとに個別にメニューを調整して調理しています。
したがって、食事のアレルギーで患者さんが誤って原因物質を摂取して問題になることは少ないように思います。
病院の中の調理場では、アレルギー対応だけではなくて、減塩食や低タンパク食など、相当食事に関してもかなりの力が入っている背景があるのかもしれません。
薬剤のアレルギー対応
一方で薬のアレルギーの対応になると、結構難しい場合も多いです。
私たち医師が薬を処方したりする場合には、一患者情報の欄から、アレルギーの項目を見るようにしています
ただ、日々の忙しい診療の中で、自分自身で何度もチェックしたりするのは不可能です。また含有されている成分が同じだけれども、名前は違う薬剤ということも十分あるわけです。
したがって事前にアレルギーの情報を把握していたとしても、患者さんにアレルギーの原因となるような薬剤を投与してしまうことがたまに起こります。
実際に私の同僚が、運悪く患者さんにアレルギー性物質をを含んだ薬剤を処方してしまったことがありました。
幸いその薬を使用した患者さんは皮膚に発疹が出ただけで、大きな被害はなかったのですが、病院内で起きた事件ということで、インシデント扱いになってしまいました。
CTやMRI造影剤への対応
患者さんによっては、特定の薬剤によってアナフィラキシーショックを起こして生死に関わることもありますので、この患者のアレルギー問題というのは非常に重要です。
特にアレルギーがよく出やすい、CT造影剤やMRI造影剤に対する対応は人一倍気を使います。
患者さんには造影剤カードと呼ばれる、過去に使用した造影剤、その時の症状などを記録するいわばミニカルテのようなものが手渡されるのが一般的になっています。
その時の記録は電子カルテ上にも蓄積されており、くしゃみや鼻水などのアレルギーを少しでも疑う症状があった場合には、次回から異なる造影剤を用いる、という対応がとられます。
まとめ
アレルギーに万全に対応する、というのは非常に難しいものです。
アナフィラキシーショックが発生するほどの重篤な食物アレルギーの場合は、何としててでも、原因物質は除去しなければならないわけです。
しかしながら、サービスや利益を重視しなければならない病院外の飲食店では、万全に対応するのが難しい場合もあるでしょう。
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