研修医時代には、外科手術に入る機会が何回もあると思います。外科志望でなくとも、皮膚の縫合くらいは経験することがあるかもしれません。
また外科志望であって本気で手術に挑むのであれば、是非とも定型的な手術の流れについて知っておきたいものですね。
ここではおすすめの外科手技本についてご紹介したいと思います。
★★★ カラーイラストでみる外科手術の基本―ILLUSTRATED BASIC SURGERY
一般外科の入門書という位置づけで、研修医や術場の看護師向けに書かれています。
術式についての解説では鼠径ヘルニア、虫垂炎などにとどめられ、残りの大部分は糸結び、止血、縫合など術中の基本動作についての解説が書かれています。
電気メスの原理や、各器具の名称、使い分けなども解説されており、学生のみならず外科で研修する際にも役立つ1冊ではないでしょうか。
★★★ イラストレイテッド外科手術
虫垂切除術、胆嚢摘出術など消化器外科で基本となる手術から、胃全摘、膵島十二指腸切除まで幅広くカバーした手術書です。
最初の10ページほどは術式の理解に必要な腹部の解剖について解説されており、特に”膜”について発生学の観点から詳細に解説が加えられています。
イラストは詳細かつ明快、何回も改訂が行われているので非常にQualityが高いものとなっているでしょうか。
ところどころにコラムが挟まれているのも読んでいて楽しく、研修医が購入する手術書としては間違いない医学書になるかと思います。
なお通常版と縮刷版が出版されていますがが、内容は同じです。携帯性を考えると縮刷版の方が何かと便利ではないでしょうか。
★★★ 新臨床外科学
消化器、心臓血管系、頭頸部、内分泌、小児外科分野などのメジャーな手術適応疾患をカバーしている総合外科学書といったところです。
各疾患については概念、頻度、臨床所見、検査所見、診断の流れで記載されており、ここまでは一般的な内科学書とは大差ありません。
しかし治療の項目では、外科学書らしく手術手技について詳細な説明が加えられています。
手術だけではなく、放射線治療や化学療法まで言及してあり、全体的に治療に主眼を置いて解説してある外科学書でしょうか。
画像やイラストなども文章量に比較して適量であり、読みやすい構成になっています。
1200ページに及ぶ大著ではありますが、外科分野で扱うほとんどの疾患を網羅した医学書と言えるでしょう。
将来的に外科系診療科へ進むことを考慮に入れている場合には、1冊持って置いて損はない医学書ではないでしょうか。
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