医局の中では最大の権力者であり、たくさんの権限を有しているとされる医学部教授。
教授になるためにはどのような能力、成果が必要なのでしょうか。
ここでは教授になるために必要な論文業績についてご紹介したいと思います。
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医学部の教授になるには業績がすべて
医学部の教授になるためには、なんといっても論文の業績が必要です
医者には仕事のできる医者とそうでない医者がいるわけですが、いわゆる臨床能力を客観的に評価するのは簡単ではありません。
患者さんに親身になって対応し、診断や治療が的確であるのが理想的な医師であるのでしょうが、これらを数値化するのはまず無理です。
手術に関しても上手な医師=良い医師であるわけですが、手術のうまさを客観的に評価するのもこれまた困難です。
それよりは「世界で初めての手術」とか「日本初の試み」のキャッチフレーズの方がわかりやすくて意味を持ちます。
したがって医師の能力、業績を客観的に評価しようとすると、どれだけ論文を書いたか、その論文をどのような雑誌に掲載することができたか、ということが重要になってくるわけです。
現在出版されている医学雑誌は、インパクトファクターと呼ばれる評価数値でランク付けされており、インパクトファクターの高い雑誌にたくさんの論文を掲載することが、業績とされています。
もちろん実際の教授選で教授を選考する場合には、年齢や研究内容、人格など論文以外の面も選考対象なわけです。
一方で基本的には論文の業績が最も重要視されていることは疑いようがありません。
教授になるために必要なものは、研究能力である
このように論文が大切にされる背景には、医学部の教授に必要とされている能力が研究能力である側面もあります。
大学病院の役割は、医学研究を推進し、新しい治療方法や診断方法、検査方法などを開発することです。
研究を進めながら国から研究費を獲得し、その研究費を使ってさらに研究の領域を広げる、そんな企業経営者のような能力が要求されます。
実際にアメリカの研究室では、いかにして国や企業から研究費を獲得し多くの業績を生み出せるかがどうかが、評価されるポイントになっています。
臨床能力についてはあまり評価されない
臨床能力に関しては必ずしも高い評価の対象とはされないことが多いでしょうか。
外科系の診療科で手術に関する研究を行っているような場合には、手術の腕は大前提になるわけです。
一方で医学部の教授でありながら手術が下手くそな医者はたくさん存在しています。
むしろ研究ばかりしている教授の中には、手術の腕はイマイチ、なんていう教授はごまんといるでしょう。
同様に内科系の診療科では、医者生活のほとんどを研究室で過ごし、病院での臨床能力は大したことのない教授陣はたくさんいるでしょう。
患者をあまり診療していない医師であっても、高い研究力、業績があれば教授になれてしまうんです。
ただしこれらが問題だ、今すぐ改善しなければならないかというと、難しいところでもあります。
高い臨床能力と高い研究能力を両立させるのは、そうそう簡単なことではありません。
医学部教授になるにあたって一番大切なのは、研究を推進し業績を生み出すことですから、研究を優先してきた医師が教授になるのは自然流れです。
教授になるために必要とされる業績は大学によっても違う
教授になるために必要とされる業績は、大学によっても大きく異なります。
例えば日本をリードするような研究を行っている東京大学や京都大学の医学部教授になるためには、日本のみならず、世界的にもトップレベルの研究業績が求められます。
医者人生の中で新しい病気を発見したとか、新しい治療方法を開発した位のインパクトのある研究成果と論文業績が求められるのです。
医者の中でも研究業績の非常に高い医師が就任するわけですから、当然のことながらこれらの大学に配分される研究費は同じ分野でも突出して多くなります。
したがって東京大学や京都大学の教授になることは、医師にとっては大成功の証と言えるでしょう
一方で地方大学や私立大学では、研究に関してはそこまで盛んに行われていません。
伝統的に研究が活発でなかった背景もあるでしょうし、研究を行う研究費や人員が不足しているということもあるでしょう。
したがってこれらの大学の医学部教授になる場合には、東京大学や京都大学ほどの業績は求められないことになります。
そうはいっても医学部の教授とは医師人生における成功者の証であり、誰もが追い求めるところでもあります。
教授になって良いことはある?
教授になるメリットに関しては、以前よりも確実に失われている状況です。
以前は医局員の人事権を持ち、尊敬される存在であった医学部教授なのですが、いまやどこの医局も人材不足です。
医局員に対して無理にあっちの病院へ行け、こっちの病院へ行けと話していては、簡単に医局員にやめられてしまう時代です。
収入の面でも、所詮は大学職員ですから大したことはありません。大学からもらえる給料はせいぜい1500万円くらいじゃないでしょうか。
金銭面を追い求める教授陣は製薬会社への講演やアルバイトなどで精を出す場合もありますが、あまり褒められたものではありません。
マネーに関する周囲の目はどんどん厳しくなっていますから、収入の面で改善されることはあまりないでしょう。
したがって医学部の教授とはもはや名誉職であり、実利面で良いことがあるとはとても言い難い状況になっています。
何れにせよ、医学部の教授にとっては受難の時代になっているといえるのではないでしょうか。
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