医局をやめて再び医局に戻ってくる先生はほとんどいない。一方通行の世界なのである

医局をやめた先生が、再び医局に舞い戻ってくることってあるのでしょうか。

実際のところは

入るのは簡単だけれども、辞めるのは少々手間がかかる

そして

一旦出たら戻ることができない、戻るのが難しい」。

そんな一方通行の組織が医局なのです。

医局に入るのは簡単だが辞めるのは難しい。辞める時には慎重な対応が求められる

2017年10月8日

医局に所属することに関して契約書は存在しない

一方通行であることを考えるならば、医局と医局員は夫婦みたいな関係性かもしれないですね。

結婚するのは簡単だけれども、離婚するのは面倒。そして一旦離婚するともう元には戻れない、みたいな。

離婚する原因も様々で、価値観が合わないとか、給料が安いとか。

夫婦の場合は喧嘩しても仲直りすることはできるでしょうが、医局と医局員は喧嘩した時点でやや終わった感はありますが・・・。

ところで夫婦関係と異なるのは、医局と医局員のあいだには明文化された契約書がないことでしょうか。

実はあまり理解されていない部分なのですが、「医局員」=「大学病院や関連病院の勤務医」と「病院側」との雇用契約はあるのですが、医局組織との契約はありません。

会社員はもちろん、アルバイトですら雇用契約書は存在するわけですが、医局との間には契約書は存在しないのです。

つまりは医局との契約書は存在しないにも関わらず、医局の命令によって勤務する病院を変えていくというよくわからないシステムになっているのです。

いってみればA社に勤務する会社員の勤務地を、全く関係のない町内会の理事長が全部決めているといったような感じです。

医局を一度やめると戻りにくい

そんな矛盾を孕んだ組織であるにも関わらず、どうして医局を一度やめてしまうと戻るのが難しいのでしょうか。

医局に戻ってくる先生がほとんどいない理由の1つに、一度医局をやめてしまうと戻ってきにくい、という背景があるかと思います。

医局を辞めていく医師の中には、数は多くはないですが、喧嘩別れしてしまう医師が存在します。

つまりは「俺はこんな医局やめてやる!」などと怒鳴りつけて、ドアを力強く閉めてやめていってしまうパターンですね。

どんな組織でも不満を持つ人間はいるものですが、それ表出するのは最終手段と心得るべきです。このように決別してしまった場合には、医局に戻ってくるのはほとんど不可能になってしまうでしょう。

また表面上は穏便に医局を脱退したとしても、医局を辞めるというのは、なんとなくその道を外れるとか、組織を蹴って出ていくイメージがついてしまいます。

ちょうど中学生や高校生が学生生活の途中で部活をやめて気まずい思いをするとか、全員参加の行事に自分だけ参加しないというような感じでしょうか。

もちろんこれは医局の内部にいる人間の感覚であって、外にいる人間からしてみれば医局を辞めるのは通常の転職・ステップアップな訳ですが、どこかネガティヴなイメージがつきまっとってしまうのです。

どうしてなんでしょう…。

医局と喧嘩別れすることのデメリット。できれば穏便に辞めたほうが良い

2018年1月8日

医局に戻ってくる理由がない

医局に戻ってこない医師が多い理由の中には、単純に戻ってくる理由がない、ことも挙げられるかと思います。

例えば家庭の事情で医局を辞めて異なる都道府県に転居した場合には、わざわざ医局に戻ってくる必要がありませんね。

また開業医として第二の人生を歩み始めた場合も同様で、わざわざ医局に戻ってくる必要がありません。

実際問題のところ、開業医の先生の場合は医局員からは外れることにはなりますが、医局のOBとしてゆる〜い関係が続くことが多いでしょうか。

また専門医を取得して何年か経った位の経験のある中堅医師以上では、給料や労働条件の面でも、医局に所属している場合よりも、所属していない場合の方が優遇されることが多いでしょう。

つまりは一人で身の回りのことがだいたいできる年代になったならば、わざわざ医局の言われるがままに働く必要はないということです。

むしろ自分で働く病院を見つけ就職した方が、より良い条件で働けることの方が多いのです。

特に医局在籍して特に大学病院で勤務している場合には、教授や医局長との人間関係、または数多くいる同僚の医師との人間関係もうまく立ち回らなければなりません。

ストレスはどうしても増えてしまいます。

このように勤務医として働く場合には、そもそも大学病院で働くメリットはほとんどありません。

したがって医局をやめて戻ってくるメリットがないというのは、確かなところでは無いでしょうか。

医局に戻ってくる例もごく一部存在する

ここまでいちど医局を辞めた人間が、再び医局に戻ってくる事はほとんどないと書いておいて恐縮なのですが、再び医局に戻ってくる例は確実に存在します。

人手が足りない場合

ある関連病院Aにおける内科系診療科Bは、医師の人手が足らずに、外来や病棟で患者さんを診察するのが精一杯の状況でした。

かといって大学病院も人材不足ですから、関連病院Aに医師を派遣する余裕はありません。

そこで問題解決の策として、診療科Bの部長医師が、医局を辞めた旧知の先生に声をかけたのです。

声をかけられた先生としても、昔お世話になった先生に声をかけていただいたわけですから、特に断る理由もありません。

そこでかつて医局員であった先生が、医局の関連病院である病院Aで働き始めることになりました。

つまり医局を辞めた先生が、医局の関連病院で再び働き始めたということになります。

もちろんそこには、医局に戻ります、といったような文書化された契約は無いのですが、医局の関連病院で働くことができるのは、基本的には医局に所属する人間と言うことになります。

ですから全体としてみると、いちど医局を辞めた先生が医局に戻ってきたということになるかと思います。

医局としても大学病院の厳しい人繰りでは、関連病院に医師を派遣するのは難しいのが現状ですから、医局を辞めた人間であったとしても、人員が増えるというのは医局としてもウェルカムなわけです。

医局の出入りというのはかなり曖昧あいまいな部分が多く、医局によって対応も違うのでしょうが、いちど医局を辞めたからといって、絶対に医局に戻って来れないということではありません

【医師の考え】医局辞めても生きていける、、かも

2018年1月12日

まとめ

以上、医局と医局員の関係性についてまとめてみました。

医局との間に契約書が存在しない以上、なし崩し的に慣習で動かなければならない場面が多いのは、仕方ないのかもしれませんね。

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