医局やめたって生きていけますよ。そんな最近の飲み会の話題です。。
あ、もちろん医局の外での飲み会です。流石に医局内での飲み会で、教授がいるような前で「医局やめる、やめたい」系の話題は禁物です。
実は私の妻も、まだ医局にしがみついているのですが、ずっと医局に居続ける事はないだろうなぁと思っています。
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医局にいるメリット
医局のメリットは、若い時にこそ発揮されるものなのかなぁ、と思っています。
まずはそのメリットについて考えてみましょう。
上級医から指導を受けられる
右も左もわからない研修医の身分にあっても、医局に所属しているだけで、上司の医局の先生たちからは、それとなく指導してもらうことができます。
もちろん医局に所属しているというだけで、今後一生付き合いが続く(という前提)がありますから、やさしくしてくれるのかもしれないですね。
一種の共同体みたいなものでしょうか。
これがいきなり収益重視の民間病院とか、そもそも激務で自分の仕事が手一杯の場合には、雑用ばかり、使い捨てられて終わりです。
聞いたところによると、おおよそ半分の医師は医局派遣・半分は医局に所属しない流れ医師みたいな民間病院でした。
そこでは、ほとんどの手術は部長クラスが執刀医で、若手の先生はほとんど手術をさせてもらえていませんでした。
部長クラスの先生からすれば、若手を指導する理由もないですし、指導するだけ労力が必要ですし、自分が率先して手術していた方が楽なのでしょうね。
ただ医局から派遣されて上司からちゃんとした指導を受けている私としては、他科の若手の先生方が、かわいそうだなぁ、と思ったものでした。
いろんな病院でたくさんの経験が積める
専門医を取得するまでくらいは、いろんな病院に勤務することによって自らの診療の幅を広げていきます。
また専門医資格を取得するためには指定された症例を経験する必要がありますから、一つの病院だけで完結できるものでもありません。
したがって、医者になって経験の浅いうちには、いくつかの病院で勤務することは決してデメリットにはならないでしょう。
総評:若いうちは医局にいた方が良いかもしれない
したがって医師としての経験が浅いうちは、いきなり民間病院に就職して医師として働いていくよりは、医局の傘に守られた医師として研修している方が、周囲の先生たちもよくしてくれるかもしれません。
もちろん大学病院の低い給料と、医局派遣による有無を言わせぬ転勤とを覚悟しなければならないですが、それを補って余りあるだけのメリットがあると思っています。
ただしこれは、専門医をとって身の回りの臨床業務がひとりでできるようになってくると、状況が変わってきます。
経験を積んでくると、医局にいるデメリットが目立ってくる
若いうちにはメリットの多い大学病院医局な訳ですが、経験を積んでくるとデメリットが目立ってきます。
医局派遣による異動がある
例えば若いうちにはメリットもあった医局派遣による病院の異動ですが、家庭を持ったり家を購入したりとなると、デメリットでしかありません。
大学病院の給料が安い
医局に所属している場合、一定期間は大学病院で働く必要があります。そして給料は非常に安く抑えられます。
若手医師の場合には修行の意味合いで納得できる部分はあるかもしれません。しかし経験を積んだ医師であれば、もはやデメリットでしかないでしょう。
専門医を取得して十分な臨床経験を備えた医師となると、医局人事を離れて外病院で勤務していた方が、転勤もないですし、給料も多くもらえるでしょうね。
大学病院時代に勤務していたある40代の男性医師
私が大学病院に勤務していたとき、ある先輩に40代半ばの医者がいました。その先生は大学病院で日中忙しく勤務した後に、大学病院の低い給料を補うために、療養型の病院で当直アルバイトをしていたわけです。
当直先の病院では、同じ位の年齢の常勤医から当直業務を引き継ぎを受けているわけです。
当然療養型の病院の先生は当直なんかしていませんし、給料もアルバイト当直なんかしなくて良いくらいもらっているわけです。
トータルの労働時間の点でも、療養型病院の常勤医の方が短いでしょう。もはやそう考えると、当直先の病院の先生のほうが人生楽しいでしょうね
医局の力は徐々に衰退傾向である
このような医局のデメリットが顕在化してきたからなのか、医局の力は衰退傾向です。
新臨床研修制度が始まり、入局希望者の減少に伴って、大学病院は関連病院を維持できるだけの人材が揃わなくなってきています。
このような医師の雇用に関して流動化が進むにしたがって、現在の医師の転職事情は完全な売り手市場になっています。
最近では医局に所属しない医師も増えてきている
最近では初期研修を経てから医局に所属しないまま働き続けている医師がいます。
特にご両親のクリニックを継承するとか、研究して出世をすることを求めない先生方はとりわけ医局を避けているような印象です。
このような医局離れは今後ますます進んでいくものと思われます。
もしかしたら20年後ぐらいには、大学病院とごく少数の医局の関連病院、その他大多数の一般病院といった分類が進んでいくのかもしれません。
医局の力が弱まりつつある現在においては、市中病院自体が医局派遣だけに頼ることをせず、積極的に自前の研修医の囲い込みを目指しているようです。
もちろん医局に便宜を図る上で、部長や院長等の役職は、医局所属の医師に固定されていますけれども、50歳とか60歳まで最前線で頑張るつもりがないのであれば、全く魅力的ではありません。
医局はやめてもいいんじゃないか
医療崩壊が声高に叫ぶ出ていますが、今最前線でがんばっているのは急性期病院に勤めている勤務医の先生方だと思います。
その先生の多くは医局に所属しているのでしょう。
おそらく医局を簡単に去ることができないのは、仲間外れにされてしまうかもしれないとか、目の前の仕事から逃げるとか、スキルアップできないとか、固定観念に由来するネガティブな心理が大きいかもしれないですね。
ただ医者なんて所詮資格職ですから、医局をやめたって食いっぱぐれることはまずないでしょう。
労働条件だけで見れば、医局を辞めて転職サイトを介して勤務条件を交渉する方が、すべてにとってプラスのような気がします。
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医学部4年生です。
医局に関しては、まだあまりよく分からないのですが、何となく”運動部系の部活”みたいなものかなぁなんて考えています。先輩からよくしてもらえる点はあるけれど、理不尽なことも多く、自分の行動も組織の決まりに制限される感じ、辞めたいと思いながらも、一人でやっていけるか不安で辞められないところも部活と同じだなぁと思います笑
医局は地域の病院に医師を派遣したり、大学を運営していく上で、重要な役割を果たしてきたのだと思います。でも、(言い方は悪いですが)出世や仕事のやりがいなどを餌に、人を無理に動かすという方法はもう時代遅れなように思います。
新専門医制度も、裏には医局を復活させるという思惑があるのでしょうが、医局という組織に拘りすぎなように思うのは私だけなのでしょうか…。
もちろん、医局という組織に属さない以上、自分の頭できちんと考えて生きていくということは必要になると思います。だからこそ、それがめんどくさかったり、不安だったりで何となく医局に入ってしまう人が多いのだと思うのですが、(こういうところも部活っぽい笑)これからの時代はどうなるか分かりません。特に最近は医療制度が二転三転しています。組織に属せば属すほど、そういう制度に縛られやすくなるとも思うので、そういう意味でも、私は医局は敬遠してしまいます。
なすびさん。コメントありがとうございます。
書いておられる内容は、現在医局に所属している人間が考えていることとほとんど同じであり、学生ながら素晴らしく要点をついているかと思います。
医局に所属すべきかどうかは、キャリアプラン、勤務地、診療科によっても大きく変わるとおもいますから、是非とも悔いのない選択をされることを願っております。