1年に1回はほとんどの医者が参加するであろう「学会」が開催されます。
学会とは自分の研究やを発表する場で、専門を同じにする医者の集まりということになります。
たいていは金曜日から土曜にかけて、ホールや会議室を複数備えた施設で行われます。
大都市圏のホテルとか、コンベンションセンターなんかでの開催が多いでしょうか。
大きな学会になると、木曜日から日曜日までびっちりと発表が目白押しなんていうこともあります。
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学会とは最新の情報を手に入れる場所
学会の一番の目的は、最新の情報を発表し、また最新の発表を聞いて、日々の診療や研究に生かすことに尽きます。
また研究面ではライバル研究者の動向を探ることによって、この分野は勝ち目がない、この研究の最先端はこの辺りなど、今後の研究の方向性を見いだすこともできます。
臨床的な側面では、他の病院の医者がどのようなことに悩み、試行錯誤しているかは、なかなか教科書では見えてこないものです。
たとえば検査の前処置の具体的な方法や、どこで内服薬をスイッチするかなど、経験則を聞きたい!という疑問も多々あります。
そのような疑問を解決する意味でも、身近な学会は役立ったりします。
専門医を更新するためにも学会に出席する必要がある
その他に学会では、自分の所持している専門医の更新に必要な単位を取ることもできます。
例えば学会で行われている教育的な講演に出席することによって、専門医の取得・更新に必要な単位を取得できるという仕組みです。
ですから、専門医のライセンスを維持したり、その他指導医等々、よくわからない資格を維持するためにも、毎年の学会には参加していく必要があるわけです。
学会に出席するにはお金がたくさんかかる
学会参加は医師にとって通常のイベントですから、必要な交通費や宿泊費は、基本的には病院が支給されることになっています。
ただしどこの病院でも無条件に支給してくれるわけではありません。
例えば1年に2回までの学会なら旅費を支給しますとか、自分が演題を発表するのであれば、旅費を支給します、といったような制限がついていることが多いでしょうか。
また学会は誰でも無料で参加できるわけではなく、学会の会員であったとしても、おおよそ10,000円から30,000円位の学会参加費を払わなければなりません。
しかもこの学会の参加費用については、病院が負担してくれることは多くありません。
ですからもし病院の援助なしに学会に参加しようとすると、開催場所や期間にもよりますが、100,000円近いお金を自腹で払う間なければならないことがあります。
学会の種類
国際学会はアメリカで行われることが多い
国際学会は文字通り海外で行われる学会のことを指します。
現代医学の中心はやはりなんといってもアメリカですので、日本でいう国際学会とはほとんどの場合はアメリカの国内学会を指します。
アメリカの国内学会とは言っても、発表される演題は世界各国から集まっており、まさにアメリカの国内学会=世界的な学術集会といっても過言ではないでしょう。
日々の診療の結構な割合は、アメリカの学会が発表しているガイドラインに沿って行う場合があります。
世界でも最高峰レベルの学会ですので、発表する演題も非常にレベルの高いものが集まっています。
中には論文に発表すれば一流雑誌に、そして明日からの診療が変わってしまうような内容も含まれています。
日本から同じような高いレベルの演題を出そうとするのであれば、やはり研究の盛んなアカデミック病院等に限られます。
また学会期間中は1週間程度不在にしなければならないので、これまた医者の数がたくさんいなければなりません
したがって参加者は大学病院や規模の大きな総合病院に勤めている医師に限られます。
国際学会に招待されて講演するようになれば、日本の医者の中でもかなり有名な部類と言えるでしょうね。
国際学会における観光も楽しみ
日本からこれらの学会に行く場合は、もちろん自分の専門領域の見識を広めるという目的が一番です。
とはいっても外国に行くのですから、ちゃんと観光も楽しむべきですよね。
アメリカの学会の場合は、大抵どこでも同じような街並みですから、すごく楽しみなことがあるわけではないですが、アジアやヨーロッパの学会であれば食事や歴史的施設など、楽しむべきところはたくさんあります。
国際学会に自分の発表演題を通過することができれば、旅費や滞在費を出してくれる病院がほとんどです。
つまり自分でお金を出す出さなくとも観光をすることができるようになります。
ただし審査を通過するだけの発表演題を応募することがなかなか難しいので、そう手軽に行けるものでもないのですが・・・。
国内学会が最も身近である
国内学会は日本で行われる学会のうち最も大きなものになります。
日本で働く医者にとっては、身近で一番大きな学会といったところでしょうか。
アメリカの学会とは違い、世界的にみれば日本の学会は主に日本人だけが出席するローカルの学会です。
最近では抄録や発表を英語で書くように求めたりすることもあるようですが、それでも海外の参加者はほとんどいません。
糖尿病や循環器疾患等は、医者の数も多いので非常に大規模な学会になります。「糖尿病学術総会」や、「日本循環器学術大会」などと銘打って開催されます。
参加者が多く大規模な学会は横浜や神戸などの大都市のコンベンション会場で行われることが多いです。
全国大会ではあっても小規模な学会であれば、地方都市で開催されることもあります。
さて日本では最高峰の学会になりますが、実際のところ、ほとんどの学術大会では、それなりの演題を出せば大体通るようになっています。
地方会も頻繁に行われる
地方会と言うのは、一般的には関西や中部、九州と言ったような括りで開催される集会みたいなものですね。
全国学会ではないので、発表される演題のレベルもそこまで高くありません。
珍しい症例報告だったり、研修医が発表していたり、これから大きな研究に育てようと言う研究の最初の部分が発表されていたり、玉石混合な印象があります。
学会の規模はもちろんあまり大きくないので、その地方の都市で行われます。また自分の勤務地からは近いところで開催されるので、参加しやすいというメリットもあります。
観光シーズンの学会開催は困る
学会は観光の側面もあるのですが、開催時期が観光シーズンだったり、イベントと重なったりすると困ります。
ある学会は仙台で行われる予定だったそうですが、人気アイドルグループのコンサートと学会期間がかぶっていて、ホテルが確保できずに中止になった経緯があるようです。
同様にある学会は11月の京都で行われたのですが、紅葉シーズンの京都ではホテルの確保が非常に難しく、京都の学会に参加するために大阪のホテルから学会会場に向かったというような話も聞きました。
この場合にはホテル代も高くつくのはもちろん、そもそも会場近くに宿を確保できませんから、観光シーズンの学会開催も考えものなのです。
学会の楽しみ方
こういうと怒られてしまうかもしれませんが、学会の目的の半分くらいは観光ですね。
特に国際学会だと、病院のお金を使って海外に行けるわけですから、こんなにラッキーなことはありません。
国内でも地方都市であれば、普段の呼び出しを忘れて羽を伸ばせるわけで、どこで開催されるかで演題を出す出さない、が決まる場合もあります。
とは言っても最近は大学病院などの公的機関はお金の管理について厳しくなっています。
演題を出して発表者という身分でなければ、基本的に学会の交通費・宿泊費は支給されないようになっています。
また、学会ついでに近くの都市を観光するとか、学会が終わってもその都市に滞在するなどといったことができなくなっています。
まとめ
医者にとっての学会は、自分の研究成果を発表する大切な場であると共に、ちょっぴり息抜きできる貴重な場所でもあるわけですね。
医者にとってはオアシスにもなりうる存在、それが学会なのです。
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