医者が病院で行う、患者の治療方針を決定するためのカンファレンスについて。

病院の中ではしばしばカンファレンスが行われます。

医師だけのカンファレンス、看護師だけのカンファレンス、いろいろな職種の色々なカンファレンスがあります。

ここでは医師が行うカンファレンスについて解説していきましょう。

カンファレンスとは会議のことである

会議(かいぎ、英: meeting/ミーティング、conference/カンファレンス)は、関係者が集まって特定の案件について相談をし、意思決定をすること。またはその集合のことである。

Wikipedia: カンファレンス

カンファレンスなんて小難しいことをいっていますが、つまりは会議ですね。医者同士で会議するんです。

病院の中ではこの会議はすごく重要で、大学病院から中小病院まで、いろんな病院で日々カンファレンスが行われています。

カンファレンスの種類

カンファレンスの目的は、開かれるカンファレンスによって、いくつかに分かれているといえるでしょう。。

病棟カンファレンスでは、入院中の患者さんについての情報共有と、どのように治療を進めていけば良いかが話し合われます。

看護師とのカンファレンスでは、個別の患者さんについてどのようにケアしていけば良いかが話し合われます。

そして他の診療科とのカンファレンスでは、病院を受診した患者さんのうち治療方針が迷う症例について、最適な治療法を検討します。

病院の中でもっと大切なのは、この治療方針を決定するためのカンファレンスでしょうか。

治療方針決定のためのカンファレンス

特にがん治療については、手術、化学療法、放射線治療、何もしないなど色々な選択肢がありますから、たくさんの診療科の医師が出席して、治療方針を検討することが必要なのです。

治療方針を示したガイドラインの中には、こういう患者さんにはこういう治療が推奨される、と記載されていることが多いのですが、実際の臨床現場では必ずしも教科書通りに進むわけではありません。

例えば高齢で合併症の多い患者さんにおいては、本来は手術が適応になる症例であったとしても、外科の先生からしてみると手術は難しいとなるかもしれません。

また診断のつかない病気がある場合には、どのような診断・治療選択を立てるかは決まりがありませんから、多くの医師のもとで今後の方針を決定していく必要があるわけです。

医療現場における怒鳴るという指導法は適切でない。いっぱい怒る人はいるけどね。

2017年8月25日

カンファレンスの方法

治療方針の決定にあたっては多くの診療科の先生の出席が必要です。

したがってカンファレンスが行われるのは、多くの先生の手が空いた、たいていは平日の夕方頃に行われることが多いでしょうか。

場所は病院の中の会議室のようなところを使って、患者さんそれぞれに対してプレゼンテーションが行われます。

ドクターXやブラックペアンなど、教授や部長医師の権威性を描く医療ドラマでは、上の画像のように何十人もの医師が並んで治療方針を検討している様子があります。

ただしこのような講演型のカンファンレンスはほとんどみられないといっても良いでしょうね。

いろんな診療科の医師を全員集めてきてもこんなに医者はいないですし、他科とのカンファレンスで医局員全員が出席することなんてないですからね。

むしろこんな感じで、大学病院で行われる最も大規模なカンファレンスであっても、せいぜい多くても20人くらいの出席者でしょうか。

そのうち実際に意思決定に関わるのは役職のある医師5-6人くらいであって、残りは研修医とか雑用を主とする若手医師であることが多いように思います。

もっとユルイカンファレンスだと、こんな感じで電子カルテをみながら、色々と話し合うこともあります。

ちょうど一般病院のマイナー診療科だと、こんな感じの風景になることが多いかもしれませんね。

大学病院であってもこういうざっくばらんとしたカンファレンスをしていることがありました。

実際にはこのような人数の少ない、相手の顔の見えるカンファレンスの方が、色々と突っ込んで話し合うことができたりして、実りのあるカンファレンスになることが多いように思います。

いずれにしても提示された症例に関して、どのような治療方法が最適であるかどうかについて、各診療科の専門医から意見が提供されます。

カンファレンスの実際

例えば数日前に初めて病院にやってきたがん患者さんがいたとします。

その患者さんにいろいろな検査を行ったところ、病気の進み具合が分かりました。

カンファレンスでは、この患者さんの治療方針について外科の医師に頑張って手術をしてもらうのか、抗がん剤治療するのか、はたまた放射線治療するのかということを話し合います。

今やどこの診療科の診療も高度に発展しており、1人の医者がすべての治療の適用について決定することができません。

外科手術であれば外科の医師が、抗がん剤治療であれば化学療法を専門に行う内科の医師が、放射線治療であれば放射線治療医がその適応を決定することが必要になってくるわけです。

もしそのカンファレンスの場で、抗がん剤治療が適当となれば、抗がん剤治療専門の医師に紹介し、ようやく化学療法がスタートされることになります。

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治療方針決定のためのカンファレンスの重要性

このような治療方針決定のためのカンファレンスの重要性は、正しく患者さんに最適な医療を提供することのほか何もありません。

特にがん治療においては、多くの治療選択肢の中から、患者さんにとって最適な治療方法を決めることが必要になってくるのです。

上にも書いたように、1人の医師がすべての治療方法に精通していることはほぼ不可能ですから、多くの医師治療方針を決定することが必要になってくるわけです。

病院によっては、本来行われるべきカンファレンスが行われていなかったり、または外科の医師の発言力が強すぎて、適切な抗がん剤治療や放射線治療を選択されていない場合も多々あります。

外科手術の技術や医療体制は、病院ごとによって違うので何とも言えないのですが、病院ごとによって同じ症例でも治療方針が異なることは珍しくないのです。

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