画像診断は、どの分野にすすでも必ず必要となる知識です。
ほとんどの研修医の先生方は、初期研修の2年間の間に放射線診断科をローテーションすることになるかと思います。
ここでは、初期研修時代に画像診断を学ぶにあたって、持っておいて損のないような教科書をご紹介したいと思います。
コンテンツ
★★★ 血管造影のABC
Interventional radiology (IVR) 領域の基本事項について、20のトピックに絞って解説してある入門書です。
研修医と指導医間の対話形式で書かれており、ストレスなく読み進めることができます。
大腿動脈穿刺の基礎やシース抜去後の止血方法など、研修医向けというだけあって非常に基礎的な事項に重点をおいて書かれてありますね。
★★☆ 腹部CT診断120ステップ
腹部・骨盤CTを読影する上でのエッセンスを詰め込んだ教科書といえるでしょう。
Helical CTの理論、嚢胞や腫瘤の定義、造影効果とは、などからはじまってDynamic CTでの肝病変の読み方、胃癌におけるリンパ節の読み方など、基本的な事項に的を絞って解説されています。
放射線診断科で研修するときだけでなく、内科や外科の研修でも役立つような本ですね。
良書ではありますが、出版からすでに20年も経過しており、★2つとします。
★★★ 腹部のCT
腹部、骨盤のCT読影にあたって、最も詳細で標準的な日本語の教科書です。
本書の冒頭部分ではCTの基本原理や腹部領域におけるCTスライス上での解剖を示しています。残りの部分では肝胆膵をはじめとして、腹部、骨盤内の臓器に関して、疾患ごとに各画像所見を含めて解説してあります。
放射線専門医、またはそれ以上を目指す医師向けの教科書であるので、文章主体の構成になっています。例えば肝細胞癌の項目だけで20ページくらいにわたって解説されています。
学生や消化器内科をローテーションするするくらいなら宝の持ち腐れになりそうですが、放射線科をローテーションするならば持っておいて損はない教科書ですね。
★★★ 胸部のCT
上記の腹部のCTの胸部バージョンです。
肺がんや肺炎など、胸部CTで異常を呈する疾患に絞って解説が加えられています。
胸部CTに関する項目が網羅的に解説されている4-5センチほどの分厚い教科書であり、辞書的に使うのが必須です。
放射線科をローテーションする際には、読影レポートを書く上で必要な情報が詰まっており、持っていて損は無いといえる教科書です。
★★☆ 肝胆膵の画像診断―CT・MRIを中心に
肝胆膵領域は、CTだけでなくMRIも多く撮像されますね。
胆道系疾患ではMRCPが撮像されるし、肝腫瘍の診断のためには、EOB-MRIが撮像されるのが現在のスタンダードとなっています。
本書は肝胆膵領域の CT、MRIにおける診断においては最もスタンダードな教科書といえるでしょう。
ただし出版から10年以上経過しており、★2つとします。
上でご紹介した腹部のCTでは、実はMRIの解説が加えられていないので、少し物足りない部分があるのです。
★★★ 肝胆膵のCT・MRI
肝胆膵領域のテキストになると、こちらの方が内容が新しく良いかもしれません。
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