最近では医師の世界でも女性の進出が進んでいます。
同様に看護師の世界でも数は少ないですが、男性看護師が働いていますね。
病院の中における男性看護師の位置づけについて考えてみることにします。
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看護師社会の現状
看護師の世界は圧倒的に女性社会といって差し支えないかと思います。
なぜか外来に勤めている看護師さんはほぼ例外なく女性ですし、病棟の看護師さんに関しても、一般病棟であれば9割以上は女性の看護師さんであるように思います。
若い男性看護師さんを見かける事はありますが、ある程度経験を積んだ看護師さんになると、男性看護師さんをみかけることはほとんどないですね。
彼らは一体どこで働いているのでしょうか。
男性看護師として働くことの難しさ
男性看護師の難しさは確実に存在しています。
しかし病院という職場では、働き方は難しいのです。
以下は京都大学からの邦文報告です。
1 .男性看護師が感じる困難について 男性看護師が感じる困難については,【女性患者との関わりの難しさ】,【女性看護師との人間関係の難し さ】,【将来に対する困難】の 3 つのカテゴリーが抽出された
1 )女性患者との関わりの難しさ このカテゴリーは,
〈女性患者の羞恥心を伴うケア 実施の難しさ〉,
〈女性患者との感情面での関わりの難 しさ〉,
〈経験でも補いきれない性差〉…(略)
男性看護師が直面する困難について、3点挙げられています。
人間関係の構築や将来への不安はなんとか乗り越えることができるでしょうが、このうち一番どうしようもないのは、やはり女性患者に対するケアでしょうか。
女性患者への対応は難しい
医者であっても女性の患者さんを診察したりする場合には、非常に気を使います。
特に服を脱いでもらって心音や肺音を聴取したり、乳房の診察をしたりするような場合には、必ず女性の看護師さんを同席させなければなりません。
女性患者の場合は、男性に体を見られることに抵抗のある患者さんは多いでしょうし、悪意のある患者さんの中には、「医者にセクハラされた」と訴える患者さんがいるかもしれません。
診察室という密室の中では、セクハラをしたか、していないかに関して客観的な証拠がありませんから、言ったもの勝ちの状況になってしまいます。
このようなシチュエーションは外来や病棟でも容易に起こり得ると考えられ、特に排泄や更衣など女性患者さんへの全面的なケアが必要になる病棟患者さんへの対応では、難しい場面が想定されます。
単純化すると患者の半分は女性ですから、男性看護師の活躍できる場は限られてしまうのが現実かもしれません。
男性看護師の活躍できる場所とは
そんな男性看護師さんですか。活躍できる場所が必ず存在しています。それは精神科や救急の現場です。
精神科の患者さんの中には、医療者の言うことを聞かずに暴れまわったり、静止を振り切って無茶な行動に出る患者さんが必ずいます。
そのような患者さんには、自傷や他傷の危険性があるとして、強制的に入院させることもあるほどです。
もし現場で暴れまわる患者さんがいたとしたら、力づくで患者さんを抑えつけなければならないこともあります。
そのような実力行使に出る時は、やはり女性の看護師さんよりも男性看護師さんの方が頼りになることが多いかと思います。
また救急の現場では患者さんを移動させたりなど、力仕事が要求される場面は少なくありません。
手術室のように体力勝負な側面がありますから、男性看護師さんは適しているのかもしれません。
精神科病院では確かに男性看護師が多い
以前ある精神科の病院にアルバイトに行った時には、看護師さんの半分以上は男性看護師であったこともありました。
精神科の現場は男性看護師にとって働きやすい場所なのでしょう。
京都大学からの報告にも、下記のような記述があります。
男性看護師の増加に伴い,男性看護師の多様な領域への進出もますます広がりつつある.
以前は男性看護師と言えば精神科を始めとした特殊な部 署に配属されることが多かったが,現在では一般病棟 (ここでは,手術室,精神科,小児科,産科,ICU 等 の集中治療室系の科を除いた主に成人を対象にした病 棟とする)に配属されることもごく普通のことになっ てきている.
記事の中では、最近は精神科領域以外にも男性看護師の活躍の現場は広がってきているとあります。
しかしそれでも絶対数は少ないと言わざるをえません。
医者からみた男性看護師
医者から見た男性看護師なんですが、やはり同性だけあって付き合いやすい、やりとりしやすい部分はあるかと思います。
何かをお願いするにもご機嫌をとろうと下手に出る必要はないですし、無茶な要求をしてくることも少ないように思います。
特に女性看護師長なんかとのやりとりはすごく気を使いますから、率直な意見交換のできる男性看護師がトップにいる場合に、どのようなリーダーシップを発揮するのかは興味があるところであります。
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