大学病院で働いていた時、毎年のように病棟の看護師さんが4人とか5人ぐらい辞めていくようでした。
これだけ毎年人の入れ替わりがあると経験のある看護師さんが少なくなりますから、新人がやってくる新年度などは特に大変そうです。
仕事ができる若い看護師さんも辞めていくもんですから、いろいろとびっくりしたもんです。
しかし看護師の場合は、病院を辞めたとしても医者よりも転職はしやすくなっています。したがってそれほど転職のハードルは高くないのでは、と思うのです。
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看護師が病院を辞める理由
看護師さんが病院を去っていく理由を聞いていると、いくつかのパターンに分類できるかと思います。
結婚・夫の転勤
結婚を機会に看護師さんを辞めていく人は多いですね。
とりわけ男性医師と結婚する場合は、経済的にも余裕がありますから、わざわざ夜勤のある看護師業務を続ける女性は少ないように思います。
また夫が医師であるかどうかに関わらず、会社や病院から今住んでいる場所と遠く離れた場所での勤務を命じられた場合には、転勤先についていくために病院を辞めていく必要はありそうです。
これは看護師さんに限ったことではないかもしれませんが…
妊娠・出産
そのほか妊娠や出産も大きなターニングポイントとなるようです。
妊娠を契機に仕事を辞めていく女性は今でも多いようです。職場復帰の見通しが立たないのでしょうか。
現実問題として小さなお子さんがいる場合には、総合病院でフルタイムで働くのは非常に難しいでしょう。
夜勤や当直をこなすことはできませんから、必然的にパートタイムでの勤務となります。
そのようなフレキシブルな働き方が用意されていれば良いのですが、病院側はまだそこまで柔軟な対応はできていないようです。
多くはクリニックや診療所など勤務時間の都合のつけやすい職場に移っていくしかないのでしょう。
病棟の人間関係がきつくなってくる
またメンタル面での問題もありそうです。
看護師さんは女性社会ですから、いくら仕事内容がきつくなかったとしても、年数が経ってくると人間関係の点でどうしても辛くなってくる部分があるのかもしれません。
中学校や高校のクラスでいじめ問題があるのと同様に、職場の人間関係においても、どうしても軋轢が生まれてしまうのかもしれません。
仕事が辛い
もちろん仕事が辛い、激務である理由もあるでしょう。
総合病院でフルタイムで働く場合には、夜勤や当直をこなす必要がありますし、患者さんの急変も少ないわけではありません。
医師として感じることですが、看護師業務も決して楽ではなく、激務と言って良いかと思います。
したがってより負担の少ない病院や職場に移っていくのは仕方ないのかもしれません。
医者の場合は転職のハードルが高い
さて大学病院の医局に所属して働いている医者の場合には、自らの意思で病院を変更するのはすごく勇気がいります。
大学医局が関連病院と呼ばれる中規模〜大規模な病院の人事権を握っていますので、医局に所属している限りは自分の意思でそれなりの病院に就職するのはほぼ不可能です。
もちろん医師免許がありさえすれば働ける療養型の病院はこの限りではありませんが、眼科や耳鼻科など、自分の専門性が発揮できる病院は医局の関連病院であるわけです。
したがって、医局の意向に背く場合には、多くの犠牲を払ってしまわなければならない可能性もあります。
特に専門医取得前の転職であれば、専門医を取ることが難しくなる可能性も考慮しなければならないのです。
看護師さんは医者よりも転職しやすい
一方で看護師さんは全国的に不足しています。
毎年何十人も採用していたとしても、一病棟で毎年4-5人にも病院を辞職していては、いくら採用していても足りないでしょう。
看護師さんが転職するにあたって最大のメリットは、医師における医局のような組織が存在しないことでしょうか。
ですから大学病院を辞めても、自らの意思ですぐ隣の病院に就職ということも全く可能なわけですね。ペナルティはありません。
加えて、看護師さんには医者のような高度な専門性がありませんから、内科系の患者さんを管理する仕事から、外科系の患者さんの対応をする職場に異動するのも、十分可能なわけです。
このような背景があって、医者よりも看護師さんの方が転職しやすいのは間違いなさそうです。
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