精神医学・精神科 – おすすめ教科書

精神科は臨床の中でも独特で専門性が高い診療科ですね。

精神科以外の医師が、精神疾患のある患者に向き合って、適切な診断や治療を行うのは非常に難しくなっています。

ゆえに、研修医には研修レポートというかたちで、実質的に精神科をローテーションすることが必須とされています。

研修医でもほぼ必ずローテーションする精神科ですから、学生時代から数冊の教科書を持っておくことは、決して無駄にはならないでしょう。

★★★ DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引

精神疾患の病名とその診断基準だけが掲載してある。ガイドライン的な存在の本ですね。

外来中には、一通り問診をとった後、診断名を確定するために精神科のDrが使用していました。

精神科領域の症状は抽象的で、ある2つの疾患の違いなどは素人にはなかなか想像しにくい部分があるかと思いますが、本書を利用することでその曖昧な部分が理解できるようになる気がします。

精神科のバイブルであるのは間違いないですが、学生実習と研修医くらいなら、必ずしも購入する必要はないかもしれませんね。

★★★ 精神科における予診・初診・初期治療

教科書というよりは文庫本・読み物の色合いが強く、予診 – 初診 – 初期治療の流れで書かれています。

研修医が読むとなると、予診の部分が特に役立つと思われますが、初診、初期治療の項目に関しても、精神科医の考えがわかって面白い教科書といえるでしょう、

予診で聞くべき事を箇条書きした研修テキスト、というよりは初期診療において特に大切な事を、著者の経験を交えて解説した読み物と捉えるべきでしょうね。

★★☆ 標準精神医学

薬物療法を説明するところではイラストを交えて、アルツハイマー病の項目ではSPECT所見を加えて説明があり、理解を深めてくれます。

文章主体ながらもイラストも交えて説明してあるのは標準シリーズの特長的なところでしょうか。

またコラムには精神科領域の疾患を主題にした映画が紹介してあり、読んでいて飽きない部分ですね。臨床講義やポリクリで使うには重すぎて、持て余してしまうかもしれません。

★★☆ 現代臨床精神医学

620ページに及ぶ精神科の標準的な教科書で、2013年現在12版まで出版されています。

疾患に関する記述は、ICDやDSMに基づいて記載されおり、学生がレベルと比較するとかなり詳細な記述となっている様子です。

イラストやテーブルなども少なく、辞書的に使うのが良いかと思います。

★★☆ こころの治療薬ハンドブック

精神科領域の薬物について解説した本であり、毎年改訂されています。。

見開き1ページに1薬物というレイアウトで、薬理作用、副作用、症例、実際の処方量などが解説してあります。索引は充実しており、商品名でも一般名でも検索することができるようになっています。

学生実習よりは、研修医のレベルで役立つ本かもしれません。

初期研修が3ヶ月の研修なら持っておいて損はしない教科書とは思いますが、1ヶ月の研修なら微妙なところかもしれませんね。

★★☆ 精神科研修ハンドブック

研修ハンドブックとしては第一選択として間違いないでしょう。

サイズ的にはポケットサイズをさらに一段階小さく薄くしたものですが、短時間でリファレンスするには丁度良いと思われます。

各疾患についてはDSM-Vでの定義が主体となっており、病態、診断、治療などの項目が続きます。

治療は詳しく、各疾患のところではいくつかの薬剤の候補に加えて、その用量まで書かれているのですが、系統だって薬理学的作用、分類、副作用などは掲載されていません。

研修医で精神科をローテーションするのであれば、持っていて損のないマニュアルと言えるでしょう。

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