組織学は医学部の基礎講義の中でも大きなウェイトを占めていますね。腸管や肝臓などの組織構造の把握は、どの診療科に進んだとしても共通言語のように必須の知識となります。
組織学の教科書は大きく分けて2つに分かれます。組織の働きや機能を解説したレクチャー向けの教科書と、組織学実習で学ぶ各組織の部位、名称を標本写真を交えながら解説したアトラス(=地図、地図帳)本です。
講義では前者の系統的な教科書を、実習では後者のアトラス本を所持しておくのが正しい講義の受け方ですね。実習では顕微鏡を覗き込むのはつらいですが、ぜひがんばって学習しておきたいところです。
これだけ重要な分野になりますので、教科書は多数出版されており、いずれもクオリティの高いものが揃っている印象です。
★★★ 標準組織学
正統な組織学書で、真面目に取り組む学生が使っていた印象があります。
日本語で書かれた医学書では最も詳しい組織学の教科書であると言えます。イラストや写真も数多掲載してあり、文章の量も多くなっています。
組織学を系統的に理解しようとするとこれほどの厚さになるのでしょうし、それこそが医学部で学ぶ意義なのでしょうか。試験対策ということを考えてみると、本書の内容量の3割くらいで試験はパスできる印象です。
その分野の研究者でもない限り通読するのは不可能な内容量なので、辞書的に使うとよいでしょう。
総論と各論があり、ボリュームは多めです。
★★★ ジュンケイラ組織学
組織学を勉強しようとすると、どうしても文章が書かれたテキストと画像のたくさん載ったアトラス本を買わなければならず、非効率的になってしまいがちです。
そんな組織学書の中で本書は多くのアトラスを掲載しており、なるべくこれ1冊で組織学のすべてが完結できるようになっています。
詳しい説明はもちろんのこと、アトラス本に負けるとも劣らないほどに画像が掲載してあり、文章と画像が連動しているからこそ、理解が深まります。
実際の講義で学ぶ内容量からすると、やや深入りしている感じがあり、読み進めるのは時間と体力が必要です。
★★★ 組織学
601ページという組織学の教科書としては結構なページ数です。
文章、説明を主体とした教科書ですので、理解を深めようとするとアトラス本(主に組織所見を画像として掲載した本)が必要になると思います。
もちろん組織学実習に耐え得るほどのイラストや標本写真は掲載してありません。ジュンケイラ組織学、標準組織学との比較になると思います。
★★★ ガートナー組織学
各章のはじめに組織生理のかんたんな説明があります。その後に続くアトラスのページでは、見開き1ページの右側に3-4枚のアトラス、左にそのアトラスの説明、というスタイルで構成されています。
顕微鏡写真1枚に対する解説が文章2段組、10行程度で解説されており、各アトラス画像に対する説明はかなり詳しくなっています。
基本的には組織学実習において、顕微鏡の横に置きながら使う教科書であるといえるでしょう。実習で是非とも使いたい医学書です。
★★★ 新編 カラーアトラス組織・細胞学
和書のアトラス本です。ガートナー組織学と同様に、見開き1ページに組織の顕微鏡写真と、その写真に対する解説が加えられています。
顕微鏡を見ながら行う組織学実習と並行して使用することを想定して執筆された教科書と言えるでしょう。組織学実習に向けて是非とも持っておきたい教科書です。
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