激務である外科医。最近では敬遠されがちです。
研修医・若手医師の外科離れを防ぐために、各団体は様々な努力をしているようです。
しかし、外科医を増やすための抜本的な対策は、いまだに確立されていないのが現状です。
若手医師の外科離れに歯止めを
日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会(松本晃理事長)は11月11日、メディアセミナーを開き、若手医師の「外科離れ」など外科医を取り巻く問題について、解決の必要性を訴えた。
(略)
04年にスタートした新しい医師臨床研修制度により、大学の人的構成は弱体化したと指摘。その上で、「外科教育には人から人へ伝える言語化されない知恵や知識がたくさんある」とし、徒弟制度と言われようが「しっかりとした教育機関」で修練を積む必要性を強調した。
自民党参院議員の古川俊治理事は、熱意を持った外科医の養成の仕方について、「名誉欲もあるが、最終的にはお金」と報酬面でインセンティブを付ける方向性を示した。「外科の労働条件は厳しいが、それに耐えてくれなければ患者の納得はない」とし、収入で他の診療科と多少の差を付けていくこともやむを得ないと述べた。
( 2009年11月12日 キャリアブレイン )
もう10年以上前の記事になりますが、状況はほとんど変わっていないでしょう。
日本全体の医師数は増加傾向である反面、日本における外科医の数は、横ばいがやや減少傾向です。
言語化されない外科手技の技術とは?
「外科教育には人から人へ伝える言語化されない知恵や知識がたくさんある」とし、徒弟制度と言われようが「しっかりとした教育機関」で修練を積む必要性を強調した。
しっかりとした教育機関とは、大学病院のことを指しているのでしょうか。
例えば糸結びの手技に”言語化されない知恵や知識がたくさんある“として、果たして大学病院がしっかりとした教育機関なのでしょうか。
そもそも新臨床研修制度の始まりに伴って研修医が市中病院を選択するようになったのは、市中病院の方が、研修医として経験できる症例数が多いからだと考えられます。
症例数がものをいう外科領域においては、一部のスーパードクターを除いては、大学病院よりは市中病院の外科医の方が技術レベルは高いと言えるでしょう。
言語化されない知恵や知識は大切ですが、それ以上に経験こそが外科医を成長させてくれるのではないでしょうか。
医者の労働環境にも目を向けるべき
学生や研修医に向けて外科の魅力や教育環境を整えるのと同時に、労働環境にも目を向けるべきです。
外科医の労働環境は劣悪で、小規模な病院であれば、若手医師はほぼ24時間365日電話の待機をしなければならない、ことも決して珍しくはありません。
女性や男性、再受験生など、幅広いバックグラウンドを持った研修医が外科を選択できるようにするためには、働きやすい労働環境を整備することが不可欠です。
しっかりとした若手医師の教育環境、労働環境の改善、継統的な教育を揃えることができるのならば、必ずや外科を志望する研修医は増えてくるはずです。
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