解剖学- おすすめ教科書

解剖学は医学部の全講義の中でも、最も重要で質・量ともに膨大な科目かもしれません。骨・筋肉・臓器やその働きを学ぶ講義に加えて、医学部の代名詞ともなっている解剖学の実習もありますね。

医学部の解剖学実習で学ぶこと。最も大変で医学部らしい授業である

2018年3月6日

その重要性は臨床医になっても変わりません。専門分野の解剖の知識はもちろん、それ以外の一般的な解剖学の知識であっても、臨床の世界に身を置いている限りは切っても切れない関係になります。

この前も、全く専門外の頭蓋骨の縫合について「あれ、どうだったけ」と思い返す機会がありました。

それに、ヒトのからだに自由にメスを入れられる機会というのも、最初で最後になってしまうわけです。

手術となれば、自由に患者さんの体を傷つけることはできませんから、教科書を横に置きながらメスに触れられる機会が、この解剖学実習が最後な訳です。

ですから、しっかりとした教科書を準備して、授業に望みたいものです。

★★★ ネッター解剖学アトラス

解剖学の領域において、グレイ解剖学と並ぶ有名な本として、ネッタ—解剖学が挙げられます。

主な使い方としては、解剖学実習の際に献体と見比べながら、ということになるのでしょうか。

ふと解剖の知識が知りたくなって辞書的に使う場合には、情報量が多すぎて逆に混乱してしまうかもしれません。

また、このような精緻な解剖学的イメージが、学生時代に必要とされる場面は、解剖実習以外にはあまりないでしょう。良書なのは間違いありませんが、用途を選ぶ本ですね。

★★★ グレイ解剖学

Amazonでもすばらしい評価を得ている本書。掲載されているのは実際の解剖写真ではなくイラストです。

したがって本書の使い方としては、解剖学に限らず、学習を進めていく中でわからないことに出くわしたとき、辞書的に用いるのが効果的だと思われます。

イラストはカラーで、1つの解剖学的部位を説明するのに複数のイラストが掲載してあるので、非常に理解が深まります。またひとつひとつのイラストも非常にスマートにまとめられています。

さらに臨床に関連した事項がトピックスとして掲載してあり、解剖学を学習するうえで理解が深まるばかりでなく、学年があがってからも十分に役立つ内容となっています。

★★★ 解剖学講義

書籍紹介にもあるように、第2版から約10年ぶりに改訂されています。文章、解説主体の解剖学書であることは変わりありません。

改めて見返してみると、掲載されてある内容は他の解剖学書に比べると一段階細かいところまでカバーされているように思います。

解剖学の講義や、日々の学習など、腰を落ち着けて学習するときには是非手元に置いておきたい一冊といえるでしょう。

★★★ 解剖学カラーアトラス

本書には、実際の解剖学実習で目にするような人体の構造が、写真で撮影されて掲載されています。

一部のアトラスはオリエンテーションをつけるためのイラストですが、この教科書に掲載してある写真のほとんどは、本物の人体を撮影した写真という形で収録されています。

本書を用いることで解剖学実習の理解が深まることに加えて、解剖学実習の同定試験対策として自宅で使うこともできます。

なお文章としての説明は一切ないために、解剖学の機能を学ぶためにはもう一冊正統な解剖学書が必要になると思われます。

★★☆ 骨単

用途としては、完全に試験対策本です。また本書は薄く小さいため、ありがたいことに携帯性にもすぐれています。

本解剖学的イラストと解剖学名が記載されているにとどまり、解剖学名の語源の説明を除いては、文章はほとんどありません。

解剖学名は見開き1ページの両端に配置してあり、紙の切れ端などで隠すなどして、容易に確認ができるようになっています。

骨シリーズの他にも、脳単も高い評価を得ています。

★★☆ イラスト解剖学

本書はその名の通りイラストを中心に構成されています。正統な解剖学の画像、イラストは皆無であり、鉛筆で走り書きしたようなイラストが掲載されています。

解剖学の初学者がこの本を使いやすいと感じるかどうかは疑問ですが、解剖を一通り学習し終えた後に、要点だけを知りたいと思ってページをめくってみると、理解しやすくまとめられていることが分かります。

本書の使い方としては、解剖学的事項を系統的に理解するというよりは、各ポイントを押さえていくという使い方の方が有用かもしれません。

また、使う人によって好き嫌いが別れる本でもあるかと思います。

Amazonのレビューでは、初学者に使いやすいというレビューがありますが、確かに解剖学の1冊目としては取っつきやすいかもしれません。

まとめ

解剖学は医学部の中でも基本的な分野ですね。

講義、実習、試験対策など、色々な用途の教科書が必要になってきます。一方で、研修医や臨床医になってからも必要な教科書ですから、ぜひ学生のうちに揃えておきたいものです。

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