病棟の看護師さんに聞かれたことがあるんです
「インフルエンザの人にロキソニンって使用しても良いんですか?」と。
感覚的にはたぶん大丈夫と思っていても、その根拠を明確にはなすことができませんでした。
さて、医学的にちゃんとした根拠に基づいた答えは
「ロキソニンはインフルエンザに使用しても良い(ただし小児や一般的にダメとされている場合は除く)」ということになります。
以下に詳しく説明していきましょう。
正しい医療情報を知ることの重要性・難しさ
医療情報とは怖いもので、少しでも間違った知識は患者さんに有害です。
したがって医療者側としては曖昧な知識はなるべく潰しておかなければなりません。
医療系の情報と言えば、DeNAが運営する医療情報サイト「WELQ」が間違った情報を掲載していたとして、サイト自体が閉鎖に追い込まれました。
DeNAのヘルスケア情報キュレーションサイト「WELQ」(ウェルク)において、不正確な内容や著作権侵害・医師による監修がない医療記事が大量に存在するという問題に端を発し、DeNAの他のキュレーションサイトも同様の問題が次々明らかになった。
ほっ、気をつけなければ・・・
インフルエンザとロキソニン
インフルエンザになった時に、市販薬や処方されたロキソニンを使用して良いかは迷うところですよね。
この件に関してはgoogle 検索でもたくさんの人が検索しているみたいです。
製薬会社の知見から
これは第一三共株式会社が発売している市販薬ロキソニンS(ロキソプロフェンナトリウム)錠の添付文書ですが、この中にはインフルエンザについて何も触れられていません。
ロキソニンに対してアレルギーがあるとか、15歳未満とか、腎機能・胃腸障害がある人は飲まないようということが書かれています。
子供へのロキソニンはとにかくダメですね。
ただし、添付文書外のQandAの項目をみてみると、以下のような記述があります。
Q.ロキソニン錠・細粒をインフルエンザ患者さんに投与してもよいですか?
A.インフルエンザに対するロキソニンの使用に関し、添付文書には特に注意喚起はしておりません。
ですので、製薬会社の見解としては、インフルエンザはロキソニンに使ってもOKとのことのようです。
薬を売っている製薬会社が嘘を書くはずはありませんから、OKなのでしょう。
医療情報サイトup-to-dateの記述
最新の医療情報を集めたup to dateによると、インフルエンザと解熱薬については下記のような記述があります。
SYMPTOM MANAGEMENT — Acetaminophen or nonsteroidal antiinflammatory drugs (NSAIDs) can be used to treat fever, headache, and myalgia associated with influenza. Salicylates should be avoided, particularly in children below 18 years of age because of the association with Reye syndrome.
(Up To Date “Treatment of seasonal influenza in adults”より
訳)アセトアミノフェンやNSAIDS(ロキソニン含む)はインフルエンザに伴う頭痛や発熱、筋肉痛に使用できる。
サリチル酸は避けるべきで、特に18未満の小児ではライ症候群の原因となる、とのことです。
ちなみにライ症候群とは、インフルエンザに罹患した小児がアスピリンを内服した際に起こる種々の症状であり、脳炎や肝機能の障害が引き起こされます。
私はもちろん実際の患者さんを診察したことはないですが、重症になることもありますから注意が必要です。
とにかくロキソニンはOKで、サリチル酸(アスピリンとかバファリンとか)はインフルエンザには使えない、特に小児では使えない、との結論になるかと思います。
まあそもそもロキソニンは小児への安全性が確立しておらず、使用できないのですが、書いてあることは製薬会社のサイトと同じ見解と言えるでしょう。
結論
(小児以外は)インフルエンザの際にもロキソニンの使用は可能である
ただし、ロキソニンには飲み続けると重篤な副作用がありますから、飲み過ぎは危険です。
内服の用量については医師の指示に従いましょう。
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