解剖学- おすすめ教科書

解剖学は医学部の全講義の中でも、最も重要で質・量ともに膨大な科目かもしれません。

骨・筋肉・臓器やその働きを学ぶ座学に加えて、医学部の代名詞ともなっている解剖学の実習もありますね。

その重要性は臨床医になっても変わりません。専門分野の解剖の知識はもちろん、それ以外の一般的な解剖学の知識であっても、臨床の世界に身を置いている限りは、切っても切れない関係になります。

この前も、全く専門外の頭蓋骨の縫合について「あれ、どうだったけ」と思い返す機会がありました。

また、ヒトのからだに自由にメスを入れられる機会というのも、最初で最後になってしまうわけです。

手術となれば、自由に患者さんの体を傷つけることはできませんから、教科書を横に置きながらメスに触れられる機会が、この解剖学実習が最後な訳です。

ですから、しっかりとした教科書を準備して、授業に望みたいものです。

★★★ ネッター解剖学アトラス

解剖学の領域において、グレイ解剖学と並ぶ有名な本として、ネッタ—解剖学が挙げられます。

主な使い方としては、解剖学実習の際に献体と見比べながら、ということになるのでしょうか。

ふと解剖の知識が知りたくなって辞書的に使う場合には、情報量が多すぎて逆に混乱してしまうかもしれません。

また、このような精緻な解剖学的イメージが、学生時代に必要とされる場面は、解剖実習以外にはあまりないでしょう。良書なのは間違いありませんが、用途を選ぶ本ですね。

★★★ グレイ解剖学

Amazonでもすばらしい評価を得ている本書。

掲載されているのは実際の解剖写真ではなくイラストです。

したがって本書の使い方としては、解剖学に限らず、学習を進めていく中でわからないことに出くわしたとき、辞書的に用いるのが効果的だと思われます。

イラストはカラーで、1つの解剖学的部位を説明するのに複数のイラストが掲載してあるので、非常に理解が深まります。またひとつひとつのイラストも非常にスマートにまとめられています。

さらに臨床に関連した事項がトピックスとして掲載してあり、解剖学を学習するうえで理解が深まるばかりでなく、学年があがってからも十分に役立つ内容となっています。

★★★ 解剖学講義

書籍紹介にもあるように、第2版から約10年ぶりに改訂された。

文章、解説主体の解剖学書であることは変わりない。

改めて見返してみると、掲載されてある内容は他の解剖学書に比べると一段階細かいところまでカバーされているように思う。

解剖学の講義や、日々の学習など、腰を落ち着けて学習するときには是非手元に置いておきたい一冊といえるだろう。

★★★ 解剖学カラーアトラス

本書には、実際の解剖学実習で目にするような人体の構造が、写真で撮影されて掲載されています。

一部のアトラスはオリエンテーションをつけるためのイラストですが、この教科書に掲載してある写真のほとんどは、本物の人体を撮影した写真という形で収録されています。

本書を用いることで解剖学実習の理解が深まることに加えて、解剖学実習の同定試験対策として自宅で使うこともできます。

なお文章としての説明は一切ないために、もう一冊正統な解剖学書が必要になると思われます。

★★☆ 骨単

用途としては、完全に試験対策本です。また本書は薄く小さいため、ありがたいことに携帯性にもすぐれています。

本解剖学的イラストと解剖学名が記載されているにとどまり、解剖学名の語源の説明を除いては、文章はほとんどありません。

解剖学名は見開き1ページの両端に配置してあり、紙の切れ端などで隠すなどして、容易に確認ができるようになっています。

骨シリーズの他にも、脳単も高い評価を得ています。

★★☆ イラスト解剖学

本書はその名の通りイラストを中心に構成されています。正統な解剖学の画像、イラストは皆無であり、鉛筆で走り書きしたようなイラストが掲載されています。

解剖学の初学者がこの本を使いやすいと感じるかどうかは疑問ですが、解剖を一通り学習し終えた後に、要点だけを知りたいと思ってページをめくってみると、理解しやすくまとめられていることが分かります。

本書の使い方としては、解剖学的事項を系統的に理解するというよりは、各ポイントを押さえていくという使い方の方が有用かもしれません。

また、使う人によって好き嫌いが別れる本でもあるかと思います。

Amazonのレビューでは、初学者に使いやすいというレビューがありますが、確かに解剖学の1冊目としては取っつきやすいかもしれません。

まとめ

解剖学は医学部の中でも基本的な分野ですね。

講義、実習、試験対策など、色々な用途の教科書が必要になってきます。一方で、研修医や臨床医になってからも必要な教科書ですから、ぜひ学生のうちに揃えておきたいものです。

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生理学 – おすすめ教科書

生理学も非常に重要な科目かと思います。ホルモン、内分泌、心臓、肺などの働きを論理的に捉えるためには、生理学を深く学ぶことが必要になってきます。

短期的な視点では、頭にたくさん知識を詰め込まずに試験を突破するためには、効率よく生理学を体型的に学ぶのが近道でしょう。

もちろん、生理学で学ぶ論理的な考え方というのは、実際の臨床の現場でも間違いなく必要となる考え方です。

★★★ ギャノング生理学

ギャノング先生が執筆されている生理学書です。

訳本ではありますが、日本語に読みにくい部分は特になく、また数年ごとに改訂されているので内容も常にUp To Dateなものに保たれています。

位置付けとしては標準生理学のように辞書的な使い方が主となるような気がします。ギャノング生理学の特徴として、標準生理学との比較で考えてみると

図表が豊富で的確、理解しやすい
*臨床の観点から生理学を記述するというよりは、生理学の切り口から臨床的な内容に踏み込んでいる

ということが挙げられると思います。

原書で読むならganongですが、内容量は標準生理学と大差なく、また訳本ということを考えるとどちらを選択しても問題ないでしょう。

★★★ 心臓病の病態生理―ハーバード大学テキスト

循環生理から入って各疾患の病態まで説明する流れで書かれているので、深い理解が得られます。

なぜ、どうして、という疑問を持ったとき、本書に立ち戻る事でかなりの部分は解決できるでしょう。全体的に、臨床講義で学ぶ循環器としては適当な内容量になっていると思います。

唯一の欠点を挙げるとするならば、イラストや病理所見が少ないことでしょうか。

また通読に向いているとはいえ説明は長いので、直前の試験対策本には向いていないでしょう。講義と平行して読み進めるという使い方が向いているといえます。

原著は”Pathophysiology of Heart Disease”というタイトルで出版されています。

★★☆ 標準生理学

標準といわれるだけあって、生理学で学ぶほぼすべての内容が網羅されている。

日本語原著の生理学書の中では一番よくまとめられている印象。数年ごとに改訂されており、研究のトピックスも書かれているのはうれしい限りである。

使い方としては、1から読み進めるのではなく、辞書的な使い方が適している。

内分泌などは臨床に直結する分野のために、学年があがってからも使える。

★☆☆ clinical生体機能学

イオンチャネルを専門とする著者が執筆しているテキストです。

心臓の電気生理の項を読んでみると、非常に分かりやすく書かれています。この項目だけでも読む価値は十分あると言えます。

★☆☆ 生理学テキスト

ある程度内容のまとまった生理学書であるが、生理学の基礎から書かれており理解しやすい。

これを6年間使い続けるには少し物足りない感じがしますが、小テスト対策ぐらいならなんとか使えるかな、という文章量で構成されている。

標準生理学を辞書的に使うとすれば、この本は通読に向いていると言える。

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生化学 – おすすめ教科書

医学部で学ぶ生化学は、細胞の分子機能、臓器の生化学的な動きなど幅広くなっています。

臓器の生化学的側面については、臨床医となってからも必須の知識となってきます。

どのような臓器からどのような酵素がでているか、インスリンの作用機序などは、専門外の分野に進んでも必須の知識となるでしょう。

一方で細胞の分子生物学などは、臨床にすすんでしまうとやや遠ざかってしまう分野でもあります。

★★☆〜★ 細胞の分子生物学

分子生物学の名著で、生物系を専攻する学生や研究者に読まれている。

生物系の基礎系大学院であれば、ほぼ全ての学生が持っているであろうバイブルである。医学部の学生であれば是非持っておきたい。

本書は辞書的に使うことが想定されるが、そのような使い方に適したように、1トピックがおおよそ1/2ページの分量で書かれている。

したがってある1つの内容を理解するために、ページを遡って読み始める必要がない(もちろん前提となる知識があってのこと)。

ただ、このThe cellはあまりも量が膨大なので、1500ページにも及ぶ分子生物学の辞書的存在であり、通読するのは不可能である。学生レベルで分子生物学を学ぶのであれば、ちょっと量が多い(★★☆)

であるから、上記の要点をまとめたEssential 細胞生物学の方がおすすめである(★★★)

★★★ リッピンコットシリーズ イラストレイテッド生化学

米国のUSMLE Step1対策に書かれた教科書の訳本で、原著は非常に高い評価を得ている。

原著の方が安いので、気力とやる気がある方には、是非こちらをおすすめする。

本の内容はというと、ハーパー生化学の7割くらいの内容量でまとめられている。

本書の特徴としてはイラストが豊富で、視覚的に理解しやすいところにあると思う。また原著が医学部生向けに書かれているので、本書も臨床に直結するような内容が豊富に取り込まれている。

分子細胞生物学の分野についてもさらっと記述されており、CBT程度の知識を補完するには十分な内容となっている。

通読するには少し文量が多いが、最適な本である。初学者にも既習者にも使いやすい。

★★☆ ハーパー生化学

医学分野のみならず、幅広い分野にわたって有名な生化学書である。
本書の特徴としては、図や表が豊富に掲載されていることにあると思います。

本書に掲載されている内容はどれも重要なものですが、生化学の講義期間中に暗記するには分量が多すぎます。したがって辞書的な使い方にならざるを得ないでしょう。

私が初めて訳本を読んだとき、ほとんど頭に入りませんでしたが、Amazonでの評価は非常に高いテキストです。

★☆☆ シンプル生化学

コンパクトにまとめられている割には、重要な代謝経路などは図になっている。

入門書としては良いが、エッセンスしか書かれていないために、理解して読み進めるのが難しいかもしれない。初学者は手を出さない方が無難。

生化学を一通り学習し終えてレビューしたい人には最適だと思われる。

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神経科学 – おすすめ教科書

神経科学の領域は、日本語原著の良書が少ない印象です。

英語で出版されている名著の訳本はたくさんあrるのですが、コンパクトにまとめられたちょうどいいサイズの教科書がありません。

医学部の講義で学ぶにしても、解剖学や生理学よりはかなり割かれる時間が少ないですし、仕方ないのかもしれません。

★★★ カンデル神経科学

神経科学の全体像を示した教科書で、トータル1700ページにも及ぶ。

講義と並行してじっくり読むのが良い。1700ページもあるので、直前の試験対策や要点を把握するのには向かない。

★★☆ 神経科学-脳の探求-

約700ページに及ぶ神経科学の教科書。神経科学の分野で、和書を選ぶならば本書が第1選択になると思われる。

イラストはカラーで文章量も多く、平易な表現から始まって深いところまで理解を深めてくれる、そんな印象がある。

試験で要求される内容を遥かに超えているように思われるため、辞書的に使うのが良い。

★☆☆ カールソン神経科学テキスト 脳と行動

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薬理学 – おすすめ教科書

薬理学は薬物の作用機序について学ぶ学問です。

基礎講義の中では、講義に割かれる時間はやや少ない印象ですが、薬物動態や各受容体の働きの理解は、臨床医として働く上でも必須の知識になってきますね。

臨床医になって振り返ってみると、生理学と生化学の間で、薬理学で学んだこと、というのは少々あいまいになっているのですが、薬物動態など、どの診療科に進んでも必須の知識になります。

★★★ NEW 薬理学

薬理学の標準的な教科書です。

大学の講義レベルから大きく逸脱した知識などは書かれておらず、600ページ程度、かつイラストも十分に掲載されているので、講義と並行して使うにはちょうど良い内容量と言えるのではないでしょうか。

また和書でありながら頻繁に改定されており、日本語原著の教科書となると、この医学書になるかと思います。

★★☆ イラストレイテッド薬理学

原著ではReview本(復習本)という位置づけになっていますが、初学者にも十分理解できる内容になっています。

内容はというと、USMLE Step1対策ということもあってか、個々の薬剤に関する記述など、やや臨床的な内容に重点が置かれている印象です。

薬物動態などの生理学的内容は、内容量としては少なくないものの、全体に占める割合は低いかもしれません。

原著は”Lippincott’s Illustrated Reviews: Pharmacology”というタイトルで出版されています。

★★☆ ハーバード臨床薬理学

ハーバードの学生と教授のディスカッションを通して仕上げられた、学生目線の教科書です。

現在のところ、原著はまだ第3版までしか出版されておらず、シリーズの歴史は浅いですが、今後はこの本が薬理学のテキストとして主流になっていくと思われます。

その証拠に訳本、原著問わず、Amazonのレビューでは高い評価を得ています。

本書は54章から成り、各章には症例提示から始まってその分野に関する生理学、薬理学的なことが総合的に書かれており、しかも非常に的確にまとめられています。

学生目線で記述されているので、本書全体を通して非常に高度な知識や無駄な記述はありません。

特に分かりやすかったのは、心臓電気生理の内容で、 この部分がうまく説明してある日本語の生理学書はあまりなかったように思うのですが、 この本は非常に分かりやすく書かれています。

内容はそれだけすばらしいのですが、ページ数は900ページを超えているために、読み進めるのに気力、体力、集中力などが必要になります。読み飛ばすような内容もないので、通読にも、辞書的にも使える教科書だと思います。

原著では”Principles of Pharmacology: The Pathophysiologic Basis of Drug Therapy”というタイトルで出版されています。

★★☆ 図解薬理学

本書の構成は、ある疾患の病態生理、症状を軽く説明したのちに、治療戦略を掲げ、実際の臨床で用いられる薬剤を解説する、という流れになっている。

図やイラストは疾患の病態生理と、薬剤の化学式のみで、薬理作用の部分ではイラストが省略されていて、かなりコンパクトにまとめられている印象を受ける。

初学者には向かないが、一通り薬理学を学び終えた人には、薬理学全体を見渡せる良書である。是非とも定期試験対策に使いたい1冊である。値段も手頃。

★☆☆ シンプル薬理学

医学生には向かないと考えられる。以下は第4版の特に「向精神薬」の項目を読んだ感想である。

要点は網羅されていると思われるが、読者にとっては混乱する書き方がされている印象。

抗精神病薬の分類では、D2 receptor阻害の第一世代(定型抗精神病薬)と5-HT2 receptor阻害の第二世代(非定型)の2種類のグループを示すのが不可欠であるが、そのような記述がほとんどない。

またSSRIの機序をイラストを交えずに説明するのは無理がある。やはりコメディカル向きの域を出ない。

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神経解剖学 – おすすめ教科書

神経解剖学の立ち位置は微妙なところで、メインは脳の解剖実習ということになると思います。

ただし、人体の解剖学実習では扱わないですし、かといって脳の機能や神経生理にについて深く学ぶこともありません。

ですから、教科書の選択ということになると難しくなってしまうのですが、余裕があれば実習用と、座学で使用する標準的な教科書を手元に置いておくのが良いかもしれません。

★★★ ハインズ神経解剖学アトラス

300ページほどの教科書だが、アトラスの名の通りほとんどの内容は脳切片の写真やイラストで占められている。

神経解剖実習で使う教科書となればこの本になると思われる。文章も掲載されてはいるが、写真やイラストの説明にとどまっている。

★★☆ リープマン神経解剖学

280ページの比較的薄い本で、文章主体に構成されている。

掲載されているアトラスはほぼイラストで、マーティンなどに比較すると漫画のテイストで描かれている。

パーキンソン病などのトピックは詳しく解説されているが、全体として深入りせず、24章あるうちの各章は数ページにとどまっており、入門orレビューとしての位置づけの教科書である。

章末には理解度を図る5肢択一問題と症例問題が掲載されている。

★★☆ マーティン神経解剖学

460ページの分厚い教科書で、文章、イラスト、写真のバランスがとれている。内容はイラスト、写真を交えた神経解剖の解説であり、標準的な神経解剖学書と言える。

巻末80ページは1ページにイラストor写真が1枚が掲載してあるので、神経解剖学実習にも使えるテイストになっている。

文章は神経解剖学+αのことしか書かれていないので、神経生理、神経科学を学ぶには別の本が必要だと思われる。

★★☆ 神経解剖学集中講義

USMLE Step1対策に書かれた原著High-Yield™ Neuroanatomy (High-Yield Series)の訳本である。原著での評価は非常に高く、Step1対策にはFirst Choiceとなっているようである。

神経解剖学というタイトルになっているが、実際のところは基礎医学で神経解剖学、それに関連して臨床医学で学ぶ神経疾患までを網羅した内容となっている。

各項目は数行でまとめられており、160ページという非常に薄い本だが、脳解剖(矢状断、冠状断、軸状断)の写真や脊髄路も掲載してあり、分かりやすいくまとまった本である。

ただし、試験対策として神経解剖学に関連した項目の要点をまとめた教科書なので、初学者には向かない。USMLEを受験するのでなければ、かなり用途は限られてしまう。。

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