研修医の時にローテーションするべき診療科

研修医として勤務するにあたっては、2年間の初期研修医時代にローテーションする診療科を選んでいくことになります。

内科や精神科などは必須の診療科となっていることが多いですが、内科の中でもどこをローテーションするか、またどれくらいの期間そこで研修するかなど、ある程度の選択肢が用意されています。

ここでは私が見聞きした経験から、どの診療科をローテーションするのが、最も充実した研修になるのかということを考えていきたいと思います。

判断基準

したがってここで書いている判断基準というのは、将来的に役に立つかどうか、と言うことでしょうか。

すべての経験はもちろん無駄ではありませんが、充実した初期研修にするためには、ローテーションすべき診療科を慎重に決めていく必要があるでしょう。

ローテーションするべき診療科

内科はやはりローテーションすべきかと言えるでしょう。

基本的な全身管理とか、入院患者への対応といったものは、どこの診療科に行っても要求されるものです。

また将来的に入院患者を持たない診療科に進む予定であっても、当直等で患者さんと接することがあるでしょう。そのような意味では、内科系の診療科というのはぜひローテーションしておくべきです。

循環器内科、消化器内科

ではどこの内科をまわるべきかということですが、具体的には循環器内科、消化器内科などをローテーションすべきだと思います。

消化器内科や循環器内科の患者は、病状が安定していないことも多く、内科的な管理というのがどうしても多くなります。

輸液、内服薬の管理など、基本的な病棟業務を研修医時代に主体的に行うことによって、より多くの知識と経験を得ることができます。

一方で神経内科や糖尿病の場合には、よくも悪くも患者さんの病状は安定していることが多く、全身管理といった点では、業務量はあまり多くないかもしれません。

こればっかりは、病院ごとの診療科のカラーにもよるところで、一概には何とも言えないのですが、概ねどこの病院行このような傾向があるかと思います。

一般外科

外科も必修になっている病院が多いかと思います。

外科系の診療科に進む場合は、あまり役に立つ部分はないかもしれません。むしろ内科系の診療科に進む場合には、ぜひ外科のローテーションをすべきだと思います。

簡単な縫合や持針器の扱い方、糸結びなどは外科ローテーション中でないとなかなか習得できない技術です。

内科医として勤務していると、当直帯などで簡単な縫合を行うこともあります。そのような時には、外科時代に研修していた技術が生きてくるわけですね。

麻酔科、救急科

その他、麻酔科や救急科などもぜひローテーションしておくべきでしょうね。

どのような診療科に進んだとしても、医者である限りは、薬を投与するための静脈路の確保、気管内挿管、心臓マッサージなどは、基本的な手技として要求されるところです。

放射線診断科

現代医学においては、病気の診断や治療効果の判定においては、CTやMRIなどの画像検査が必須になっています。

CTやMRIと聞くと、敷居は高く感じてしまうのですが、実際はそうではありません。

短期間の研修において、画像診断の医学的な知識と言うのを身につけるのは難しいかもしれませんが、基本的な画像の読み方や、画像読影に慣れ親しむということにおいては、非常に有用かもしれません。

まとめ

研修医時代の知識は、医者になってからも時折役に立つことがあります。そのような知識を少しでも増やすため、研修医時代には、ローテーションする診療科を賢く選択したいものです。

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研修医時代には手技の取り合いが発生する

研修医時代には、どれだけたくさん手技をやったか、ということが競われるわけです。

研修医にとっての手技とは

研修医の時には、研修医なりの競争っていうのがあるんですね。その1つが、手技の取り合いと言うものです。

手技と言うのは、書いて文字通りなのですが、手を動かして行う医療行為のことです。

手術ももちろん手技のひとつと言うことができるでしょうし、採血や点滴のための注射なんかも手技と言って良いでしょうね。

もちろん手技と一括りに言っても、未熟な研修医の身分では、手術でがんを取るとか、脳腫瘍摘出するとか、そういう事は行いません。

ですから、研修医にとっての手技というのは、もっと基本的なものになります。

からだの太い静脈にカテーテルと呼ばれる細い管を入れるとか、ポートと呼ばれる抗がん剤治療をする人に必要なデバイスを体の中に埋める、といった処置のことを指します。

このポートは、正式には中心静脈ポートと呼ばれていますね。

さて、上記のような処置は、もちろん局所麻酔でできますし、時間的にも大体30分とか長くても1時間ぐらいで終わります。ですから研修医にとっては非常にとっつきやすい手技なわけです。

手技との取り合い、競争がおこる

研修医の中では、そのような手技を何件やったかと言うことが、研修医としてどれだけ頑張ったかということの指標の1つになります。

もちろんこの手技たくさんやったから出世ができるとか、尊敬されるとか、表彰されるとか言うことではありません。単なるイメージです。

特に同じ診療科に研修医が2名以上いる場合には、これは手技の取り合いになっちゃうわけですね。

仲が良い研修医だと、1症例は私、もう1症例はあなた、といった譲り合いが起きるんですが、お互いにやりたい盛りだと、これはもう大変です。

手技の取り合いで、争いが起きたりもするんです。それが原因で仲が悪くなってしまうというような、なんとも悲しい話もあるわけです。

ただ、中心静脈の確保や、中心静脈ポートの留置なんていうのは、誰もが遅かれ早かれ通る道なわけです。

実際に内科系・外科系のほとんどの診療科では、いつかは嫌々ながらもやらなければいけない手技ですし、50歳とか60歳位になればみんなやりたくないので、どんどん後輩に譲って行きます。

医師としてそれなりに経験を積んで思うこと

私も研修医時代には、何事にもやる気を持って頑張っていました。

うえに書いたような手技なんかも、率先して取り組んでいました。流石に先輩・同期の研修医と競い合ってまで、というわけではありませんでしたけれど・・・。

ただし医者として経験を積んで、落ち着き始めた今ぐらいになると、そんな情熱も少しずつ失われていってしまっています。

いっぱい働きたいと言うそのモチベーションを、専門研修に入ってからも持ち続けてもらいたいものです。

研修医になった時にすべきこと、考えるべきこと

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採血やルート確保は誰でもできるというはなし

研修医時代には、何回も採血やルート確保をしましたね。

採血やルート確保が研修医の仕事である場合もある

たいていどこの診療科でも、採血やルート確保は看護師さんがやってくれます。でも、重要な採血やルート確保は、研修医の仕事だったりします。

たとえば内分泌内科におけるホルモン系の採血は、医師の仕事、とりわけ研修医の仕事だったりします。

また、外科患者で術前のルート確保などは、研修医の仕事だったりもします。

そのほか、病棟の患者で採血やルート確保が難しい場合は、研修医の仕事になったりもします。

ですから研修医は、多かれ少なかれ、たくさん採血することにになるわけです。

たくさんの失敗を経験する

といっても、もちろん医者になったばかりだと、うまく採血やルート確保できないものです。

私も当初は術前患者のルート確保がうまくできなくて、今考えると、血管がすごく明瞭に見えている患者ですら、ルート確保がうまくできず、先輩の先生に頼んでルート確保してもらっていました。

当時のことを考えると、病棟の看護師さんには白い目で見られていたんだろうなぁと思います。

大学病院でも採血とルート確保をする

さて3年目になって大学病院に行くことになりました。

大学病院の研修医はあんまり雑用などをやらないので、雑用系は医局で一番下の医師3年目に仕事が回ってきます。

研修医を卒業したとは言えど、仕事内容としては、初期研修医時代と同じようなことばかりでした。

当然ルート確保も3年目の仕事だったわけですが、研修医時代の失敗が生きたのか、自分自身でもかなり上手くなっていたと思います。

何でもないような患者の血管であれば、ルート確保はほとんどうまくいくようになっていましたし、看護師がうまくいかなかった患者のルートでさえも、なんとなく確保できるようになっていました。

何かやり方を変えたとか、新たに猛勉強したとか言う事は無いのですが、なんとなく上手くなっていったような、気がします。

場数を踏んだ分だけ、あまり迷わずに、躊躇せずに、1つの手技をやろうとしたことが、結果的に良い結果につながっているのかもしれません。

結局のところ、みんな同じようなレベルに到達するのではないかと思う

研修医になってすぐの頃は、簡単とされる手技でさえ、うまくできずに落ち込むことがあります。

ただし簡単とされる手技と言うのは、そこに従事しているみなが難なくできるからこそ、簡単とされているわけです。

ですから失敗を重ねることで、いつかはそれなりのレベルに到達するんだろうと言う自信を持つことが大切です。

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研修医時代の同期の進路について考察する

私は総合病院で研修していましたので、同期の研修医は20人ほどいました。その20人の研修医がどうなったのか書いていこうと思います。

20人の研修医のバックグラウンド

20人ほどの研修医は、出身大学がかなりばらつきがありました。

もちろん派遣元の大学出身の研修医が多かったですが、それ以外にも地方の大学出身で、実家が東京なので里帰りしたと言う先生も多かったです。

再受験の先生もいたり、国家試験を留年した先生もいたりと、いろいろな顔ぶれが揃っていました。

その同期とは温泉旅行やスキー旅行、たくさんの飲み会など、いろんなことを経験しました。お互い支え合い、幸い誰もドロップアウトせずに2年間の研修を終えたのは良い思い出です。

研修医時代に辛かったこと

大学の医局に所属して、勤務医として働く

一番の王道のパターンですね。8割くらいに当てはまります。

大学医局に所属し勤務医として働く道です。大学を卒業して10年目位であれば、特に医局を離れる人もおらず、みなさん地道に勤務医として働いています。

専門性は皆それぞれで、内科、外科、眼科など様々です。

専門としている診療科のばらつきは、消して眼科や皮膚科が多いと言うことではなくて、メジャーな内科や外科が多いなど、ちょうどうまい具合にに医療需要に合ったものになっていると感じます。

私の研修していた病院は、ブランド病院と言うわけでは無いですが、まずまず真面目な人たちが集まる病院だったので、そのような傾向になっているのかもしれません。

医局に所属せず、病院に就職した研修医

20人ぐらいの中には、医局に所属せず、研修病院に残って就職した先生もいます。

将来は親のクリニックを継ぐことが半分決まっている先生や、また事情があって医者を一生続けるつもりがない先生などは、このようなキャリアを積んでいるような気がします。

確かに、大学病院で研究がしたいとか、大学病院に所属しないければ専門医を取ることができない一部の診療科以外は、医局に所属しないと言うのも十分有望な選択肢なのかもしれません。

アウトローな生き方をする研修医もいる

ある先生は、研修医を終えてから、真っ先に美容整形の道に進みました。

話を聞いてみると、給与は一般的な勤務医よりもぐっとよくなるものの、上層部から課せられる営業ノルマと言うのは厳しいようです。美容整形の世界はやや供給過剰な面もありますので、競争が激しいのかもしれません。

 

脂肪注入や二重など、保険診療外の美容整形分野は、形成外科の専門的な技術を必要としない診療が可能です。逆に言うと、専門性が高い分野ではないので、5年後、10年後に同じ世界で生き残れるかどうかは、難しいところです。

以上が研修医の同期の進路でした。まだ卒業して10年くらいなので、これからがいろいろな進路に進んでいく分岐点なのかもしれません。

医学部生・研修医が診療科を選択するときに考えるべきこと

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初期研修の外科ローテーション中に怒られたこと

3ヶ月の期間外科で研修していた時に、色んな先生にいろんなことで怒られました。たくさん学ぶことがありました。

若手の先生は比較的仲良くしてくれる

外科をローテーションしていた時代、外科専門医を取るか取らないか位の若い先生とは、仲良くさせていただいてました。

若手の先生から、直接怒られると言う事はあまりありませんでした。というか先生方も普段は仲良くしているという手前、怒る・叱ることが難しかったのかもしれません。

この気持ちは今になってみるとすごく良く分かります。

ですから、どちらかと言うと私がやっていることに関して、それとなく指摘をされて指導を受けるといったような感じでした。

中堅〜ベテランの先生から手を動かせと厳しい指導があり

もちろん外科の診療科には、医者になって20年目位の、中堅〜ベテランの先生もいらっしゃいます。その先生方とは病棟業務で関わることはほとんどなかったのですが、手術では関わる事がありました。

私がよく怒られたのは、手術中はもっと手を動かせと言うことでしょうか。実はこの指摘は、産婦人科をローテーションしていたときにも言われました。

研修医のレベルでは、手術に入るといっても、術者が見やすいよう視野を確保したり、溢れ出てくる血液をサクションで吸ったり、といった位です。

私の考えとしては、あまり指示がないままにどんどん先走ってしまったら、取り返しのつかないことになるかもしれないと考えて、あまり手を出さないようにしていました。

ただ一方で、術者の側から見れば、もっとどんどん手を出して、手術に参加すると言うことを望んでいたのかもしれません。

手術中の空気を読むのが難しい

この辺の空気を読む感じ、というのはすごく難しかったように記憶しています。どこまで自ら考えてやって良いのか、というのを認識するのは難しいです。

いま医者10年目近くなって思うのですが、若い先生には、迷ったら上級医の指示を仰ぐべきだと教えています。責任のある立場にない研修医ならなおさらです。

医療行為というのは、時に取り返しのつかないことになる場合があります。よかれと思って行った判断が、実は180度間違っていたなんてことはしょっちゅうあります。

そのような現実の一方で、外科の先生方に「もっと手を動かせ」と言われるのは、なかなか私にとっては難しい局面でした。だから外科系にすすまなかったのかもしれませんね。

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医学部生・研修医が診療科を選択するときに考えるべきこと

研修医の2年間が終了してはじめて、それぞれの専門性のある診療科を選択することになります。

専門とすべき診療科については、迷う迷うものです。

自らの興味や適正を考えて診療科を選択すべきである

多くの研修医は、自らの興味や適性について考えたうえで、診療科を選択していくことになります。手術が好きであれば外科、そうでなければ内科といったような具合でしょうか。

手技は好きだけれども、手術はちょっと、、、という場合は、比較的内科の中でも手技が多い消化器内科や循環器内科などが候補に上がるかと思います。

これらは病棟実習や、研修でローテーションした診療科の雰囲気をみて、決めていくことが大切です。

QOLも大切な基準になり得る

またどれぐらい、休日があるか、というのも非常に大事になってきます。

つまりは仕事の大変さですね。

特に女性の場合は結婚・妊娠・出産と言うイベントをこなすことが多いですから、あまりにも激務で、休みも中々とれなかったり、毎日夜遅くまで必要がある診療科であれば、家庭と仕事の両立が後々難しくなってきます。

また現実的には、一旦手術となれば10時間くらい平気で手術時間がかかる腹部外科、脳神経外科、心臓血管外科に関しては、女性の場合は体力的にもたないと言う面もあると思います。

私は女性でも外科や救急科などを選択するのは自由だとは思いますが、男性医師と同じ土俵で競争しなければならないのですから、現実的な選択肢をした方が良いでしょうね。

手術時間が短い診療科となると、皮膚科、眼科、耳鼻科(一部)、形成外科、乳腺外科、整形外科なんかでしょうか。つまりは体内臓器に直接的にアプローチしない診療科に限定されるかと思います。

上記のような背景からか、女医さんは眼科や皮膚科、麻酔科等、体力勝負ではない診療科で、比較的オンオフが明確に区分されている診療科を選択することが多いようですね。

開業しやすいか、医局をやめても大丈夫か

もし興味やQOL、それ以上にも考慮する余裕があるのであれば、医局と喧嘩をしてしまった場合のことも考えておいた方が良いですね。

フリーの医師の求人は、内科系であれば引く手数多なわけですが、一部のマイナー科になると働く場所も限られてきます。

「自分は巨大な医局という組織をやめてしまうかもしれない」と考えている研修医諸君は、とりあえずメジャー内科に入局しておけば良いと思います。

自分の親のクリニックや医院を継ぐか否か

その他、自分の親がクリニックや医院を開業している場合には、それらを継承するのかどうか、という問題も出てきます。

医学部の同級生を思い起こしてみると、親が開業医をしている場合には、将来の軽症に備えて、内科医系に進む医師が多かったように思います。

親のクリニックを継承する、というのは医者キャリアの中ではかなりイージーモードですから、継承するかどうかは別として、継承できるように同じ専門分野に進んだ方が賢明ですね。

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