ダヴィンチと呼ばれる手術用ロボットが、もっと広く医療現場で使われることになりそうですね。
厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)は2018年1月17日の総会で、2018年度診療報酬改定におけるロボット支援下内視鏡手術への保険適用について議論した。
既に保険が適用されている前立腺がんと腎臓がんに続き、肺がんや食道がん、胃がんなど新たに12件への保険適用を承認した。
米Intuitive Surgical社の手術支援ロボット「da Vinci Surgical System(通称:ダヴィンチ)」を使う手術、いわゆるダヴィンチ手術の保険適用対象が一挙に広がる形だ
日経デジタルヘルス 2018.1.24
ダヴィンチ手術の利点
ダヴィンチとは記事にもある通り、人の手を真似た手術の機械になります。
世代はいろいろあるのですが、実物はちょうどこんな感じです。
(日本ロボット外科学会)
このような機械を用いて、手術を行っていくことになります。
人は手術室の端っこのほうにすわりで、ロボットアームを操作することになります。
もちろんロボットアームをセッティングするのは人間の手になるのですが、一番重要な部分、つまり組織を剥離したりとか、血管を切ったりとかを、このロボットで行うということですね。
動きがより精密になる
人間の手であれば、小さい針で体の組織を縫うことは限界があります
仮に針の大きさが5mm大くらいとすれば、人の手でその針を持つのは難しいですよね。
もうアルコール中毒で手が震えているような場合には、絶対に掴むことはできないでしょうね。
一方でこれが機械になると、容易になる可能性があります。
ダヴィンチの先端についているカメラは、かなりズームして術野を捉えることができます。ですから、人間の目よりも、より拡大して術野を見ることができるようになるのです。
また人間が操作するところで10cm動かしたとしても、実際のロボットアームでは1cmしか動かさない、ということも可能です。
つまり人の手で手術を行うよりも、より細かい作業が可能になるということなのですね。
複雑な動きが可能
また、ダヴィンチではロボットアームの動きの制限がありません。
人間の手の関節であれば、どうしても動く範囲に制限が出てきます。
ですから人の手で手術する場合には、体を右から左に入れ替えたりとか、左手と右手に持っている機械を持ち替えたりして、手術しています。
しかし、このダヴィンチのロボットアームは動きの制限がありません。
自由自在なアームの動きが可能になることによって、これまた正確な手術が可能になるわけです。
今後の展望
これまで、ダヴィンチを使った手術はおもに前立腺に限って行われていました。
今回の保険適応拡大によって、ダヴィンチを用いた手術というのはどんどん増えていくでしょう。
ダヴィンチの低価格化と手術コストの低下が達成されれば、もしかしたら、20-30年くらいするとロボットで手術をするのが当たり前、という時代がやってくるかもしれません。
コストや時間的な面を無視すれば、おそらくダヴィンチで手術した方が出血量が少なく、周囲の組織を傷つけることなく手術が可能になるでしょう。
ただし、一般的な技術の維持も課題です。
どんなにロボット手術が普及したとしても、出血を起こした患者とか、夜中の緊急手術の患者などでは、わざわざロボットアームをセットして・・・なんて悠長なことはやってられません。
ですからロボットを使用しない開腹手術は絶対になくならないのです。
今後は外科医は、ロボット手術と開腹手術の両方を習得しなければならないわけですから、ますます大変な時代になりそうです。
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