医師国家試験と USMLE step1における出題傾向の相違について

このごろはstep1に関するup to dateな情報を提供できておらず、誠に申し訳なく思います。

現役step1受験生ではないのでこれ以上のstep1の情報は提供できないのですが、受験を考えている皆さんには、過去のページを適当にクリックして何かしら有用な情報を見つけて頂ければ幸いです。

最近の動向はといいますと、授業からも実習からも解放され、平日は朝から晩まで勉強し続けるという受験生の生活を送っているのであります。

個人的にはこの国家試験のための勉強というものはそんなに苦ではなくて、テコムにしろメックにしろQBにしろ、受験生が最低限やるべきことをやっていれば何とか合格(=資格を取得)できるわけで、言ってみれば我々の生活はノルマ付きのデスクワークとなんら変わらないと思います。

そう考えてみると、国家試験の受験勉強で大切なのは、適度な息抜きをしつつ良好な精神状態を保つことなのでしょう。ちなみに相対評価されてしまう大学受験やStep1はこの限りではありません。

さて、本題に入ります。国家試験の学習もある程度まで進んできて感じるのは、Step1は医師国家試験の出題傾向に比較して

・生化学、薬理学、微生物学の出題が多い。
・生化学分野では、一般的な反応経路について詳しく問われる。
・薬物の一般名、副作用について詳しく問われる。
・各微生物について幅広く知っている必要がある。
・行動科学という独特の分野があり、Personality disorderについての出題が多い。

・病態生理を深く考えさせる問題は少ない。
・全体として知っておくべき疾患は少ない。
・Xp、CTなど画像診断を求める問題は少ない。
・禁忌肢がない

という傾向があります。

やはりStep1は基礎知識を問う試験であり、基礎医学分野に関する出題が多いようです。対して国家試験の重点は病態生理を深く考えさせる事にあるらしく、問題文は長い上際どい選択肢を備えた臨床問題などが出題されます。

Step1とUSMLEの出題範囲は完全な重なりをみせることはなく、国家試験の勉強ばかりしていたからと言ってStep1で高得点が保証されるわけではありませんし、その逆も然りです。

より臨床的思考力が試される出題は国家試験の方が多いと感じられますので、暗記モノが多いstep1を受験してから国家試験対策に進む方が、トータルの効率は良いように感じられます。

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USEML step1の得点結果

学習記録

受験する年の3月まで:First Aidをだらだらと解く

4月-6月:Kaplan Q Bankを1周
7月-9月:USMLE WORLD Q Bankを1周+間違えた問題(正答率50%)
10月まで: Pathology Question Bank Powered by USMLE Consultを1周+間違えた問題
11月まで:First Aid Q&A 1周+間違えた問題
12月中旬まで: USMLE WORLD Q Bankを1周+間違えた問題(正答率73%)
年末まで:復習など

合計6000問解きましたが、ちゃんと見直せたのは4500問くらいですね。
自分なりの反省点を書くと

(1)3月までだらだらと問題を解くのは良くなかった。
1月にCBT、3月は丸々海外にいたので、年始3ヶ月は全く勉強が進みませんでした。非効率的でした。

(2)Kaplan Q Bankが中途半端になった。
自分の知識になるまで取り組めませんでした。

(3)USMLE WORLD Q Bankを2周した。
ちゃんとした学習計画がなかったので、2回もonline問題集を買うハメになりました。

Step1の得点結果99点

目標にしていた99が取れたのはめでたきことですが、学習計画がしっかりしていればもっと高得点が狙えたのかな、という思いもあります。

得点の内訳

本試験での得点率です。

Behavioral Scienceの得点率が低かったのは予想通りとして、意外に消化器系も悪かったようです。生化学、遺伝学、薬理学など基礎医学の分野は臨床科目に負けず劣らずだったので、勉強の成果は出たようでした。

Step1の得点とresidency program

自分のスコア230がどれ程の意味を持つのか調べました。ちなみに U.S seniorとは医学部4年のことらしいのです。

このFigureはgoogle画像検索で引っ掛けてきたもので、出典元は分からないので参考程度にしてください。

First Aid Guideの最初の方のページに掲載してあるFigureとほぼ一致しますが、放射線、形成、皮膚科、外科全般は人気(competitive)であるようです。逆に家庭医学、精神科あたりは人気がないですね。

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USMLE step1受験当日の様子

試験会場の様子

受験当日はプロメトリックの会場に行きます。

東京の茅場町のビルに事務所があり、そこで試験でした。私の他にも数名の方が受験されていたように思います。みなさん学生ではなくて医師のようでした。

試験会場では、TOEFLや企業の方が受験するような資格試験も実施されており、そのような受験者と同じ部屋で受験しました。

また私物の持ち込みは厳禁で、私は耳栓だけ持ち込みました。
メモ用紙の代わりとして、マーカーと記入、消去可能なボードを渡されます。

試験スケジュール

さて、試験のスケジュールは、STEP1の場合 Tutorial15分、試験時間7時間(1時間/1block×7block)、Break Time 45分です。

Tutorial15分を全部スキップすれば、これがBreak Timeに組み込まれて、Break Timeは計60分になります。当然のことですがこのBreak Timeにはblock間のトイレ休憩、飲食、昼食なども含まれていて、かなりタイトなスケジュールになります。

Break Timeの45分を超えて休憩した場合には、試験時間が徐々に減っていくようです。

試験開始

私の場合は、Tutorialの部分を斜め読みしてBreak Time 53分くらいでスタートしました。画面操作はUSMLE WorldやNBMEの模試と酷似していますので、戸惑うという事はないと思います。

試験会場はTOEFLの受験と同じですが、耳栓をして備え付けのヘッドフォンをすれば、キーボードのタイプ音や話し声は全く気になりません。受験時には耳栓を持参する事を是非おすすめします。

試験を開始して、最初の2 blockくらいは休憩なしでいけるかなぁと思っていたのですが、かなりきついと感じたので1blockごとに小休憩をとっていました。

さて肝心の出題問題ですが、全体的なレベルはFirst Aid Q&AのTest Blockと同じくらいだと感じました。Kaplan Q bankのように、重箱の隅をつつくような知識ばかりが問われることはありません。

*解法通りに解ける問題3割

*少し考えれば選択肢が選べる問題4割

*選択肢を2つまで絞れる問題2割

*全く分からない問題1割

だったと思います。

2択で迷う問題が多く、このような問題では正確な知識と思考力が要求されている気がしました。ただ時間的に余裕がある、ということは全くなくて、2択で迷う問題はほとんど勘になってしまいました。

問われている知識はFirst Aid Guideに載っていることばかりで、この本をどれだけ丸暗記するかが得点に直結するような気がします。 私は試験直前にFirst Aid Guideを一通り読んでいたので、それのおかげで5問くらい解けたと思います。

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USMLE Step1の得点のみかた

Step1の得点表示には2digitと3digitの2通りの表し方があるようです。

うえのFigは2digit、3digitの得点換算と、その得点における問題の正答率、受験者中での位置を示しています。いちばん左のNBMEは何を示すのかよくわかりません。模試の得点なんでしょうか?といっても最近受けたNBMEの模試の得点換算とは若干違います。
受験者のおよその平均はパーセンタイルが50.0の行、つまり2digitでscore90のところになります。

 

今日私が受けたNBME2(模試)の得点換算は3digitで212だったので、受験者の中でのパーセンタイルはだいたい下から40/100番目、正答率は約75%ということになります。
こう書いてみるとそこそこに見えますが、prep4 USMLEのコミュニティではあり得ないくらい頭のいい人がいるんですねー。いい刺激になります。

 

USMLE step1の問題一例

A man living in southern Japan contracts HTLV-1 infection through sexual contract. 25 years later he develops generalized lymphadenopathy with hepatosplenomegaly, a skin rash, hypercalcemia, and an elevated white blood count. This man has most likely developed which of the following?

A. AIDS
B. Autoimmunity
C. Delayed hepersensitivity reaction
D. Leukemia
E. Recurrent infection

日本の医学部で教育を受けた人間なら、かなり身近な疾患だと思われます。大学の講義で何回もこの話題について聴いたし、試験でも答えた記憶があります。そう考えてみると、日本人なら最初の一行くらいで答えが分かってしまいそうな気がします。

では逆に、Sickle cell diseaseとかRocky Mountain spotted feverについて学んだかと考えてみると、大学の講義ではほとんどやってません。血液内科で実習してもSickle cell の人はまず診ないだろうし、地域ごとの罹患率の差で学ぶべき医学内容が変わるなんて、やはり医学というのは臨床に根ざしたものなんだと思いました。

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Embryology

発生学難しい分野で、CBTの知識では4割くらしか得点できないと思います。出題される問題の傾向は、ほとんどが臨床に即したものとなっています。

High-Yieldシリーズ、BRSシリーズとも発生学分野の教科書はAmazonで高い評価を得ておらず、私は発生学自体を系統的に理解していなかったので、Before We Are Bornという教科書を購入しました。

本書は400ページ、文章書きスタイルなのでStep1対策には向きません。イラストは豊富で、臨床に関連したトピックも掲載してあります。内容量としては医学部の基礎講義にも十分対応できる量です。

どちらかと言えば発生学を系統的に理解する、特定の分野だけを読む、詳細なイラストを見て理解すると使い方が向いていると言えるでしょう。発生学をろくに理解していない人間がFirst Aidだけを見て学習するのはかなり無理があるので(1-1対応の暗記になってしまいます)、私はこの教科書も活用して勉強を進めました。

EmbryologyはFirst Aid以外に絶対的な教科書がないのが現状のようです。

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