がん治療における治療適応の決まり方。治療方針を左右する要素5個




がん治療においては、それぞれの患者さんの治療適応というのは、大原則としてガイドラインに沿って治療が行われます。

そこにはたくさんお金を持っているとか、貧乏であるとか、そんなことは関係ありません。

治療方針のガイドラインとは?

ガイドラインとは、患者さん病気の進行状態を参考にして、その患者さんに最適な治療方針を示したいわば教科書みたいな存在になります。

これらのガイドラインは学会が定めた標準的な治療であり、それを覆してまで違う治療をやろうとするには、それ相応の理由が必要です。

これらのガイドラインを参考にして、目の前にいる患者さんの治療方針を決定しているわけです。

インターネットで参照できる代表的なものには、日本癌治療学会・がん診療ガイドラインがありますね。

もちろんガイドラインに沿って治療をするのがスタンダードなわけですが、患者さんの状況は十人十色ですから、実際の病院の中ではいろいろな状況が発生しています。

がん治療の治療方針を左右する要素

年齢・体力

がん治療の治療方針を左右する1番大きな要素は、年齢とか体力というものになるかと思います。

画像所見や血液検査の結果からは、間違いなく手術が良いとされるがんであったとしても、患者さんの年齢が100歳であれば、手術が選択されることはまずないでしょうね。

山登りをしているような、すごく体力のある100歳の患者さんであれば検討の余地があるかもしれませんが、一般的な100歳の患者さんに対しては、手術をすることはないでしょうね。

患者さんは高齢になればなるほど体力がなくなっていきます。手術が無事に終わったとしても、もとの生活の戻れるような体力にまで回復するかどうかは難しいところです。

病院によっても基準は異なりますが、年齢が80歳を超えてくると、患者さんの各個人の体力を見ながら手術も検討と言う段階になるかと思います。

私の医師人生では、97歳でがんの手術をうけたという話を聞いたことがありますが、それが最高齢でしょうかねぇ。

臓器機能

もう一つ重要な指標としては、臓器の機能になるかと思います。

たとえ60歳で元気に暮らしている男性であっても、肺の機能が悪ければ、肺がんの手術をすることはできないでしょう。

というのも肺の手術をすることによって、肺の機能がさらに落ちてしまう可能性があるからです。

また一般的な話になりますが、腎臓の機能が悪ければ、手術だけでなく抗がん剤の種類も限定されてきます。特に高齢者で腎臓の機能が悪いとなれば、無理に抗がん剤を投与することがほとんどないでしょう。

ですから対象となる臓器の機能というのも、それぞれの治療法を選択する上でも非常に重要になってくるわけです。

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2018.03.09

合併症の有無

その他重要な要素としては、合併症というのも考慮されるでしょうね。

自己免疫性疾患でステロイドが長く投与されている患者さんでは、術後の創傷治癒という点で手術を行うのはためらわれます。

また間質性肺炎がある患者さんでは全身麻酔に耐えられない可能性があります。そのほか透析をしている患者さんでは、抗がん剤を使うのも難しいですね。

合併症の程度や種類によっては、若年であっても治療方針が90度変わってしまうこともあるのです。

患者さんの希望

もちろん患者さんの希望と言うものもあるかと思います。

患者さんの希望によって、治療方針が大きく変わることは必ずしも多くはありませんが、高齢の患者さんの中には、積極的な治療を希望せず、自然の流れに身をまかせたいとおっしゃる方もいます。

また働き盛りの年齢が若い患者さんでも、ある程度治療が進んだところで、これ以上の治療を希望しないとおっしゃる方もいます。

今の医療は患者さんの希望を十分に聞きながら行うものですから、もちろんガイドラインに示されている治療よりも、患者さんの希望が優先されます。

家族のサポート

このほか家族のサポートが十分に得られるかどうか、と言うのも重要な要素になってきます。

患者さんに行う手術によっては、無事に手術が成功しても、自宅に戻ってから食事などの面で家族のサポートが必要になる場合もあります。

高齢者でお二人暮らしとか、一緒に住んでいるのが認知症の配偶者というような場合には、現実的に手術を終えてからの生活が難しくなる場合もあります。

そのような場合には、患者さん、ご家族とも色々と話し合いながら、より負担のない治療を行うことになります。

まとめ

ガイドラインや教科書に示されている治療方法を、必ずしも形通りにすべての患者さんで行えるわけではありません。

患者さん個別の全身状態や、臓器機能、生活環境などを考慮しながら、それぞれの治療を考えているのです。

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