【医師の視点】にんにくエキスの効果を論文から調べてみた結果。医学的な見地からは効果の有無は不明

巷のクリニックで盛んに行われているにんにく注射。果たして効果があるのでしょうか?

ここではにんにくエキス、にんにく注射の効果について、実際に論文を探してみながら、ご紹介しています。

にんにくエキスの医学的真実はこれだ!!

【医師の視点】ネット上で信頼ある医療情報を得るのはすごく難しい。正しい医療情報を得るために必要なことは?

2017年11月1日

論文紹介1

医学的に効果を考えるためには、まず論文を参照してみるのが先決です。

pubmedで「garlic(にんにく)、vein(静脈)」と入力して検索してみます。

すると、一つおもしろい論文があったわけです。

Aged Garlic Extract Reduces Low Attenuation Plaque in Coronary Arteries of Patients with Metabolic Syndrome in a Prospective Randomized Double-Blind Study.

Matsumoto S, Nakanishi R, Li D, Alani A, Rezaeian P, Prabhu S, Abraham J, Fahmy MA, Dailing C, Flores F, Hamal S, Broersen A, Kitslaar PH, Budoff MJ.

J Nutr. 2016 Feb;146(2):427S-432S. doi: 10.3945/jn.114.202424. Epub 2016 Jan 13.

日本人と思われるマツモトさんが書いている論文です。アメリカの名門UCLAから発表されています。

冒頭にあるaged garlic extractは、日本語に訳すと「熟成ニンニクエキス」といったところでしょうか。

この論文では、

にんにくエキスが、メタボリックシンドロームを有するような患者において、狭心症や心筋梗塞の原因となる冠動脈のプラークの形成を抑えた

ということが書かれています。

メタボリックシンドロームとは、いわゆるメタボですね。

肥満、糖尿病、高血圧など、生活習慣病と強く相関している症候群のことです。

またプラークとは、動脈硬化にともなって血管の内側に付着する、脂肪などの沈着物のことになります。

これが心筋梗塞や狭心症の原因になったりします。

つまりこの論文の要旨としては、「にんにくエキスを飲ませたら血管の老化が防げたよ」ということになるでしょうか。結構信頼できるような情報です。

これだけみると、にんにくエキスは効果ありそうですねぇ。

この論文の信頼できるところ

この論文の信頼できるところは、”Prospective Randomized Double-Blind Study“であることでしょうね。

これはすなわち、被験者を2つのグループに分けて、一つのグループにはにんにくエキスを、もう一つのグループには違うものを与え、しかも参加者全員は自分がどちらの成分を飲んでいるのかわからない、というところになります。

これは新薬の開発などで、薬の効果を検証するために使われる研究手法ですが、それと同じような方法がにんにくエキスの研究でも用いられているわけです。

実際にこの論文は、JAMAと呼ばれる医学界の中でも非常に権威のある雑誌に掲載された論文に引用されています。

そのような権威のある雑誌に掲載される論文にも引用されるということは、信頼性の高い論文ということになるでしょうか。

わかりやすく言うならば、イチローのお墨付きの野球選手、といったところで、その能力や素質には、一定の信頼が置けるわけです。

論文紹介2

にんにくというのは、学名では:Allium sativumと呼ぶそうです。

こちらについても調べてみましょう

Aged garlic extract with supplement is associated with increase in brown adipose, decrease in white adipose tissue and predict lack of progression in coronary atherosclerosis.

Ahmadi N, Nabavi V, Hajsadeghi F, Zeb I, Flores F, Ebrahimi R, Budoff M.

Int J Cardiol. 2013 Oct 3;168(3):2310-4. doi: 10.1016/j.ijcard.2013.01.182. Epub 2013 Mar 1.

PMID: 23453866

この論文も1番目の論文と同様に、心臓を栄養する冠動脈呼ばれる血管に対する作用について書いていますね。

脂肪には2種類ある

脂肪というとあまり良いイメージがないですが、実は脂肪には2種類の脂肪があるわけです。

一つは褐色脂肪細胞と呼ばれる脂肪で、おもに子供や若い女性なんかにみられます。

この褐色細胞は、体の熱を産生することによって、体温が下がらないようにする、体にとっては必要な脂肪組織なわけです。

もう一つは白色脂肪細胞と呼ばれる細胞で、一般的に脂肪という場合、こちらを指します。

脂肪がつく」とか、「脂肪を燃焼しよう!」といった場合は、この白色脂肪を指している場合が多いですね。

冠動脈の動脈硬化を抑制する

この論文で述べられているのは、

にんにくエキスを摂取することにより冠動脈の動脈硬化が抑えられた

と述べられています。

そのメカニズムとしては、上に述べた褐色脂肪と白色脂肪の比率を変えていくことによって、より動脈硬化が起きにくい体をつくりあげていく、ということのようです。

しかし米国NIHの見解では、効果なし

いろいろと効果のありそうなニンニクサプリなのですが、日本の厚生労働省にあたるNIHのサイトからみてみます。

There’s conflicting evidence about whether garlic lowers blood cholesterol levels. Garlic may be helpful for high blood pressure, but the evidence is weak.

 However, garlic in dietary supplement form has not been shown to help reduce the risk of these cancers.

The National Cancer Institute recognizes garlic as one of several vegetables with potential anticancer properties but does not recommend using garlic dietary supplements for cancer prevention.

There’s not enough evidence to show whether garlic is helpful for the common cold.

NIH: garlic

にんにくが血圧やコレステロールを下げるかどうかは、まだ証拠がない。

またがん予防についても根拠がない。がん予防のためのニンニク摂取は進められない。そして風邪に効くのかどうかも不明。

ってことが書かれてありますね。

一つ一つの論文ではちょっと効果あるかもという結論でしたが、アメリカの政府機関によると、積極的に摂取を支持するほどの証拠はないようです。

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2017年11月7日

まとめ

何人かのグループが行なっている研究レベルでは、にんにくエキスの効果はあるかもしれません。

しかしながら全体としての見解は、にんにくの効果が本当にすごいものなのかどうかはわからないところのようです。

結局のところ、クリニックでよく行われているニンニク注射に関しても、本当に効果があるかどうかも不明なようです。

ニンニク注射で健康になるという考えは、まだまだ迷信のようですね。

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