医学部で行われる試験についての概要。定期試験から卒業試験まで

医学部ではたくさんの授業とたくさんの試験が行われます。

試験の内容によっては、教科書一冊全体が試験範囲というようなこともあり得るわけです。

では実際の医学部の試験というのは、どのような内容なのでしょうか。

以下に簡単にご紹介していきましょうか。

医学部で行われる試験の特徴

医学部の中には、いくつもの関門である試験が用意されています。

試験が行われる時期や、その出題範囲、科目は様々ですが、基本的には下記のような共通点があるかと思います。

進級に関わってくる

まずは、試験に合格しなければ進級できない事実があるでしょうか。

医学部に入る目的は、なんといっても医学部を卒業して医師免許を取る事です。

そして医師免許を取るためには進級する必要があり、医学部の中で行われる試験をパスすることが必須になってきます。

1年や2年ぐらい留年するのであれば、「留年しちゃったよ〜」として笑い話として済ますことができるのです。

医者になって何年もすれば、誰が留年して、誰が留年していないかなんて、全く気にする場面はありませんからね。

しかし医学部の中には最大で在籍できる年数が決まっており、15年も20年も医学部に在籍するのは不可能です。

それに留年を重ねるほど、周囲の友人は少なくなり、学費と生活費は余分にかかりますから、あまり褒められたものではありません。

実際に留年すると言ってもせいぜい1-2年くらいで、3年以上留年する人は滅多にいませんでした。

おそらく3年間も進級できないとなると、根本的に学力が足りていないか、精神的な面で不安定さがあるなど、重大な問題を抱えている場合が多いのではないかと推測されます。

出題範囲が広い

医学部の試験の特徴としては、範囲が広いことが挙げられます。

基礎医学分野の王道である組織学や解剖学であれば、何百ページもある教科書が1冊まるまる試験範囲になります。

もちろん実際には、教科書の中にも重要である事項とそうでない事項がありますので、教科書の隅々まで暗記する必要はありません。

せいぜい教科書のテキストの中でも赤文字とか青文字とか、強調されている項目だけですね。

といっても分厚い教科書がすべて試験範囲になるわけですから、その試験範囲の広さは想像に難しくないでしょう。

何百何千にもわたる解剖学・組織学の名称や機能を覚える必要がありますから、暗記する分量としては非常に多くなります

教授の研究分野が出題される

医学部の試験では、試験問題を作る教授の専門分野が出題される傾向があります。

医学の中では、試験問題を作るのはもちろん医学部の教授・もしくはその教室の教員になります。

良識的な試験問題があれば、国家試験に沿った標準的な問題が出題されるのですが、クセのある試験問題やたらと大変です。

最先端の教科書を見ても何も書いていないような専門的な内容が、出題されてしまうわけです。

これは日本の医学教育における問題点でもあるのですが、出題側も教育のプロではないですから、どこかピントのずれた問題が出題されることになるのです。

いずれにしても独特な問題が出題されてしまうと、学生側として太刀打ちできません。

ですから試験対策には、過去問というのが重要になってくるわけです。

過去問が大切である

過去問は、文字通りかつて試験問題で出題された問題のことを指します

何事もそうですが、過去の傾向をして対策を立てることが非常に重要です。

特に医学部の試験の場合には、クセのある問題が出題されることがかなり多いですから、過去問をもれなく確認しておくことが非常に大切になってきます。

このような過去問は医学部の中で先輩から後輩に継承されており、学生の間に出回っています。

常日頃から友人達と同じような良好な関係を築き、過去の問題に関して情報収集しておくことが必要です。

よく医学部では、1人でコツコツと勉強を進めるよりは同級生と同じことをやれ、と言うことが言われます。

これはつまり自己流で試験勉強を進めるのではなく、他の人たちと歩調を合わせて勉強することが大切であることを示しています。

病院実習に必要なCBT・OSCE

さて、医学部で行われる試験の特徴について書いてきました。

医学部在学中に受ける試験の中には、医師国家試験を別として、ちゃんとしたカリキュラムに乗っ取って正統的な問題が出題されるものがあります。

それがCBT、OSCEと呼ばれるものです。

これは厚生労働省が旗振り役となって始めた主に医学部4年に行われる試験であり、病院実習にすすむにあたって学生の到達度を計る試験です。

この試験では医学の基本的な知識に加えて、対患者のコミュニケーションや診察手技など実践的なことがテストされます。

難易度がすごく高いわけではないのですが、一応のところ国家試験に準じる扱いとなっており手は抜けません。

もちろん医学部内の定期試験のように再試験などありませんから、緊張する戦いでもあります。

最後の難関である卒業試験

これは読んで字のごとく、医学部内で卒業するためにパスしなければならない試験です。

多くの大学医学部では、医師国家試験に準じた位置付けで各診療科ごとに試験問題が作成されます。

出題範囲はある程度指定されていることが多いですが、基本的にはすべての診療科の全ての分野に及びますから、その出題範囲は膨大です。

この卒業試験はおおよそ1ヶ月にも渡って開催され、試験期間中はとにかく勉強に追われることになります。

いくつかの大学では、医師国家試験の合格率を担保するために、この卒業試験で一定程度の成績を取得できなければ卒業ができないシステムのところもあります。

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まとめ

とにかく医学の試験は独特で、長期休暇以外は試験のことを頭にいれながら勉強しなければなりません。

6年間試験に追われる生活を続けなければならないですから、プレッシャーは相当なものです。

医学部に入学したからといって楽な生活ができるわけではありません。

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