医師からみた総合診療医。将来的には必ずや必要になってくる

日本の医療制度の問題点の一つとしてよく取り上げられるのが、細分化された医師の専門医制度です。

その問題の解決策のひとつとして、総合診療医制度が提唱されていますね。

総合診療科とは、医療における診療科のひとつで、あまりにも専門化・細分化しすぎた現代医療の中で、全人的に人間を捉え、特定の臓器・疾患に限定せず多角的に診療を行う部門。

また、外来初診の「症状」のみの患者に迅速かつ適切に「診断」をつける科でもある。医療機関・大学によっては総合診療部ともいう。

英米では、総合診療医(GP)の制度が普及している。近年の高齢化社会の進行によって、その存在意義が大きくなっている。2007年には厚生労働省は、総合科と認定医の案を示した。過剰検査を抑制する要だとされている。

wikipedia

総合診療医は一段低くみられてきたという事実

総合診療医の先生方に言わせると、総合診療医は各専門分野の医師から低く見られていることが多々あるようです。

総合診療“という専門分野を明確に規定することは難しく、各専門分野の医師からすると、どうしても一段低く見られてしまうようです。

血圧コントロールは循環器内科医に分がありますし、糖尿病のコントロールに関しても内分泌内科医ほどの医療は提供できないでしょう。

最先端の研究に関しても、臨床的な研究は行われることはあったとしても、診断や治療において基礎的な、最先端の研究が行われることはなかなかありません。

全国にも総合診療科を備えた大学病院、総合病院は多々ありますが、実態はどこの診療科にも振り分けられない、不定愁訴の患者さんが集まってくるという実態もあるようです。

私自身、総合診療医の先生方を一段低くみるような発言をされる先生方を、多々現場でみてきました。

現在の医療は高度に細分化されている

一般的な医師のキャリアパスとして、大学を卒業して卒後臨床研修を2年間経た後、各専門領域に進みます。

現在の医療は高度に細分化、専門化されており、各専門領域の医師によって、それぞれの専門分野に基づいた診療が行われています。

例えば消化器内視鏡は消化器内科の医師でないと行えないですし、気管支鏡は呼吸器内科の医師でなければ現実的に行うことは不可能です。

これら専門領域に特化した医師は、高度な医療を行う上では必ずや必要であり、その存在が否定されるものではありません。

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専門分化した医療の問題点

一方で、あまりにも専門領域に特化した医療は、多くの問題を孕んでいるように思います。

たくさんの病院にかかる高齢患者

初めて外来にやってきた患者さん、特に高齢者の患者さんにお薬手帳を見せてもらうと、いろんな病院からいろんな薬をもらっている患者さんがほとんどです。

例えば乾燥肌で、腰痛、糖尿病、高血圧の高齢患者がいたとします。

その高齢者の患者さんがどのような受診行動をするかというと、乾燥肌は皮膚科、腰痛は整形外科、糖尿病は内科、高血圧は循環器内科のクリニックに別々に通院している、ということもよくあるわけです。

中には同じような種類の痛み止めを、別々の病院や診療科から処方されている患者さんもいます。

患者さんにとってはいろいろな病院に通院するのは負担ですし、診療する医師側としても、他の病院でどのような治療がされているか、どのような薬が処方されているかわからない故に、診療しにくくなっているのも事実です。

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主に地方における専門診療科の医師の不足

地方都市のさらに人口密度の少ない地域に、各診療科の専門医を揃えるのは医療資源の効率的な配分の観点からは効率的ではありません。

そもそも、地方においては、昨今の医師不足からすべての専門領域の医師を十分に揃えるのは難しくなっています。

地方病院に泌尿器科疾患しか診療できない医師が1名しかいなかったとしても、ほとんど病院としての機能を果たせないわけです。

総合診療医は必要である

したがって特に地方においては、糖尿病や高血圧、腰痛などの患者数の多い、そして高度な専門知識が要求されないような症状や疾患に関しては、全体的に幅広く診療できる医師の存在が必要になってくるわけです。

また医師の効率的な配置に関しても、考えていかなければなりません。

北海道のような広大な土地の全ての市町村に循環器内科医を配置して医療を行うよりは、主要都市に循環器内科医を集めて、効率的かつ高度な医療を提供した方が、全体としては効率的な運用ができうるという考えです。

専門分野を診療できる医師というのは絶対的に必要なわけですが、それと同時に地方レベルでは、幅広く病気を診療できる医師も必要になってきます。

現在の日本の医学教育では、このような幅広い診療をできる医師の育成システムがなく、総合診療医の位置付けはどこか一段低くみられていました。

しかし今後は少子高齢化が進むにあたり、過疎地域では患者さん全体を診療できるような総合診療医の必要性は必ずや高まってくるでしょう。

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