外科の将来展望について考える。外科医の数はここ20年横ばいである




激務、怖い、知力と体力が必要とされるなど、いろいろな形容をされる外科診療科。

外科では患者さんを自らの手で治療できるという達成感がある一方で、その忙しさからは、研修医からは敬遠される傾向にあると言えます。

外科診療科はなくなることはないわけですが、その外科の将来展望はどのようなものなのでしょうか。

ここでは外科、特に一般外科の未来について考えてみたいと思います。

外科医の数はここ20年増えていない

上のグラフは、厚生労働省が出している医師数の推移です。

1982年から2014年にかけては医師数は一貫して増加しています。

内訳を見てみると、30-39歳の医師数はほとんど横這いで、増加しているのは50歳以上が主体ですね。

このあたりは医学部の定員がほとんど変化していないことを反映しているのでしょうか。

厚生労働省/医師・歯科医師・薬剤師調査の概要より

一方でこちらは外科医の数の推移です。

1994年からの統計ですが、全体の医師数が増加しているのに比べると、外科医の数は28.000人で数はほとんど変化していません。よくグラフを見ると、39歳以下の外科医の数は減少しています。

日本はここ20年間は人口の増加がほとんどなかった一方で、急激な少子高齢化が進んでいきました。したがって病院を受診する患者の数は増加しています。

このような事実を考え合わせると外科医というのは相対的に忙しくなっている、といえるかもしれません。

どうして外科医を志す医学部の学生や研修医が減ってしまったのでしょう。

若い世代の外科医が少なくなった原因

どうして外科医は少なくなってしまったのでしょうか。

巷でよく言われている原因について考察してみましょう。

過重労働・労働環境への関心の高まり

以前は例外とみられていた医師の労働時間に関しても、労働基準監督署の指導が入りつつあります。

今や医師、外科医であっても働きすぎは厳しく制限される時代になりました。

もともと外科医は極めて忙しい診療科ですから、労働時間に関して考えのある医学部生や研修医たちは、外科の先生の働き方をみて敬遠しているのかもしれません。

医局辞めても生きていける、、かも

2018.01.12

女性医師の増加

また2010年代に突入してからは、医学部全体に占める女性医師の割合は増加しています。

女性の社会進出が当たり前になった21世紀にとっては、医者の世界も例外ではありません。

婦人科や乳腺外科、泌尿器科など、女性の医師の方が診療がスムーズに行える診療科もありますね。

女性医師にとっては体力勝負で長時間労働が当たり前の外科系の診療科は選びづらいでしょう。

結婚、妊娠、出産、子育てなど勤務時間が制限される可能性も考慮すると、ますます選びづらくなります。

以上のような理由により、外科の志望者が減っているのかもしれません。

今後の外科の展望

腹腔鏡手術・ロボット手術などの高度化

今後外科系の診療科では、さらなる低侵襲な治療が求められていくことになると思います。

様々な手術に応用され始めた腹腔鏡手術は、今や当たり前のものとなっています。

またダヴィンチを主体したロボット手術は、今までは前立腺癌を主としておこなわれていましたが、2018年に入ってからは、様々な種類のがん手術に適用拡大が始まっています。

外科医にとってみれば、通常のお腹を開ける回復手術に加えて、腹腔鏡の手術、ロボット手術の技術を取得しなければならないわけですから、これまでよりも、もっと多くのことを学ぶ必要があります。

外科医にとっては業務の幅が広がる面白さの一方で、多くのことを習得する必要が出てきました。

加えて外科医の数の減少に伴って、ますます忙しくなりそうです。

それでも外科はなくならない

薬剤や内科的処置の高度化に伴って外科手術の範囲も少しずつですが減少してきた、というのがここ数十年の流れだと思います。

昔は胃潰瘍や十二指腸潰瘍で手術をしていたこもありますが、効果の高い制酸剤や内視鏡的な処置の発達に伴って、今では非常に稀になりました。

また初期の食道がんや胃癌、大腸癌であれば手術よりは内視鏡的に切除するのが極めて一般的になっています。

しかし臨床現場で働いて感じるのは、外科の仕事は絶対になくならないことです。

非常に高度な手技が必要になる場合や、緊急的な処置が必要になる場合は、開腹手術は絶対的に必要になってきます。

そのような背景を考えると、外科医の存在というのは絶対になくならないのです。

医者が考える手術がうまい病院の選び方。手術件数を目安にすべき【勤務医の視点】

2017.10.30

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