【医師の視点】病院や医学部における同門会とは。その概要と働きについて解説

同門会とは一般的には、同じ大学や企業の出身者たちが集まる、共同体という理解でしょうか。

このような同門会の組織は、当然病院や医学部の中にも存在しています。

医学部全体の同門会

医学部全体の同門会となると、各診療科医局の垣根を越えて、ある大学に勤務している医師や、そこを卒業したOBたちで構成される、割と大きな共同体と言っても良いでしょう。

例えば大学医学部全体で何か大きな方針の変更があったとか、同門会の会員から新たな教授が誕生した場合には、年に何度か送られてくる同門会便りの中にその旨が記載されます。

このような同門会便りの中には、訃報として亡くなった同門会員の名前が記載されていることもあり、時折「ハッ」と驚くことがあります。

30-40代で亡くなっている先生もおられ、驚くことがよくありますね。

あとは大学医学部全体の、近況なんかが書かれている場合もあります。

医学部同門会の規模は大きい

ただし医学部全体としての同門会は、会員数でいうと何千人、何万人単位となりますから、あまりにも規模が大き過ぎて、何かしら具体的な行動があるとわけではありません。

飲み会や懇親会を開催しようにも、規模が大き過ぎて東京ドームを貸し切る位の勢いでないとおそらく開催できないでしょう。

そもそも年代が違えば、知らない人ばかりですけどね。。

ですから医学部全体の同門会と言うのは、医学部全体の広報と捉えた方が正しいかもしれません。

無くてもあまり困らないんじゃないでしょうか。

医局全体の同門会

それより小さい組織としては、大学病院のそれぞれの診療科ごとに構成される医局の同門会があります。

特定の医局に所属している医師や、または医局出身で関連病院で働いている医師で構成されている共同体になります。

たいていはどこの診療科でも年に1回くらい同門会という名の集まりが開かれます。

同門会の場では新入局員を歓迎したり、新たな教授が誕生した場合には、盛大にお祝いすることになります。

医局全体の同門会は、大学医学部の同門会よりは一層現実的でかつ活動的であり、関連病院の医師も含めて議論が行われることもあります。

診療科ごとの同門会の方が人間同士の結びつきが強く、より具体性のある行動があるようです。

同門会の役割

どちらの同門会においても、それらの働きが必須であるというわけではありません。

医学部の同門会は規模が大きすぎて、形骸化している部分が大いにあります。

また医局の同門会においても、人事を決定したりといった権限は全くありません。

それに同門会で仕事をしたからといって、特になにか便宜があるわけでもありません。

形式的な意味合いの方が大きいかと思います。

同門会の権力

このように同門会とよばれる組織が形骸化しているのは、やはり権力がなさすぎるからでしょうか。

医学部全体の同門会は、多くの場合は一線を退いた名誉教授たちが勤めていることが多いですね。

医局全体の同門会においても同様で、関連病院の部長なんかが同門会長を勤めている場合もあります。

しかしこのような名誉職にあるような方は、医学部や大学病院の医局において実務的な部分では要職に就いているわけではありませんから、権力はありません。

入試制度を考えるとか、医局人事を決定するとか、病院経営をどう改善するかなどの権限を担っているのは、あくまで現役の教授陣というわけです。

まあ、あまり重要でない組織になってしまうのかもしれませんね。

同門の先生の重要性

同じ大学の医局に所属する医師は、良くも悪くも連帯があります。

同門の先生というだけで、研修医を大切に教育したり、人手が足りない時、困っている時には医局から人を派遣したりします。

加えて開業している先生がいる場合は、学会や冠婚葬祭で休まなければならない場合、同じ同門の先生に代診を頼むこともあります。

このような関係は相互にメリットがあるといってよいでしょうから、同門会の組織がデメリットになることは少ないのではないかと想像します。

同門の先生のつながりは大切なのです。

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