大病院を受診するためには、ますます紹介状が必要になりそうな状況です。
そんなニュースです。
厚生労働省が策定した、医療機関に支払う診療報酬と、障害福祉サービスの提供に対し支給する報酬の改定案の全容が27日、分かった。
診療報酬の改定案では、高齢化に伴い医療費が膨張していることを踏まえ、紹介状なしで大病院で初診を受ける際に患者が5千円以上、再診時は2500円以上の定額負担が必要な病院数を大幅に増やす。障害福祉サービスの改定案では、重度障害者や障害児への支援を充実させる。
産経ニュース 2018.1.28
病院ごとの役割分担がますます進む
大学病院などの規模の大きい病院は診断や治療が難しい病気を診る、そうではない病気は中小の病院で完結させる、という役割分担を強化するための制度です。
この制度では、紹介状を持たずに大病院を初診する患者から5000円以上の受診料金を徴収することで、大病院にいきなり受診する行動を抑制しようというものです。
患者さんの多くは、大学病院信仰とか、大病院信仰というものが根強くあります。
近所のクリニックや開業医で診察してもらうよりは、大病院や大学病院で診察をしてほしい、という考えです。
一方で大学病院や大病院の本来の役割というのは、地域の他の病院では診断や治療が難しい、高度な医療を必要としている患者さんの診断や治療を行うことです。
その目的を達成するためには、大学病院などでの治療が必要でない患者さんには、地域の小さな病院や個人病院で治療をしてもらう。
そして、高度な医療を必要とする患者さんに力を注ぐという、医療の役割分担が必要になってきます。
大病院を受診するには紹介状の有無が重要
したがって大学病院や大病院を受診する患者さんは、紹介状を持った患者さんだけにしよう、という取り組みなのです。
紹介状とは別名、診療情報提供書とも言われますが、患者さんの診察をお願いするために書かれた医師から医師への手紙、ということになります。
紹介状はおもに、患者さんの診断や治療に関わる情報を相手の医師に伝えるために書かれます。
基本的にこの紹介状は、自分の勤務している病院では治療が難しく、他の大きな病院での治療をお願いするような場合に書かれます。
紹介状を持っているということは大きな病院で治療する必要がある病気である、といういわば通行手形のような役割になるわけです。
この紹介状の有無によって患者さんが5000円を負担するかどうかが変わってくるほど、重要な意味をもってくるわけですね。
紹介状を必須としている大病院は多い
大学病院や基幹病院では病院ごとの役割分担を進めるために、すでに紹介状がなければ初診の受付を行わない病院も増えています。
予約したいと思っても「紹介状がなければ診察しません」となっている病院はすでに多くあります。
一見すると患者さんを選別しているようにみえて、印象は良くないように考えるかもしれないのですが、患者さんの受診する病院をコントロールするというのは非常に重要なのです。
今後は医療の役割分担の動きを一層加速させるために、同様の制度の構築はどんどん進んでいくでしょう。
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