東欧の医学部とは、文字通り欧州の東に位置している国にある医学部となります。
最近ではこれらの国の医学部を卒業することで、日本の医師免許を取得しようとする流れがあるようです。
Googleで東欧・医学部と検索するとこんなにも検索結果が表示され、ポピュラーであることが伺えます。
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東欧にある医学部の概要
ここでいう東欧とは、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、チェコなどを指します。
いずれもEU加盟国でありながらEU域内では所得水準が低く、経済発展が求められている国家でしょうか。
これらの医学部への入学を斡旋する業者のホームページには、下記のような記載があります
1.日本の国立大学医学部に比べて入学しやすい
2.日本の私立大学医学部に比べて費用が安い。
3.医師として世界で活躍できる。
確かに今の日本の医学部は極端に難しくなりすぎている傾向はあるでしょう。
国公立大学なら標準的には東大と同じくらいの学力が必要ですから、ちょっとハードルが高すぎます。
それに私立大学に関しては、最低レベルでも学費が2000万円以上かかりますから、これまた入学できる学生はかなり限られてきます
それゆえに、ここにきて外貨の獲得を目指す東欧諸国と、自国では簡単には医学部に入学することのできない日本人学生の利害が一致したと言えるでしょうか。
ちなみに毎日新聞の記事によると、東欧医学部に進学した場合は現地での生活費と学費でおおよそ2500万円くらいかかるようです。
すごく高額な教育費ではありますが、一般家庭でも切り詰めればなんとか払える金額…でしょうか?
医者になってからはすぐにペイできる金額でしょうから、卒業できる確証があるなら借金してでも進学しても良いでしょう。
実際の東欧諸国の医学部の学費や、どのようなカリキュラムで教育が行われているかは、私自身もホームページ以上のことは分かりませんので割愛します。
東欧諸国の医学部を卒業した医師は優秀かも知れない
さてそれではこれらの国の医学部を卒業した医師の臨床能力について考えてみましょう。
結論から申しますと、筆者はこれらの大学の医学部を卒業した学生は、日本の医学部を卒業した学生よりもかなり優秀かもしれないと考えています。
英語力が高い
まず第一にアドバンテージとなるのは英語力です。
こちらの記事にも書いていますが、日本人医師で英語を話せたり聞いたりすることが十分にできない医師は非常に多いのが実情です。
筆者も国際学会に何度か行きますが、間違いなく日本人の英語力は最低ランクです。
これは発音が綺麗とか、喋るのが早いといったものではなく、単純に英語を自由自在に扱う能力が低いとか、聴衆の質問を聞き取る力が弱いといった基本的なものです。
一方で東欧の医学部では医学教育から臨床研修まで、主体は英語となってくるようです。
6年間の医学教育を英語で受け、現地で生活し、試験をパスすることを考えると、英語力に関してはほとんどの日本人医師よりも優れている状況になると思われます。
ただしこれはあくまでも無事に東欧の医学部を卒業し医師免許をゲットできた段階の話であり、英語力を高めるのは簡単ではないでしょう。
正直なところ、海外でレジデントができるくらいの英語力を身につけるくらいの勉強が必要なら、日本の医学部入試のために勉強した方が手っ取り早い気もします。
勉強に対する意識が高い
加えて重要なのは、勉強に対する姿勢です。
日本の医学教育は良くも悪くも緩やかなところがあり、そこまで必死に勉強しなくても入学時の能力を持ってすればほぼ全員が医学部を卒業できる体制が整っています。
100人の医学部生を入学させて10人しか医者になれないのならば、これはこれで効率的ではありませんので、ある意味日本の制度は効率的といえます。
一方で東欧諸国の医学教育は非常に厳しいようです。
毎日新聞の記事によると、入学者のうち無事に卒業できるのはおおよそ1/3とのことです。
日本の国公立大学医学部だと低くても10人に9.5人くらいは無事卒業できるでしょうから、東欧医学部の医学部教育の厳しさが伺えます。
したがって東欧の医学部に在籍し卒業を目指す限り、相当に勉強をしなければならないのかもしれません。医師になっても勉強し続ける姿勢は大切です。
ちなみに東欧まで行ってお金を費やし、医学部を卒業できないのは「金銭的に無駄だった」だけでは済まされない損失であり、相当な覚悟ない限り、安易に東欧の医学部を勧められる状況ではないかもしれません。
視野が広い
また視野の広さの点でも彼らの方が1枚上手である可能性があります。
異国の地で6年間勉強し続けなければならないのは、非常に精神的なストレスを伴います。
上述したようにその途中でドロップアウトしていく学生もたくさんいるのでしょうが、無事卒業した学生たちは極めて精神的にもタフであると言うことが言えるでしょう。
精神的にタフであることと、日本の医師の労働基準法を無視した労働環境に耐えられるかどうかは切り離して考えなければなりませんが、異国の地で学んだ経験と培った視野の広さは、必ずやプラスになるのではないでしょうか。
日本の医学部にいる学生のマジョリティは、裕福な家庭に生まれ育ち、中高一貫校で同質な学生たちに囲まれ、医学部の狭い世界で生きている学生が多いですから、全体的に視野は狭くなりがちです。
ある研修医などは、医療費を気にする患者さんに対して「あの人は貧乏なんですかね」なんて話したりしていました。彼はお金に困ったことがないのでしょう。
東欧の医学部を卒業しても医師として働くのは問題ないだろう
そんな厳しい競争を勝ち抜いてきた東欧医学部の卒業生ですから、実際に働き始めて能力的に劣るなんてことはないでしょう。
医者になって基礎研究をするとか、臨床研究をして論文を書くといったアカデミズムの世界で頑張るのであれば、基礎学力が多少は必要になるかもしれません。
しかしいち臨床医として働くのであれば、むしろ必要とされるのはコミュニケーション能力とか判断力であって、ペーパーテストの学力の寄与する部分はそこまで大きくないでしょうね。
平成天皇の心臓手術では、医学部を何浪もしている順天堂大学出身の天野先生が執刀されましたが、逆に言うとそれぐらいの最低限の学力があれば、立派な医師になれるということでもあります。。
したがって筆者は、総合的に考えると東欧医学部を卒業した医師は日本人医師よりも優秀である可能性が高いと考えています。
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