病院で働く医師にとって、労働基準法を違反するような長時間労働は当たり前でした。
そんな勤務医の労働時間に対する労働基準監督署のメスが入ったようですね。
北里大病院、長時間労働常態化か。労基法違反で是正勧告
北里大学病院(相模原市)が、医師の勤務時間を就業規則で定めずに違法な残業をさせ、労働時間の把握も怠っていたなどとして、相模原労働基準監督署(同)から労働基準法違反で是正勧告や改善指導を受けたことがわかった。勧告や指導は昨年12月27日付。
北里大病院の関係者によると、同病院は「勤務時間管理規程」に従って職員の勤務を管理し、所定労働時間は週38時間とする▽残業させる場合は責任者の承認が必要▽休日出勤した場合は原則1週間以内に振り替えの休日を与える――ことなどを定めている。だが、医師や管理職はこの規程の「適用除外」にしていた。
朝日新聞 2018.1.17
最近は医師の過重労働についてのニュースが多くなってきました。
人員が豊富に配置されているとされる大学病院ですらこのような状況なのですから、一般病院や、地方病院などでは実態はもっと深刻でしょう。
過重労働の原因は人手不足
過重労働の原因は、まさに人手不足です。
病院で医師が診療を行う場合は、日中の診察、検査、手術で忙しいのはもちろんですが、夜間であっても病棟患者の管理、かかりつけ患者の救急対応など、病院が休むことはありません。
そのような24時間対応を、限られた医師だけて対応しているのが現状なのです。
休日にも病院が完全休業することはありませんから、工場のように1日3交代制を実現しようとすると、いま勤務している3倍の医師数とまでは言わなくても、おおよそ1.5〜2倍くらいの数が必要になってきます。
ただし実際には、多くの病院にとって医師の数を増やすどころか、現状の医師数を維持するのが精一杯な状況です。
休日出勤はただのサービスと認識すべき
記事の中には、休日出勤をすれば振替休日の対応をすると記載がありますが、現実的に振替休日制度が運用されている大学病院は皆無でしょう。
休日の当番や当直で病院に勤務した場合も、翌日からは何事もなかったように通常勤務が続きます。
日曜朝の日直・当直から月曜日の通常勤務を行った場合なんかは、連続36-40時間勤務になることも多々あります。
もはやこれだけで一週間の所定労働時間の上限に達しているということになりますでしょうか。
大学病院の中では、休日出勤や当直というのは当たり前になっているので、内部から声をあげる医師はいません。
そのような背景もあってか、このような問題が表に出てくることはなかなかありません。
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