医学部受験における特色のひとつというのは、 合格ラインの点数に多くの受験生があつまる、というところがあると思います。
つまり、医学部に合格するのも、不合格になってしまうのも、ほんの少しの差で決まってしまうわけです。
どうしてそのような状況になってしまうのか、考えてみたいと思います。
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医学部受験の成績開示結果
私が受験した当時の成績開示の結果は、私の医学部受験の合格最低点から+5点でした。
私の点数から合格最低点までは、10人くらいの合格者が含まれていましたので、合格者下位10人は、5点差の中に集約していたということになるかと思います。
ですから、少しでも点数が取れていないければ容易に合格できていなかったことになります。
ん〜受験ていうのは怖いですね。
ギリギリで合格できなかった学生も、決して合格できる学力がなかったというよりは、国語や英語の数点の単語問題を落としたことによって、惜しくも受験に失敗してしまったということになります。
よく医学部の受験では、仕切り直せば定員の下位半分は入れ替わると言われますが、合格ラインへの受験生の密集度を考えるに、この格言はどうやら間違いではないようです。
数点差で医学部に不合格になり、その後に全く違った人生を歩む高校生もいることを考えると、受験の怖さを感じずにはいられないですね。
医学部の受験では、一点でも多くとってやろう、という強い気持ちがなければ合格に向かうことができないのではないかと思います。
医学部入試で差がつかない原因
医学部入試で差がつかない1番の原因は、地方国立大学の入学試験の問題が、医学部の受験生にとっては簡単すぎることでしょうか。
地方国立大学の医学部の場合には、その他の一般学部、つまりは工学部や理学部と入学試験が同じであることがほとんどでしょう。医学部のためにだけに、わざわざ難しい試験問題を作ることはほとんどありません。
このような地方国立大学の一般入試での試験問題は、工学部や理学部の受験生において差がつくように難易度が設定されていますから、全体として医学部の受験生にとっては簡単な試験問題、となるのです。
ですから医学部を受験するにあたっては得点差がつく事はあまりなく、得点の分布が小さくなる傾向にあるわけです。
医学部受験で心得ること・・・確実性重視で
差がつかない医学部入試なのですが、肝心なのは基本的なことではありますが、ミスをしないことです。
一点差を争うような試験では、ミスをないように取りこぼしのないように試験を終えることが、合格する上で大切になってきます。
わからない問題は逆立ちしたって受験生みんなわからないですし、簡単な問題に関しては多くの受験生が回答できることになります。
そのような簡単な問題に関して、確実に得点できることが必要になるわけです。
ケアレスを積み重ねれば、多くの得点を失って一年を棒にふる可能性だってあるのです。
また上述した通り、飛び抜けた学力を持ち合わせていない限りにおいては、医学部入試は最終的には1点差の争いになります。
試験時間中に難しい問題に出くわしたとしても、些細なこともあきらめてはいけません。日頃から勉強をしっかりと行い、試験当日には全力を出し切ることが必要です。
医学部受験における数学の重要性
医学部受験を突破するために必要なことは?と聞かれたら、私は「数学」と答えます。
学生時代から思い続けてきたことなのですが、医学部に合格するためには、数学の力は絶対的に必要になってきます。
医者になってから数学がすごく必要、ってわけでもないんですけど、なぜ数学が大切なのか、そのことについて考えていきたいと思います。
数学は1問の配点が高い
この数学ですが、医学部の入試における1問の配点がすごく高くなっています。
こちらは新潟大学医学部の入学試験における配点です。
ちなみに表にもあるように、受験における2次試験の配点比率は38%ですから、一般的な地方国立大学の配点割合になるかと思います。
満点はトータルで1200点、そのうち個別学力試験の数学の配点は150点になりますね。
国語の漢字とか、理科の単語穴埋め問題であれば、せいぜい1問の配点は高くても3点とか4点位なはずです。一方で数学の場合には、大問の1つが30点くらいになってしまいます。
センター試験の国語においては、特典が1/2に圧縮されるようですから、アドバンテージが50点あったとしても圧縮されて25点になります。
もし個別試験の数学で大問1つの解法が浮かばなければ、簡単に逆転されてしまうわけです。
これは極端な例なわけですが、センター試験の国語で50点差がつくことはあまりなくても、数学で30点差がつくことは容易にあり得るわけです。
したがって二次試験における数学の出来具合で、医学部の合否がかなり大きく影響されます。
数学はギャンブル性が高い
また数学はギャンブル性が非常に高い科目でもあります。
しょせん高校数学の出題範囲というのは、限られていますから、地方国立大学のレベルだとすでに出題される問題のパターンは決まっているわけなんです。
そこで定形的な数学の問題を、どのような流れで解いていくべきかという流れを、いくつ自分の中に持っているか、経験しているかということが重要になってくるわけです。
各問題の解き方がわかれば満点近くを取ることができる一方、解法が浮かばなければ回答の一行すら書き出すことができないのです。
したがって数学の場合は出題される問題によって得点が大きく変わる、そんな恐ろしい可能性があるわけなんです。
医学部受験における数学の攻略方法
このようにギャンブル性の高い数学は、受験においてどのように攻略していけばよいでしょうか。
東京大学から東北大学あたり、単科医科大学の入試問題においては、定型的な問題ではなく思考力や発想力が試される出題が目立ちます。
したがってこれらの大学においては、標準問題の解法習得だけでは不十分であり、別に対応が必要です。
一方で上にも書きましたが、一般的な地方国立大学の場合には、数学の攻略法には特別な事は何もなく、多くの解法を習得するためにひたすら問題を解き続けるのみです。
多くの問題に対して解法を身につけていくことで、実際の試験の時に漏れがないように対処していくしかありません。
問題用紙が配布された時点で勝負はついている
私が医学部を受験した際には、問題用紙が配布された段階で、数学の問題を透けてみることができました。
その透けてみえた問題をみて、全ての問題で解法が浮かびました。その時はすごくほっとしましたねぇ。
今考えると、試験が始まる前から数学についてはある程度勝負がついていたかな、といったかんじです。
医学部を受験するにあたっては、数学が苦手科目ではいけません。むしろ得意科目とすべきです。
医学部を受験する学生の場合は、何よりもまず数学をよく勉強すべきです。
2018年に顕在化した医学部不正入試問題
そんな中で、2018年になってからは医学部の不正入試問題が相次いで発覚しました。
浪人生や再受験生、女性などに対して不当に減点を行い、合格者の属性をコントロールしていた疑惑が持ち上がっています。
これまで
東京医科大学、昭和大学、神戸大学、岩手医科大学、金沢医科大学、福岡大学、順天堂大学、北里大学、日本大学
が自主的に不適切な入試をしていたことを公表しました。
日経ビジネスオンライン 2018.12.20
私立大学が不正入試の中心となっているようですが、中には神戸大学の名前も上がっており、もはや医学部業界全体で不正入試が行われていた、と考えても不思議のない状況になっています。
タイトルにも書きました通り、医学部の入試は本当に一点を争う試験になります。
そんな中で「男性で現役生だから10点加算」「浪人生だから20点マイナス」などの得点調整をしている事実は、入試制度を完全にぶち壊しています。
いくら努力したって超えられない壁が存在していた、しかもその壁の存在が公にアナウンスされていなかったこの医学部不正入試問題は、受験業界の中ではやはり大きな問題です。
今後は公正な入学試験が行われるよう、各大学には十分に注意してもらいたいものですね。
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